私は、昭和28年に生まれた。
今年の誕生日で、67歳になる。
そのことについて、最近強く思うことがある。
生まれたのは、終戦から、十年経っていなかったんだ。
終戦は、わずか八年前なんだ。不思議な感じがする。
しかし、育ってきた環境のなかで、戦争の傷跡のようなものを感じたことはなかった。
小学校入学が、昭和35年で池田首相の「所得倍増計画」そして高度経済成長となり、小学校5年の時に、東京オリンピックだった。
この時代の流れの速さはいったいなんだろうか。
その頃の、記憶をたどっていると不思議なことがある。
私は、漫画が大好きで、本屋のある街までバスに乗って買いに行っていた。
月刊誌の時代で、「少年」「少年画報」「ぼくら」「冒険王」「日の丸」などがあった。
我ながら、よく覚えていることに驚く。
そのうちに、月刊誌から、週刊誌に代わって行った。
「少年サンデー」「少年マガジン」が出た。
「ジャンプ」は、買った記憶がないから、ずっとあとになると思う。
問題は、連載されていた漫画の内容で、戦争漫画が多かった。
ちばてつやなど、ふつうに名の知れた漫画家たちだった。
時代は、考えてみるとわずか20年前くらい、太平洋戦争である。
登場人物は、どう見ても、私たちのような小学生か中学生にしか見えなかった。
それが、ゼロ戦を操縦し、戦闘するのである。
私は、それらの漫画が好きだったので、戦艦とか戦闘機のことをよく知っていたと思う。
「零戦と隼はどっちがカッコいい」というようなことを、友達とよく話していた。
そして、隼のプラモデルを作っていた。
今では、とても想像できないことだと思う。
この時代は、いったい何だったんだろう。
この時代の戦争というものの扱い方はどういうことなのか、いくら、考えてもわからない。