晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

三上寛と友川かずき

三上寛友川かずき、と言っても知ってる人はいないかもしれない。

昨年、アナログ・レコードを処分する際に数えたら、

三上寛 12枚 、友川かずき 4枚 だった。

もちろん、LPアルバムである。

二人とも、1950年生まれのフォークシンガーである。

三上寛青森県出身、友川かずき秋田県出身。

横浜で学生生活をしていたころに聴き始めた。レコード店に必ずあるようなレコードではなかったので、だいたい取り寄せしていた。

 

三上寛を先に知った。自分の大学の学園祭に三上寛が来るというのでうれしかった。客席は、けっこう埋まっていた。

ギターを持った三上寛とドラムの古澤良治郎の二人だけがステージにいた。

二人の掛け合いの迫力はすごかった。

生の三上寛を見たのはその時が唯一である。

 

 

友川かずきは、シングルの「生きてるって言ってみろ」を買ったのが、最初だと思う。

宇崎竜童に見出されたということで、編曲宇崎竜童、演奏ダウンタウンブギウギバンドだった。

4枚目のアルバムが、「俺の裡で鳴りやまない詩 〜中原中也作品集〜」というものだった。私がずっと読んできた中原中也の詩が友川かずきの歌になっていた。

 

三上寛友川かずきも、個性的すぎて売れるようなシンガーではなかった。

歌詞も詩的というかむずかしい。歌い方も、かなりクセがある。一般受けする要素は少ない。

でも、二人とも映画やテレビにかなり出演している。監督が使いたくなる個性があるのだろう。

三上寛の出演数は、ものすごい。今年も、映画に出ている。

そのわりに、あんまり見た記憶がない。

三上寛は、文才もあり著作が十冊を越える。

 

友川かずきも、映画は少ないがテレビドラマに出ている。

大島渚監督に「戦場のメリークリスマス」の出演をオファーされたが秋田なまりを治せないので断わったというエピソードがある。坂本龍一がやった役である。友川かずきのヨイノ大尉を見たかった。

彼は日本人ばなれした端正な顔立ちなのだが、話すと秋田の人になる。

詩集、エッセイを多く発表している。また、画才があり立松和平と絵本を共作した。

 

私にとって、二人の歌は楽しむ音楽ではなかった。

生きることそのもののように感じていた。二十代のあのころだから聴けた。

他の人たちの歌とは違っていた。

なつかしいから聴くということができない。苦しくて聴けない。

手元にレコードを残しても聴かない、聴けないことはわかっていた。

だから、手離すことにした。

 

「夢は夜ひらく」 より

作詞 三上寛

七に二をたしゃ九になるが
九になりゃまだまだいい方で
四に四をたしても苦になって
夢は夜ひらく

サルトル マルクス並べても
あしたの天気はわからねえ
ヤクザ映画の看板に
夢は夜ひらく

風呂屋に続く暗い道
40円の栄光は
明日のジョーにもなれないで
夢は夜ひらく

 

「生きてるって言ってみろ」 より

 作詞 友川かずき

ビッショリ汚れた手拭いを
腰にゆわえてトボトボと
死人でもあるまいに
自分の家の前で立ち止まり
覚悟を決めてドアを押す
地獄でもあるまいに
生きてるって言ってみろ
生きてるって言ってみろ
生きてるって言ってみろ

 

 

 

 

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