孫娘が赤ちゃんだった頃、バウンサーというものに入れられていた。
赤ちゃん用のリクライニングチェアといったものである。
ベルト付きで、目の前におもちゃを装着できるので遊べるし、リクライニングなので途中で眠ってしまっても、とりあえず大丈夫だ。
今は、ベビーベッドの中に入れるインベッドというものもあり、転げて柵にぶつかるということもない。
そういえば、我が家の子育ての頃は、ベビー用品のレンタルが一般化し始めていたので、いろいろなものを借りていた。ベビーベッドやベビーカーなど、使う期間が限られて、置き場所に困るようなものは、とても助かった。
時代をさらにさかのぼって、私が育った頃には、「エヅメ」とか「エンチャコ」いわれるものがあったことを思い出した。
父親の実家には、それがあっていとこが赤ちゃんの時に使っていた記憶がある。
言ってみれば、木製のおひつの大きなものに赤ちゃんを座らせている感じである。
ネットで調べてみたら、郷里の大館市の博物館に現物が展示されていることがわかった。
私は、かなりローカルな限られた地域だけで使われているのかなと思っていたのだが、農家の育児用としては全国的に広く使われていたらしい。さすがに、沖縄は暑いので、ハンモックだったらしい。
名称からして、エジコ・エヅメ・イジコ・イズミ・イブミ・ツブラ・ツグラ・コシキ・エジメ・イヅミキなど、地方によって違っている。
おくるみみたいなので、赤ちゃんをぐるぐる巻きにして、大きな桶に埋め込んでしまうイメージです。
赤ちゃんは、起きていても身動きできません。
昔の農家の建物は、段差も大きく、ハイハイで動いたりしたら危険だったのだと思います。
だから、赤ちゃんは布団ではなく、エヅメに入れられていたような気がする。
家族が農作業に出てしまったら、ひとりで留守番させていて、お腹の空いた頃に帰って来てたのかな。
私が、小学生の頃、昭和30年代後半には使われなくなったと思う。
バウンサーは、対象年齢18ヶ月までとなってるが、エヅメは、どれくらいまで使われていたのだろう。外に連れて行けるまでは、入れられてたと考えるともっと大きくなるまで使ってたのかも知れない。
親戚のおじさんがよく話していた笑い話がある。
あるとき、父の実家を訪ねたら、誰もいなかった。
でも、エヅメに入った赤ちゃんだけがいた。
おじさんを見て、「○○よく来たね。」とあいさつしてくれた。
おじさんは、「○○」と名前を言われたらしい。
「赤ん坊が、一人前にあいさつしたのでびっくりした。」
と、笑って話していた。
たしかに、小さい頃から気の利いた子どもだったらしい。