故郷の秋田に住んでいる幼馴染に電話をした。
昼のニュースで、故郷の街である大館の映像を見たからだ。
ニュースの映像では、河川の氾濫による浸水や、橋の崩落の様子が映っていた。
私の郷里の村は、大館市の山間部にあるので、どんな具合なのか心配だった。
このところ、私の故郷である秋田県北部は、集中豪雨に見舞われていて、テレビニュースで取り上げられることも多い。
1週間ほど前には、秋田県北部や青森県に線状降水帯が発生し、降水量がとてつもないとのことが伝えられていた。
幼馴染の話では、私の郷里のあたりでは、特に被害が出ていない、ということだった。
彼は、2年前にふるさとの村に帰った。
米代川の源流は、岩手県八幡平市であるが、大館市を経て、私の故郷の岩瀬川を合流している。
白神山地を源流とする岩瀬川の流れる村で、彼と私は育った。
私たちの村の真ん中を、岩瀬川は北から南に流れていて、村の東西は橋で繋がっていた。
けれども、川の流れが深く落ち込んでいて、川が増水しても住宅地まで浸水することはなかった。
しかし、水田は住宅地よりは低い場所にある場合もあったので、浸水するところもあっただろう。
上流には、五つほどの集落があるのだが、川の流れと住宅地の落差がそれほど大きくはなかったので、心配だったのだが、、豪雨による被害は特に無かったらしい。
大館市は、北部の白神山地、南部の比内連峰など、四方を山に囲まれた盆地にある。
そして、東西に流れる米代川と北東から合流する長木川に挟まれている。
かつて、大館城のあった旧市街地は、河川から離れた高台にある。
私は、高校時代を大館市街に住んでいたが、豪雨などの河川の氾濫の記憶はない。
数年前の台風での、岩手県の大災害があって、それ以来東北での台風や集中豪雨が多くなった気がする。
今年は、ついに線状降水帯が発生した。
これまでは、テレビで、大館の話題が取り上げられるとすると、「秋田犬」か「きりたんぽ」くらいだったと思う。
「秋田犬」は、秋田県原産であるが、大館市はその中心地である。
「秋田犬会館」というのは、昔からあったし、大館駅前には忠犬ハチ公の像がある。
世界では、"akita"といえば、秋田犬のことらしい。
最近になって、大館駅前店に「秋田犬の里」という施設ができた。
入場無料で、秋田犬にふれあえるのがうりだったらしいが、コロナのせいで今は「ふれあい」はやっていない。
2年前、伯母の葬儀で帰郷したときに、初めて「秋田犬の里」によってみた。
すでに、「ふれあい」は中止していたが、ガラス越しに見ることはできた。
「きりたんぽ」といえば、「比内鶏」であるが、大館市の南部が「旧比内町」である。
平成の大合併の時に、私の郷里である「田代町」とともに、大館市と合併した。
古くから飼育されていた「比内鶏」は天然記念物なので、食用できない。
市場に流通しているのは、比内鶏を品種改良した「比内地鶏」である。
こどもの頃、農家に庭先には、その名のとおり「ニワトリ」がちょこちょこ歩いていた。
比内鶏に似ていた気がするが、それが正確には何という品種だったかはわからない。
幼馴染の彼は、同じ集落の同級生、私を含めて男の子四人のうちの一人である。
長年の首都圏での生活していたが、2年前に帰郷した。
その時に、コロナがおさまったら遊びに行くよ、と私は言った。
でも、なかなか会える機会がない。
私たちは、来年70歳になる。
杜甫の詩には、「人生七十古来稀なり」とあるが、今は稀ではない。
体が元気なうちにということで、来年会おうと電話をきった。