晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

国名について調べてみた② 都道府県への移行

律令制による令制国という古い国名に興味があって、調べはじめた。

 

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調べているうちに、これはどうも現在につながっていることなんじゃないか、と思うようになった。

これは、私の勉強のための覚書です。

 

現在の都道府県制は、1都1道2府43県である。

明治4年(1971年)に、廃藩置県により藩は県となり、1使(開拓使)3府(東京府京都府大阪府)302県となった。これは、藩や天領の境界がそのままで飛地もあり府県行政に支障があった。

すぐに、第一次府県統合により整理合併し、1使3府72県になった。

明治9年(1976年)に、さらに第二次県統合により35県まで減らした。

しかし、沖縄県の設置及び分割運動などにより、最終的に1庁3府43県となった。

開拓使は、北海道庁となった。

分割運動により、分立した県は次の通りである。

徳島県福井県鳥取県富山県佐賀県、宮崎県、香川県奈良県

 徳島県 高知県から分離して発足した。

 福井県 嶺北が石川県から分離、嶺南が滋賀県から分離して、合併して発足した。

 鳥取県 島根県から分離して発足した。

 富山県 石川県から分離して発足した。

 佐賀県 長崎県から分離して発足した。

 宮崎県 鹿児島県から分離して発足した。

 香川県 愛媛県から分離して発足した。

 奈良県 大阪府から分離して発足した。

 

この後、合併分割は行われず、現在に至っている。

 都道府県をよくみてると、律令制による令制国がその元になっていることがよくわかる。令制国は、68ヶ国である。明治初期の北海道の11国の新設、出羽国及び陸奥国の分割により最終的に84ヶ国となった。北海道の11国を除くと73ヶ国となり、府県数との差の分が複数の令制国を統合して府県を成立させたことになる。

 

①  令制国の国が、そのまま県になってる例。

以下の、15県は、令制国がほとんど同じ領域のまま県になっている。しかし、令制国の名前が県名に使われている県はまったくない。

 

 令制国名       府県名

大和国(やまとのくに)                                奈良県

甲斐国(かいのくに)                                  山梨県

近江国(おうみのくに)                                 滋賀県

上野国(かみつけのくに)と下野国の一部 群馬県

下野国(しもつけのくに)の大部分    栃木県

越中国(えっちゅうのくに)                           富山県

讃岐国(さぬきのくに)                                   香川県

阿波国(あわのくに)                                       徳島県

伊予国(いよのくに)                                       愛媛県

土佐国(とさのくに)                                       高知県

肥後国(ひごのくに)                                       熊本県

日向国(ひゅうがのくに)                                宮崎県

信濃国(しなののくに)の大部分     長野県

紀伊国(きのくに)の大部分       和歌山県

肥前国(ひぜんのくに)の一部      佐賀県

 

②  複数の令制国を一つの府県にした例

 

702年に大宝律令が制定されて、令制国に移行するにあたって、それまでの国造が治める国から、中央から派遣される国司によって治められるようになった。

しばらくの間は、国分割や統合、国名の変更があったが9世紀以降は、まったく変更がなく明治まで1000年以上が経過している。

徐々に形骸化が進んではいたが、江戸時代でも大名や旗本などの官職として守や介など国司の等級が使われていた。

また、令制国の範囲内に、幕府の直轄領や大名の領地である藩が並立していた。

府県制を整備していくために、財政規模のバランスなどを考慮していたために、複数の令制国を統合したり、郡単位で他の県に移動させるようなことも行なっている。

1000年以上の令制国制度、200年以上にわたる江戸時代の藩制度、その中で他国だったもの同士が、同一の府県の中に存在することになったのだから、問題は簡単なものではない。

府県制が成立して一世紀経過した現在でも、それが尾を引いている現状がある。

 

府県名    令制国

福井県    若狭国(わかさのくに)と越前国(えつぜんのくに)                                                  

京都府    山城国(やましろのくに)と丹後国(たんごのくに)と丹波国(たんばのくに)          

大阪府    河内国(かわちのくに)と和泉国(いずみのくい)と摂津国(せっつのくに)の一部

三重県    伊賀国(いがのくに)と志摩国(しまのくに)と伊勢国(いせのくに)の一部と紀伊国(きのくに)の一部

愛知県    尾張国(おわりのくに)と三河国(みかわのくに)

静岡県    遠江国(とおとうみのくに)と駿河国(するがのくに)と伊豆国(いずのくに)

神奈川県   相模国(さがみのくに)と武蔵国(むさしのくに)の一部

千葉県    上総国(かずさのくに)と下総国(しもふさのくに)の一部と安房国(あわのくに)

岐阜県    美濃国(みののくに)と飛騨国(ひだのくに)と信濃国(しなののくに)の一部と越前国(えつぜんのくに)の一部

石川県    加賀国(かがのくに)と能登国(のとのくに)

新潟県    越後国(えちごのくに)と佐渡国(さどのくに)

兵庫県    摂津国(せっつのくに)の一部、丹波国(たんばのくに)の一部、但馬国(たじまのくに)、美作国(みまさかのくに)の一部、播磨国(はりまのくに)、備前国(びぜんのくに)の一部、淡路国(あわじのくに)

鳥取県    因幡国(いなばのくに)と伯耆国(ほうきのくに)

島根県    出雲国(いずものくに)と石見国(いわみのくに)

岡山県    美作国(みまさかのくに)、備前国(びぜんのくに)、備中国(びっちゅうのくに)

広島県    備後国(びんごのくに)と安芸国(あきのくに)

山口県    周防国(すおうのくに)と長門国(ながとのくに)

福岡県    筑前国(ちくぜんのくに)と筑後国(ちくごのくに)と豊前国(ぶぜんのくに)の一部

大分県    豊後国(ぶんごのくに)と豊前国(ぶぜんのくに)の一部

長崎県    肥前国(ひぜんのくに)の一部と対馬国(つしまのくに)と壱岐国(いきのくに)

鹿児島県   薩摩国(さつまのくに)と大隅国(おおすみのくに)

 

 ③  明治元年(1869年)の令制国の新設と分割された国について

 

北海道が置かれて、五畿八道となり、11国が新設された。

 五畿 大和、山城、摂津、河内、和泉

 八道 東海道東山道北陸道山陽道山陰道南海道西海道、北海道

渡島国(おしまのくに)、後志国(しりべしのくに)、胆振国(いぶりのくに)、石狩国(いしかりのくに)、天塩国(てしおのくに)、北見国(きたみのくに)、日高国(ひだかのくに)、十勝国(とかちのくに)、釧路国(くしろのくに)、根室国(ねむろのくに)、千島国(ちしまのくに)

当初、開拓使が置かれ開拓使十年計画が行われ、 1882年に廃止され、札幌県、函館県、根室県が置かれた。その後、北海道全体を管轄する北海道庁が設置された。

 

陸奥国(むつのくに)の分割

磐城国(いわきのくに)、岩代国(いわしろのくに)、陸前国(りくぜんのくに)、陸中国(りくちゅうのくに)、陸奥国(りくおうのくに)

府県名     令制国

福島県     磐城国の大部分と岩代国の大部分

宮城県     陸前国の大部分と磐城国の一部

岩手県     陸中国の大部分と陸前国の一部と陸奥国(りくおうのくに)の一部

青森県     陸奥国の大部分

 

出羽国(でわのくに)の分割

羽前国(うぜんのくに)、羽後国(うごのくに)

府県名     令制国

山形県     羽前国羽後国の一部

秋田県     羽後国の大部分と陸中国の一部

 

④  都道府県名について

都府県名については、令制国の名称がまったく使われていない。令制国が、そのまま府県に移行したような場合にも。

これは、これまでと違う行政組織を作るという意図があったからではないだろうか。

北海道については、当初県を設置する方針だったのを、道全体を管轄する組織の方が効率的であると判断した時点で、新しく作ったものだった道名を使ったものであろう。

 

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