先日、妻がゴルゴ13の最新巻を借りてきてくれた。
最新刊は、第199巻で2020年12月に刊行されている。
内容は、長編2編が掲載されている。
「オクトパスの疑似餌」脚本協力 横溝邦彦
ニューヨークの大手銀行の自社サーバーに大規模な攻撃を仕掛けた相手の狙撃を依頼される。
「黒白の演出」 脚本協力 氷室勲
アメリカのある都市で市長選挙に絡み地元マフィアのNo.1を狙撃するよう依頼を受けた。
各タイトルには、脚本協力者名が表示されている。
199巻という巻数は、日本では4番目になるという。上位3番までは、碧南一家、超人ロック、タンマ君というのだが、私はどれも名前も知らなかった。
ゴルゴ13は、1968年に初回が発表されている。
私が、中学3年生だった年に始まったことになるが、初めて読んだのは就職した20代の頃だと思う。
友人が、ゴルゴ13を全巻持っていたのだ。
その頃は、まだ第50巻くらいだったような気がする。
連載している漫画雑誌を買うようなことはしなかったので、友人から借りて読んだ以降は、自分で新書版を買っていた。
そのうちに、買わずにレンタルですますようになってしまった。
漫画の蔵書は、ゴルゴ13だけではなく全て、かなり以前に処分してしまった。
ゴルゴ13は、スナイパー(狙撃手)である。
報酬を条件に、依頼者から狙撃を請け負い実行する。報酬は、原則先払いである。
狙撃の対象は、人間とは限らず、物品あるいは事象の場合もある。
依頼者は、必ずゴルゴ13と直接に会って依頼の内容や事情を話さなければならない。
ゴルゴ13の条件を満たせば、依頼が成立する。
そこには、正義とか善悪という価値判断は、入り込まない。
これに対して、私が思い出してしまうのは、テレビでやってた「必殺シリーズ」である。
最初のシリーズは、1972年の「必殺仕掛人」らしいのだが、毎年タイトルが変わっている。
そのあと、仕置人や助け人というのもあって、藤田まことが主役になるのは、1974年からの第4シリーズ「必殺仕置人」からである。
必殺シリーズは、弱者の恨みを晴らすために、裏の仕事を遂行するというものである。
「合法的には裁くことができない悪人に復讐する」という点では、勧善懲悪であるがただの正義の味方ではなく金銭を受け取って仕事をやる殺し屋である。
そこが、ゴルゴ13とは大きく違うところである。
連載が始まってから、50年以上になる。
ゴルゴ13は、どうしてこんなに続いているのだろうか。
ゴルゴ13が活躍する舞台となるのは、地球上のいろいろな国々である。
そして、狙撃の依頼者はさまざまな問題の中にいる。
民族問題もあるし、宗教問題だったり、経済問題だったり、情報問題など、我々の目に入ってくるようなすべてのものがその対象になっている。
国と国だったり、ある国の国内問題もある、会社や組織間のトラブルだったりもする。
今のコロナの問題も、もう少ししたら取り上げられるだろう。
いくらでも、ゴルゴ13が活躍する場所はある。
タイトルに脚本担当者名が表示されているように、最も重要な役割だと思われる。
映画を制作するような方法で、作っているらしい。
何人かの脚本担当者が、並行して長時間をかけて物語を作っていく。
さいとうたかをさんは、プロデューサーなのだろう。
作画の担当者も、大人数でやってるようだが、ゴルゴ13の顔だけはさいとうさんが描いていると言ってた。
みんなやりたがらない。微妙に違ってしまうらしい。
最新巻を読むと、マスコミなどを通して表面的には知っている問題が取り上げられていることがある。
その問題の核心に、ゴルゴ13は入り込んでいく。
なるほど、そういうことか、と思うことも多い。
ゴルゴ13の行動は、今までの行動から予測できるものがあり、ワンパターンと言えなくもない。
そういう意味では、この作品の魅力はやはりゴルゴ13の目を通して見えることを、読者に提供していること、になるのではないだろうか。