晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

青空文庫がひろげた世界

野村胡堂さんの「銭形平次捕物控」を読んでいる。

今読んでるのは、166話の「花見の果て」という作品である。

2月ごろに、「銭形平次捕物控」を読んでることを書いたが、その頃はまだ30話までいってなかったと思う。

ほとんど毎日、少しずつ読んでいる。

青空文庫の作品リストを見ると、野村胡堂さんの作品は518点登録されている。

他に、入力作業中として、71点が登録されている。

銭形平次捕物控」は、367話まであるので、先は長い。

 

青空文庫」に出会ったのは、いつのことになるのだろうか。

青空文庫は、 1997年2月に設立されている。

富田倫生、野口英司、八巻美恵、らんむろ・さてぃの4人が呼びかけ人となって発足した。

青空文庫のトップページには、次のような文章がかかげられている。

 

電子出版という新しい手立てを友として、私たちは〈青空の本〉を作ろうと思います。
青空の本を集めた、〈青空文庫〉を育てようと考えています。

 

これは、青空文庫の基本的な姿勢をまとめてある「青空文庫の提案」の冒頭部分です。

私にとっては、青空文庫はとても身近な存在なのだが、一般の人にとってはどの程度知られてるのだろうか。

青空文庫は、著作権が消滅した作品や著者が許諾した作品のテキストを公開しているインターネット上の電子図書館である。

収録作品数は、今日現在で16,625となっていた。

 

我が家のPCが、インターネット接続したのは2000年頃だと思う。

そして、PDAソニーのクリエで、通勤時に音楽やテキストを読むようになったのが、2003年当たりらしいので、その頃には青空文庫を利用していたはずである。

インターネット上に、古典の文学作品のライブラリがあることを知って、いろいろと調べていた。

研究者のサイトもあったし、個人的な図書館などもあった。

変わったところでは、ヴァージニア大学の日本語ライブラリがあった。

たぶん青空文庫のお手本となったであろう「プロジェクトグーテンベルグ」という英語中心の電子図書館もある。

これは、1971年にアメリカのイリノイ大学の学生だったマイケル・S・ハートが、設立したものである。

トップページを見たところでは、“over 60,000 free eBooks"となっている。

テキストの他に、HTMLやEPUBKindleさらに画像の有無でも提供しているようなので、実際の作品数はよくわからない。

 

青空文庫を設立するにあたって、中心人物であった富田倫生さんは、2013年8月16日に亡くなった。

私は、青空文庫の存在を知ってとても感激して、富田さんの著作も何冊か読んだ。

「青空のリスタート」「パソコン創世記」「本の未来」

これらの作品は、青空文庫に収録されている。

広島に生まれ、コンピュータと出会い、電子書籍とのかかわりの中で、青空文庫を構想していってる。

年上の存在だと思っていたが、1952生まれだから、たった一歳年上だった。

「青空のリスタート」には、若い頃の療養の日々が記録されていたような気がする。

私の一方的な気持ちであるが、身近に感じていた。

もう一度、この三つの作品を読んでみよう。

 

すべての著作は、個人の作品であると同時に、みんなの共有財産でもある、という私の考えは青空文庫を知ることで生まれたもののような気がする。

若い頃に、初めて購入した個人全集が「宮澤賢治全集」だった。

その後に、「菅江真澄全集」を手に入れた。

宮澤賢治の作品は、青空文庫に276作品収録されている。

これが、全作品のうちのどの程度の割合になるのかは、わからない。

分厚い全集を開くことが、少なくなっていたので、手放すことにした。

青空文庫があるから、まあいいか、ということである。

菅江真澄の作品は、断片的なものはあっても、ほとんどテキスト化されていない。

青空文庫を知った頃に、菅江真澄の作品をテキスト入力することにした。

一番の目的は、PDAで読むことだったと、思う。

青空文庫に登録することも考えたが、いろいろと障害になるものがありそうで、やめた。

テキスト化は、中断をしながらも、続けてきた。

ブログをはじめるにあたって、菅江真澄の作品を載せようと思った。

ほとんど人の目にふれることのない菅江真澄の作品と人が、ひとりでも知ってもらえればいいなと思う。

 

青空文庫に登録されるテキストは、入力者が入力したいと思ったものが選ばれている。

だから、搭載されている作品についてはかなり、むらがあるような気がする。

私のように、古典的な作品に関心がある人にとっては、満足できないところがある。

それは、前に述べたような青空文庫の基本姿勢があるので、どうしようもないことである。

著作権が消滅した作品を対象とすることになっているので、著者の死後50年後でなければ搭載できなかった。

それが、著作権法の改定によって著作権の消滅が、50年から70年になってしまった。

1069年に亡くなった人の著作権は70年となり、2038年まで著作権が有効になったのである。

これは、TPP協定の締結によるもので、そうせざるを得なかったものだ。

つまり、2039年にならないと、新規の搭載対象者があらわれないということになる。

それでも、現在も新規登録作品が年間500から600ほどあるのだそうだ。

年間のアクセスが、1000万というのは、それなりに存在意義を得ているのかなと思う。

私は、ただ利用して応援してるだけだが、2039年まで青空文庫がしっかりと存在していて欲しいものだと思う。

 

 

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