晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

水底の星々 冬佳影さんの時代小説

冬佳影さんの時代小説を読んでいる。

このところしばらく、野村胡堂さんの銭形平次捕物控を読んでいたが、今は中断している。

銭形平次捕物控は、青空文庫の作品リストを見ると、あと70作品くらいは残っているようである。

まだ、入力されていないものもあるようなので、実際にはもっと多いだろう。

たまたま、スマホのSDカードのbookフォルダに、冬佳影さんの作品を入れてあるのを見つけて、読み始めたら止まらなくなって、読み続けている。

 

冬佳影さんの作品に出会ったのは、15、6年前のことである。

どんな経緯だったかは覚えてないが、ネットで「スワン ナダ ストーリー」というサイトを見つけた。

そこに、いくつかの時代小説があった。

読み始めたら、おもしろくて、ほとんどを読んでしまった。

何に惹かれたのだろうか。

作品のほとんどをコピーして、保存していた。

作者である冬佳影さんという人が、アマチュアの小説家らしいということ以外には、まったくどういう人かわからなかった。

 

時代は江戸時代、場所はほとんどが江戸であるが、そうではない地方の場合もある。

登場するのは、社会の底辺にいる人たちである。

乞食の少年や、賭場にかかわる者たち、浮世絵の彫師なども登場するが、表に出せないようなあぶないものに手を染めている。

侍もいるが、廻組などという目付の手先として、同じ侍を監視したり、密かに暗殺したりという、汚れ役を強いられている。

岡っ引きの子分の「下っ引」は、まわりから「犬」扱いされている。

捕物のような華やかな、役割ではない。

いづれも、やるせない世界の、やるせない物語である。

光のない、明日のない生活を淡々と描き、光が見えるかどうか、それとも幻なのか、というように終わる。

どうして、こんな作品を読んでしまうのだろう、と思う。

今回の文章のタイトルの「水底の星々」というのは、彼の長編小説の作品名である。

主人公が子どもの頃に幼なじみの女の子と近所の占い師の女性から、井戸の底の水面に未来が見える、と教えてもらったことからきている。

 

冬佳影さんの作品はだいたい読み終わってるつもりでいたが、読み返してみるとそうでもなかった。

読んだ記憶のない作品もあった。

10年以上経っているので、その後書いた作品がないか探してみた。

検索しても、ウェブサイトは無くなっていた。

単行本として発行された書籍も無いようだった。

ただ、Amazonkindleストアに彼のページがあった。

そこには、このように記載されていた。

パソコン通信時代からスワム・ナーダとして時代小説の執筆を開始。以来、インターネット上で継続的に活動をしている。現在、KDPを中心に、時代小説、アクション、SF、ホラーなどジャンル横断的に小説を発表中。最近の興味の中心は、敗戦後からの近代史。」

KDPというのは、「kindle ダイレクト パブリッシング」ということで、初期費用なしで、個人が紙の書籍や電子書籍を出版できる仕組みらしい。

紙の書籍が最大60%、電子書籍が最大70%のロイヤリティを受け取れるとなっている。

数えてみたら40冊あって、有料で販売されていた。

紙の書籍としてではなく、電子書籍として発行されている。

今は、そのように活動している作家も多いのだろう。

どれくらい新しい作品があるかは、まだ確認していない。

 

私は、20代までは小説を読んでいた。

日本文学の全集も持っていたし、ドストエフスキーロマン・ロランも読んだ記憶がある。

それが、ぱたっと読まなくなった。

小説のようなものが、面倒くさくなったのだろう。

それでも、考えてみると、少しは読んでいる。

推理小説好きの友人に薦められて読んだのが、「マルティン・ベック」のシリーズ。

スウェーデンの警察小説で、マイ・シューヴァルとペール・ヴァールーの夫婦の作品である。

マルティン・ベックという警察官を主人公にした全10冊のシリーズらしいが、私が最初に読んだのは第4作の「笑う警官」だった。

たぶん、5、6冊読んでいる。

彼をとりまく個性的な同僚たちや、犯罪をとおして描かれるスウェーデンの社会などが、とても印象深かった。

 

そして、このブログにも書いたことのある、ディック・フランシスの競馬犯罪小説。

図書館のリサクル本のコーナーから持ち帰ったことがきっかけで、読み始めた。

イギリスの騎手出身の作家である彼の作品から見えてくるイギリス社会の様子は、とてもおもしろいと思う。

日本の競馬界とは、まったく違う競馬の世界があるようだ。

40冊以上ある彼の作品から、まだ読んでいないものを見つけて読んでみようとしているのだが、なかなか進まない。

 

もうひとつが、シャーロク・ホームズだった。

コナン・ドイルの名前やホームズのことは知っていても、読んだことがなかった。

シャーロックホームズを読んだのは、青空文庫を知ってからである。

青空文庫にもホームズものは掲載されているが、翻訳ものは著作権が関わってくるので、新しく翻訳した方が入力者になっているようだった。

ネットを探していたら、シャーロック・ホームズ全集を翻訳したサイトもあったので、それを読むことができた。

だいたいは読んだ気がするが、読みもらしてるのもありそうだな。

このシリーズが書かれたのは、明治の中ぐらいから昭和の初め、ということだ。

 

どうして、こんな人たちの小説を読んでいるのだろう。

私にとっては、時代や国が遠い方が、自分に身近なものよりも、想像を働かせるにはいいのかもしれない。

 

 

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