私が育った秋田県は、塩分摂取量が多いといわれる。
料理の味付けが特に濃いとも思わない。
やっぱり、漬け物を多く食べるからだろうか。
秋田には、いろんな漬物があるらしい。
あるらしいというのは、秋田でも地域で違ってくるからである。
かつて、秋田から離れて、関東に来た頃、「いぶりがっこ」はあまり知られてなかった。
秋田で育った私も、知らなかった気がする。
「いぶりがっこ」は、内陸南部地方の伝統漬物ということになっている。
内陸南部って、どのあたりだと思ったのだが、湯沢市の周辺らしい。
「いぶりがっこ」はある業者が、商標登録していているので、「いぶり漬け」という名称も使われているらしい。
我が家にも、囲炉裏はあったので、それで大根を燻製にすることは可能だったと思うが、やっていた記憶はない。
秋田の北部では、やっていなかったと思う。
燻製はやっていなかったが、大根を乾燥させることはしていた。
軒下なとに吊るして大根を乾燥させると、しなびた感じになって体積が何分の1かになる。
それを、ぬか漬けにしていた。
生の大根に比べて、歯ごたえがあって、生の大根とは違ったうまみがある。
味噌漬け大根というのがあったのを、思い出した。
梅干しと並んで、おにぎりによくいれていた。
名前のとおり、大根を味噌に漬けたものである。
色も味も、まさに味噌である。
イメージ的には、奈良漬けに似ているが、酒粕ではなく味噌につけてあって、きゅうりなどではなく大根である。
大根は、意外に柔らかかったと思うので、干し大根ではなく、生の大根をつけていたのかもしれない。
とにかく、味が濃いのでおにぎり向きだったと思う。
お茶漬けでも、いいかもしれない。
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秋田を離れて、50年になるが冬になると食べたくなる漬物がある。
「ナタ漬け」である。
冬の寒い日に、ナタ漬けの樽に張った氷を割って、漬けられた大根を取り出す。
なんで、ナタ漬けというかと言うと、大根をナタでバッサバッサ削っていたかららしい。
まだシャキシャキした大根が、歯応えよくてうまかった、という記憶だけ残っている。
この50年、食べていない。
どこでも、売ってない。
氷が張るような寒いところでないと、食べられない漬物だ。
暖かいと、発酵が進んでしまうだろう。
たぶん、酸っぱくなってしまうんじゃないだろうか。
なにしろ、私が子どもの頃の農家は、家の中でも物が凍った。
食用油が凍って、瓶の中で白くなっていた記憶がある。
「ナタ漬け」のことを考えていたら、むしょうに食べたくなった。
自分で作ろうと、大根と酒粕と甘酒を買ってきてしまった。
食べれるようなものができるかは、ちょっと自信がない。
ナタ漬けは、一切れが大胆に大きかったが、私は少し小さめにした。
塩をふって、冷蔵庫に一日置いておく。
水分が出たのをとって、粕入りの甘酒を入れて、また冷蔵庫へ入れる。
一日して、食べてみたが、サッパリして、シャキシャキしてうまかった。
これなら、これからもつくってみよう。
私が、畑に育つもので育ったのは確かだ。
自宅のまわり北と東は、畑だった。
家庭用の野菜を育てていた。
いろんな種類の野菜を、3畝とか4畝とかづつ作っていた。
そのせいか、今でも野菜は好きである。
子どもの頃は、そんなに野菜の種類は多くなかった。
大根は、よく買ってしまう。
辛い大根のおろしで、ご飯を食べるのが好きだったな。
子どもがあまり食べないような、辛い大根がよかった。
それから、ウラナリではない太ったきゅうりで、水分をとっていた。
書いていて、思い出した。
キャベツのことを、「玉菜(たまな)」って言ってた。
ジャガイモは、暑い炎天下に掘ってた。
今年は、ジャガイモが悲しくなるくらいに、値段が高かった。
テレビを見てたら、最近になって野菜がだいぶ安くなってきたらしい。