山手線の池袋-大崎間が、工事のために二日間運休になるというニュースがあった。
工事は、渋谷駅の線路切り替えのためのものらしい。
ニュースの中で、「目白駅」が山手線しか停車しない駅ということで、取り上げられていた。
私は、目白駅は使ったことがない。
山手線には、30の駅があるらしいが、たぶん私はそのうちの半分も使ったことがないだろう。
3分の1の10駅くらいなら、使ったらことがあるかもしれない。
高田馬場駅の近くに、「トップ靴店」という登山靴の専門店があったからだ。
就職して、本格的に登山を始めようとして、登山用品を揃え始めていた。
その頃住んでいた柏や松戸には、登山用品の専門店はなかった。
ザックやストーブなどは、そこで買っていた。
でも、登山靴は「トップ靴店」でつくることにした。
その頃愛読していた「山と渓谷」に広告が出ていたし、登山の先輩である友人の勧めもあったと思う。
私の足は、甲高幅広の列島原住民型なので、既製品の登山靴ではダメだったろう。
足の採寸をしてつくった登山靴は、ぴったりしていて、登山道が石っころでも、泥んこでも、安心して歩けた。
足の裏が痛むこともなかった。
しっかりした作りだけに、ずっしり重かったが、若かったので気にならなかった。
その後、軽さを売りものにした軽登山靴を履いたこともあったが、すぐにダメになった。
トップ靴店であつらえた登山靴は、ソールが減って、張り替えたこともあるが、今でも現役で使える。
しかし、「トップ靴店」は、だいぶ前に閉店してしまったらしい。
あまりにもいい登山靴を作ったので、買替え需要が無かったのではないか、というのがネットの検索したら、出ていた。
なにしろ、40年以上前のものが、まだ使えるのだから、そういう気がする。
結婚して、妻も少し山歩きをするようになって、登山靴が必要になった。
でも、本格的な登山靴では重すぎるので、チロリアンシューズならいいのではと思った。
採寸して足に合ったものだったので、ちょっとした登山でも使えた。
二人で、おそろいでつくったので、ふだんも使っていた。
トップ靴店のチロリアンシューズは、靴底が登山靴と同じビブラムソールを使っているので、しっかりしすぎて、妻には少し重かったようだ。
その頃買った登山用品で、今も使えるものがもう一つある。
煮炊き用の「ストーブ」である。
コールマンのホワイトガソリンを使うストーブを買った。
ホワイトガソリンは、オクタン価の高い自動車用の「赤ガス」とは違って、オクタン価が低く煤が出にくいので、ストーブやランタンに使われている。
最近のキャンプ用品では、燃料はカートリッジ式になっていて、カートリッジを交換するだけでいい。
その頃のストーブは、缶から移し替えなければならなかった。
タンクに、ポンピングによって圧力をかける必要があったり、取り扱いがかなり難しかった。
ずいぶんと失敗しながら、扱えるようになった。
慣れると、火力も強く手放せなくなる。
カートリッジ式は使いやすいけれど、いつも予備のカートリッジを用意していなければならない。
それが、現実にはなかなか難しい。
しばらく、出番がなかったのだが、処分はしていなかった。
昨年からファミリーキャンプを始めた長男が、使ってみるというので渡した。
ちゃんと使えているようだ。
なんと、これも40年ものである。
アナログなもののすごいところは、メンテナンスさえすれば長く使えることだ。