晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

青空文庫と電子書籍

青空文庫について、先日のブログに書いた。

青空文庫のことを、ネットで調べていたら「青空WING」という電子書籍が見つかった。

この電子書籍には、青空文庫文庫に収録されている作品が網羅されている。

最新版は、2021年3月15日版で、何と1055作家、16310作品がひとつの書籍に納まっている。

その他に、作家別作品リストという作家の概要、公開中の作品、作業中の作品の一覧がわかるものが収められている。

さらに、作品ごとの図書カードがあり、作品データ、作家データ、底本データ、工作員データ(入力・校正)もわかる。

この電子書籍は、大久保克彦さんという研究者の方が作成したものである。

これは、EPWINGという電子書籍の規格で作られている。

この規格は、どちらかというと電子辞書のためのものであり、かつては多くの辞書が発売されていた。

とにかく、1万を越える作品が、一つの電子書籍に収録されているのである。

紙の印刷物にしたら、どれくらいのものになるだろうか。

 

EPWINGという規格は、岩波書店が 1987年に「広辞苑」のCD-ROMを制作したところから出発したらしい。

その後に、電子出版物の共通フォーマットにしようと、1991年に岩波書店大日本印刷凸版印刷富士通ソニーが参加して「EPWINGコンソーシアム」を結成している。

一時は、多くの電子辞書が発売されたようだが、近年はほとんど存在感がなくなっている。

しかし、電子書籍作成ツールの「EBStudio」というのがあったので、いろんなサイトで古典作品のテキストを探していた私は、このソフトに興味を持った。

hisidaさんという方が、開発したシェアウェアだったが、フリーライセンスもあったので使わせていただいた。

考えることは同じようなものというのか、私もやはり青空文庫電子書籍にしていた。

「青空WING」はあくまでも、研究者が研究のために役に立つものとして作ったものであるが、私が作ったのは単に作品をまとめただけだった。

それでも、「作家名+作品名」を見出しにしたので、作家名で検索するとその作家の作品がズラーっと出てきた。

 

その頃私は、ソニーのクリエというPDAを使っていた。

OSは、palmOSだった。

と言っても、今となっては死語かも知れない。

電話通信機能のないスマホみたいなものである。

私の好きなミニコンピュータだった。

クリエで、電子辞書が使えるということを知って、どうしてもやってみたくなった。

日立が「マイペイデア」という電子辞書を発売していた。

それは、独自規格なのでEPWINGに変換しなければならない。

「マイペイデア」は、デアゴスティーニが付録で付けていた。

それを、苦心惨憺して、EPWINGに変換した。

それをクリエで使うためのソフトは何だったかな。

調べてみて、わかった。

Buckingam EB Player だった。

なつかしい名前である。

それを、メモリーカードに入れるのだが、ソニーなのでメモリースティックだった。

容量は、128メガバイト(MB)だった。

ガバイトではなく、メガバイトである。

いかに、ファイルのサイズを小さくするかが、最重要だった。

そんなに辞書があってどうするのか、というくらいにいろんな辞書を手に入れて変換していた。

ひと頃は、集めたテキストで辞書をつくってばかりいた。

我ながら、「テキストおたく」だなと思ってた。

 

青空文庫創始者の一人である富田倫生さんが、青空文庫を構想したことのきっかけのひとつは、電子書籍にかかわったことであるらしい。

著作者としていろんな書籍にかかわってきて、その書籍が絶版になってしまって、自分の著作が人に読んでもらえなくなってしまう。

そのことが、とても納得できないことだった。

文章を書く人にとっては、最も大事なことは人に読んでもらうことなのだろう。

電子書籍なら、読んでもらえるのではないかと考えたようだ。

紙に印刷した書籍は、いろんなハードルがある。

一冊の本を、出版するのは簡単なことではない。

印刷して、販売ルートに乗せて流通させなければならない。

電子書籍ならば、ネット上のサーバーに置いて、サクセスさえしてもらえれば読んでもらえる。

現在の青空文庫に収録されている作品のうち、著作権のある作品、つまり著作権が消滅していない作品は359だけである。

これからは、これら著作権のある作品を増やすことが重要だろう。

 

その頃、富田さんはボイジャーという企業のエキスパンドブックという規格に期待していたようだ。

エキスパンドブックは、私も使ったことがあるが、たしかに紙の本のように読むことができた。

初期の青空文庫ボイジャーがサーバーを提供していたという。

だから、初期の青空文庫が提供している文書の種別は、「テキストファイル」「HTMLファイル」「エキスパンドブックファイル」の3種類になっている。

その後、電子書籍のファイルとしては、アドビ(adobe)が開発して無料提供したPDFが存在感を増していった。

現在は、青空文庫の新しい文書提供から、エキスパンドブックは消えている。

むしろ、青空文庫形式というテキストファイルの形式に対応するソフトウエアが増えているので、もしかすると中心的なファイルになっているかも知れない。

最も単純なテキストの方が、容量も小さく扱いも容易で、ビュアーの方でいろいろと工夫ができるので、現実的かも知れない、というのはおもしろいと思う。

 

 

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