晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

下総台地の高低差を行く

ひとりで出かける時は、基本的に歩いて行く。

買い物でも、図書館や城址城郭そして寺社仏閣も、歩いて行く。

妻や、家族と一緒だとなかなかそういうわけにはいかない。

車と違って、歩くと時間がかかる分、目的地までの経過を楽しめる。

 

意識して歩くことにこだわるようにしたのは、この数ヶ月である。

歩いていると、土地の高低差というのがとても気になる。

もちろん、車で走ってても土地の高低差が気になる人間だった。

私の住んでるあたりには、山と言えるようなものはまったくない。
高低差と言っても、最高でも30mあるかないかである。

でも、歩いていると、人間の生活にとって、わずか数メートルの土地の高い低いがいかに重要かがわかる。

 

今は、空き地があれば、どこでも住宅を建ててしまう。

でも、昔の人たちはどういうところに住居を作ったのか。

どういうところに、集落があったのか。

明治初期の地図を見れば、はっきりとわかる。

集落は、高台にあり、低地は「水田」となっている。

集落の近くに、「畑」があり、それ以外が「松」や「椚」と表示されている森林である。

神社は、集落と森林の境にあり、森林を背後に背負う形で存在している。

きれいに、住み分けをしていた。

水田のあるような低地は、大雨が降れば水があふれるだろうから、そのような土地に住居は作らない。

 

東葛飾郡というのが、私の住む柏市の周辺のかつての地域名だった。

今は、その地域内は野田市流山市松戸市浦安市我孫子市柏市鎌ヶ谷市市川市船橋市と、すべてが市に昇格したので、郡名を必要とする町村はなくなった。

私が、この地に移ってきた1970年台は、関宿町、沼南町はまだ、野田市柏市と合併してはいなくて、浦安も東葛飾郡浦安町だった。

浦安が浦安市に昇格するのは、1981年で、その2年後1983年に東京ディズニーランドが開業している。

千葉県北部には、「下総台地」又は「北総台地」と呼ばれる台地がある。

標高は概ね20m〜40mであり、なだらかな起伏が続くが、東部は香取市香取郡東庄町などでは50mを越えるところもある。

この台地が、長い年月の中で、雨風に削られて谷になり川になり、低湿地ができたり、湖となっている。

なだらかな台地なので、川は東西南北いろんな方向に流れる。

他の大きな流れと合流して、さらに流れるのである。

 

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アプリ「スーパー地形」 下総台地

かつては、低湿地は田んぼにするしかない土地で、住宅は作らなかった。

雨が降れば、台地から集まった雨水は低い方に集まっていって、場合によっては田んぼを水浸しにしたことだろう。

そのような心配のない高台に集落をつくり、その周辺で畑作をした。

畑作ならば、水田のような用水の確保の心配をしなくてもいい。

わかりやすい問題だったのだ、と思う。

しかし、私の住む周辺では、かつて水田だった土地がどんどん住宅地になっている。

台地の森から流れ出る小川だった流れは、フタされて暗渠になって、川の面影はない。

降雨量によっては、排水が追いつかなければ、行き場を失った雨水が住宅地を水浸しにするかも知れない。

 

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日本の地形千景より 下総台地

八街市まで出かける用事があって、車で出かけた。

妻の実家が、かつては八街市の先の山武市にあったので、ずいぶん長いあいだ、たぶん10年以上通った道である。

八街といえば、最近子どもを巻き込んだ悲惨な交通事故があった。

ニュースを聞いた時、あのあたりだとすぐに思いうかんだ。

両側に広大な落花生畑がある中を、真っ直ぐな道が続いていた。

考えたら、下総台地の西端にある柏から、だんだんと標高が高くなっていく台地の中部に向かうことになる。

総距離は、55kmくらいになるが、国道を避けて通行量の少ない県道を選んで走った。

ほとんどが、緑に囲まれた道である。

ところどころで、低地に出て、水田の緑があざやかである。

小林牧場、印旛捷水路、順天堂大キャンパス、など久しぶりで近くを通った。

住宅地化が進んでいるとは言っても、まだこんなに緑が残ってるのだ。

緑の森が徐々に減っていくのを間近で見ているので、すこし安心した。

 

 

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