「鳥瞰図」を見に柏市立図書館の本館に行ってきた。
「千葉県市街鳥瞰図」というものが、蔵書としてあることがわかったからだ。
この鳥瞰図は、松井天山という方が、昭和2年(1927)から昭和13年にかけて作成したものである。
保存されていた1市25町26枚の鳥瞰図が、平成元年(1988年)に復刻されたものだ。
私はこのうちの、「柏町鳥瞰図」を見たことがあった。
これは、山本鉱太郎氏の「新利根川図志」という書籍のなかに、資料としてとじ込まれていた。
ネットを検索すると、この鳥瞰図を掲載しているサイトが、いくつかあった。
自分が知ってる街である柏の昭和4年の姿に、感激した。
昭和4年は、1929年であり、あと数年で1世紀前になってしまう。
描かれている街並みを見ていると、ほとんど覚えのあるお店や会社の名前はない。
かろうじて道路が、現在の道路とくらべて、あのあたりだろうとわかるだけである。
図書館の禁帯出という貸出の不可の図書だけがある「参考室」に行った。
目的の「鳥瞰図」は、一般書架にはなく、窓口担当者に声をかけて出してもらうようになっていた。
図書館のウェブサイトで検索したところでは、この鳥瞰図は購入価格が、4万5000円となっているものや、3万6000円となっているところもあり、よくわからない。
紙箱入りの鳥瞰図を受け取って、閲覧机の上で広げて見た。
折り畳まれた26枚の鳥瞰図と解説書が入っていた。
解説書には、各市町の歴史に詳しい研究者の解説文が収められていた。
収録されているのは、次の各市町だった。
千葉市街 船橋町 東金町 四街道 市川町 本納町 勝浦町 佐倉町 津田沼町
中山町・葛飾村 八街町 柏町 木更津町 幕張町 茂原町 検見川町 佐原町
大多喜町 松戸町・明村 一宮町 大原町 八日市場 多古町 八幡町 笹川町 成田山
市町村合併によって、無くなってしまった町もあるが、県内の主な市町はあるような気もするが、ムラもあるような気もする。
私の住む東葛飾の地区でいえば、収録されているのは、「松戸」と「柏」だけである。
千葉県は、安房国と上総国と下総国からなるが、江戸幕府のお膝元であり幕臣が配置された。
大多喜、佐倉、関宿などには、重臣が置かれた。
小藩の多かったこの地域では、3万石以下の大名は、城を築かず城門のある陣屋を築いたようである。
そのような町の成り立ちの事情も、これらの市町のリストににつながっているかもしれない。
鳥瞰図は、きれいに折りたたまれていた。
開いてみると、鳥瞰図はそれぞれに大きさが違っていた。
柏市立図書館のウェブサイトの検索では、詳細な内容は掲載されていなかったが、松戸市立図書館の方には各市町の鳥瞰図ごとのサイズが載っていた。
たとえば、柏町の鳥瞰図は、縦横が47×61cmであり、A2サイズの42.0×59.4cmよりも大きい。
このサイズが最も多く、14の図がこれに近いものだった。
さらに大きなサイズもあって、千葉市のものは56×81cmもあって、A1の59.4×84.1cmよりも小さく、8市町であった。
このサイズを、細長くしたものあって、39cm×81cmという特殊なものであり、東金町、佐倉町、中山町・葛飾村、八日市場である。
このうち中山町は市川市と、葛飾村は船橋市と合併し消滅している。
また、成田山のものは、成田市ではなく「成田山新勝寺鳥瞰図」となっており、当時の代表者であった大僧正の方の肖像が図の中に載っていて、しかも唯一色刷りである。
小さめのサイズでも、A3サイズで2枚分近くの大きさだ。
図書館にあるコピー機はA3対応なので、コピーはできない。
そこで、山本鉱太郎さんの他の著書に鳥瞰図が掲載されているかもしれないと、思いつく。
「新利根川図志」の他に、「江戸川図志」、「房総の街道繁盛記」、「旧水戸街道繁盛記」が、山本さんの地元流山の崙書房から発行されていた。
特に、「房総の街道繁盛記」には、10枚以上の鳥瞰図が掲載されていた。
見開き2ページで、一枚の鳥瞰図であり、それでちょうどA4の大きさになる。
4分の1から8分の1に縮小されているので、詳細は判読するのがむずかしい。
しかも、製本の都合上、見開き部分が接着してしまって、つぶれている。
とりあえず、10枚ほどコピーした。
A4で等倍コピーしたのだが、帰ってから気がついた。
A3に拡大コピーすることは、可能だったじゃないか。
その方が絶対に見やすい。
鳥瞰図というのは、私のような地図好きには魅力的なものである。
限られた長方形の中に情報を収めるので、犠牲になるものがあるのは確かである。
ネットに鳥瞰図の詳細なデータがないか、探してみた。
拡大すると、細かい部分の文字が読めないものが多い。
その中で、素晴らしいサイトを見つけた。
多古町の鳥瞰図である。
多古町といえば、現在は「多古米」で知られていて、我が家は「道の駅」やアジサイを見に行くことがある。
戦国時代には、多古城があったらしいが、江戸時代は城ではなく、陣屋があった。
「多古町デジタルアーカイブ」にある「鳥瞰図」は実物を手にして見るように楽しめる。
今のところ、千葉県内で鳥瞰図を掲載している市町村のサイトは、「多古町」しか見つからない。
鳥瞰図は、奥が深そうなので、続編を書きます。