この東葛飾といわれる地にすむようになって、四十数年である。
長く住んでいると、地理や歴史に興味が出てくる。
自宅から、2、3分歩けば、市役所の出先が入っている近隣センターがあって、そこに市立図書館の分館も入っている。
歴史関係の書籍も少しはある。「柏市史」などもあるので、借りたりしている。
もっと調べたければ、市役所のそばにある本館に出かける。
我が家の三人の子どもたちは、柏で育って柏市の小学校、中学校を卒業した。
柏市の地理や歴史については、教科書の他に副教材があって、それで勉強していたと思う。
中身がどんなものだったか、よく見ていなかった。
この柏の歴史を子どもたちは、どのように勉強していたんだろう。
先日、「柏市史 近代編」というのを、借りてきた。奥付を見ると、平成12年発行となっている。
その後、平成17年に柏市は沼南町と合併している。たしか、図書館本館には、「沼南町史」が置いてあった。柏市のホームページで、新しい柏市史編纂事業が進行中である、という記事が出てた気がする。
「市史」の書籍は、1000ページを超える厚くて、表紙もハードカバーの立派なものである。それが、通史編と資料編へ何冊にもなるのである。とても高価なものになり、個人で購入できるようなものではなくなってしまう。発行部数も限られて、刊行のための財政的な負担大きいものだと思う。
歴史関係の資料を、Webで検索していたら、尼崎市のウェブサイトに、ほとんど「尼崎市史」という内容が掲載されているのを見つけた。PDFファイルで、内容ごとに分けられているので、必要な部分だけ見ることができる。
www.archives.city.amagasaki.hyogo.jp
他にも、都道府県や市町村で同様なサイトをいくつか見つけた。
これなら、図書館に出かけて、分厚い書籍を借りてくる必要もない。図書館によっては重要書籍は貸出禁止で、館内だけで閲覧してください、というのもある。
いつでも、どこでも、見たい時に読めるのである。
今は、へたに印刷して書籍にするよりも、DVDで配布した方が、経済的で効率的な時代である。
頭を切りかえる必要があるんじゃないかな。
いくら立派な書籍を作っても、読んでもらえなければ意味がない。
私は、秋田県で育ったのだが、小学校、中学校、高校の頃を考えてみても、郷土についての教育を受けたことがない。
そのための副教材みたいなものもなかったし、そのような授業もまったく受けたことがない。
それが、時代的なものだったのか、地域的なものだったのか、わからない。
生まれ育った田代町というところから、大館市に転居した頃に、田代町の「郷土史」というものが刊行された。それは、田代町の事業ではなく、有志の方々の事業だったと思うのだが、現物が手元にないので確認できない。
そのように自分の郷土についての知識を身につけることなく育ってしまったことは、今となってはとても残念だったな、と思っている。
今は、市町村などの地方自治体にとって、自分たちの土地の地理と歴史について「市町村史」を研究編纂することは、どこでもやっているし、その内容を住民や子どもたちに伝えることは任務になっていると思う。
自分が住んでいる土地について、地理という空間的な広がり、歴史という時間の流れを知ることは、子供たちだけではなく、私たちのように大人になってから移ってきた人間にとっても重要なことだと思う。
そのための、環境をどのように整えていくかが問われているのだろう。