関東周辺の山を登るようになって、山奥の村に行ってとても驚いたことがある。
こんなすごいところに、家があって、村があるんだということだ。
バスを降りて、登山道を登り始めると、ほとんど山の斜面といってもいい所に家があったりする。
平地のない斜面を切り開いて、家がやっと建てられている。そのまわりに、畑がある。
はじめは、ただ驚くだけだった。
しばらくして、やっと気がついた。
雪が積もらないから、山の斜面にも集落ができる。秋田なら、ありえないところに、住宅があり集落がある。
雪がかなり積もる秋田では、雪が積もっても大丈夫な広さのある平地に集落があった。
しかも、水田が中心の農業なので、灌漑施設が必要となるのでどこでもというわけではない。
たしかに、畑作だけという集落もあったが、経営的に困難だったのだろうと思う。
結局は、ほとんどが離村してるようだ。
今のように、商品的な作物とか、輸送手段を選択できたら、違っていただろうが。
私の姉の一家が、群馬県の山村に何年間か住んでいたことがある。
義兄が、秋田で営林署のに勤めていたのだが、広域人事交流ということで、秋田から群馬まで転勤になったのだ。
高崎から、山の方に入ったところで、もう長野県との境に近いところだった。
長野に所用があって出かけた時に、小海線の清里の先の駅まで県境越えに車で、迎えに来てもらったことがあった。
姉一家は、山の斜面にある集落に住んでいた。すごいところだなあ、と思った。
関東地方だから集落が存在可能であるということも、あるかもしれない。
その頃は、姉一家はもう秋田に帰っていた。
笛吹川上流には、人気の観光地である西沢渓谷があった。
西沢渓谷は、手軽に渓流や滝を眺めたり、紅葉を楽しむことができる。
友人の実家は、笛吹川をかなり遡った渓流のからの斜面の途中にあった。
笛吹川上流には、多目的ダムである広瀬ダムがある。
友人の実家は国道140号を笛吹川に沿ってかなり 上っている。そこから、さらに広瀬ダムまでいくつかの集落があった。
私の記憶によると、ある程度標高が上がるとほとんど水田は見なかった気がする。
笛吹川と尾根との間の斜面にある限られた平地に集落があった。
雪が積もらない土地なので、果物やその他の商品的な作物を育てることができるのだろう。
最近は、地図サイトで航空写真に切り換えて見ることができる。
私は、地図が大好きな人間だが、地図から航空写真に切り換えたら、一目瞭然である。
地図なら頭をひねらなければならないような、森林なのか、草原なのかも、すぐにわかる。
どうしてこんな山の中に、広い空き地があるんだ、と思ったら、牧場だったり、離村してしまった村だったり。
同じような土地があったとしても、雪が降るか降らないか、雪が積もるか積もらないかで、その土地の使い方は違ってくる。