力仕事をする機会がある人は、ギックリ腰には注意しないといけない。
不安定な中腰からの動きでは、無理は禁物である。
年を重ねてからは、若い時と同じような体ではない。
私は、40代の頃に、ギックリ腰になってしまった。
ギックリ腰になったことのない人は、このことばを聞くと笑うと思う。
「ギックリ腰」ということばの響きや字面がそうさせるのだ。
体験者である私からすると、笑いごとではない。
死ぬ思いというくらいに、苦しい。
ギックリ腰も、たぶん程度があるので、甘くみると悪化させてしまう。
職場で、かなりの重量の荷物をいくつも運ぶ必要があった。
私は、力仕事は自信があったし、そういう作業は好きなので一人でやっていた。
荷物を持って、中腰から腰を伸ばす時にちょっと痛みを感じた。
でも、たいしたことはなかったので作業を続けていた。
そのうちに、強い痛みがあって、おさまらなくなった。
帰宅しても、痛みは無くならないので、翌日接骨院に行った。
まだ、無理すればなんとか歩けた。
診察が終わって、たぶん湿布薬をもらって帰った。
あんまり、よく覚えてない。
帰って、横になっているうちに、痛みで身動きができなくなった。
横になって、寝返りも打てなくなった。
少しでも、体を動かすと激痛が走る。
その晩は、一晩中一睡も出来なかった。
呼吸をしても、激痛になった。
このまま、痛みが治らず動けなくなったら、どうしようと思った。
何かの映画で、戦争で重傷を負い、意識はあるのに体がまったく動かない、というのを観たのを思い出した。
自分も同じように、なってしまうのだろうか。
息をするのさえ、苦しい思いだった。
2、3日そんな状況だったのだから、仕事も休んだのだと思うが、記憶は曖昧である。
回復できないのではないか、と真剣に考えた。
それでも、なんとか復帰できた。
その時に、思った。
この苦しみと痛みは、いくらことばで言っても他人には伝わらないだろう。
経験した人にしか、わからないことだ。
後になって思うのは、あの時無理して病院へ行かなければよかった。
静かに、横になっていれば良かった、ということである。
必ず予兆はあるのだから、無理をしないのがいいと思う。
ギックリ腰と言われるのも、いろいろあるらしいが、悪化させると「椎間板ヘルニア」というものになるらしい。
椎間板ヘルニアというのは、椎間板や椎間関節を損傷し、髄核が飛び出して神経を圧迫してしまうものらしい。
難しくてよくわからないが、とにかく痛そうなのはわかる。
きっと体が丈夫で、忍耐強い運動選手とかが、なりやすいかも知れない。
その後、何回か腰の痛みを感じたことがあったが、とにかく無理をしないことにしている。
私は、暑がりなので体を冷やしがちである。
体を冷やすのは、腰痛には良くない。
あれ、ちょっとあぶないかな、という感じがあるのだ。
そういうところは、気をつけている。
二度とあの苦しさは、体験したくはない。