晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

無人野菜販売所

この夏、無人野菜販売所が近所にできた。

団地に隣接する柏市の公園の隣に、普通の一軒家があり、その入り口にある。

テーブルが二つ出ていて、その上に野菜が並べられている。

テーブルの上には、ビーチパラソルが二つ立てかけてあった。

野菜は、ほとんどが100円で、ふぞろいだったり、傷があったりするが、とても安い。

たしかに、出荷するには、厳しい規格を満たす必要があるのだろう。

料金箱は、テーブルに置かれた小さな金庫型の貯金箱である。

無人の販売所があるのは、日本ぐらいだと言われる。

日本だって、犯罪がないわけではないし、警察が必要な社会である。

ネットの書き込みを読むと、ヨーロッパの国でもかつてはそういうものがあったし、今でも所によっては、あるらしい。

何が、そういう違いになってるのだろう。

駐車場に近いところなので、時々のぞいていた。

三回目くらいの時に、野菜を見ていたらご主人に声をかけられた。

私より、5、6歳年上かなというご主人に、疑問に思っていたことを、聞いてみた。

この野菜、どこで育ててるんですか。

そのお宅には、畑のための敷地があるようには思えなかったからだ。

 

ご主人の実家は、消防署の向かいにある農家だった。

その他に、兄弟も近くに住んでいて野菜をつくっているという。

実家であるという農家は、この辺りでは他に見ないような広さである。

敷地の南面は、100メートル以上にわたって道路に面しているが、背の高い生垣になっていて、中がよくわからない。

その他の三面は、深い森林に囲まれていて、ほとんど見えなかったが、最近その森林の一部が伐採されて少し見えるようになった。

ビニールハウスが、何棟もあるようだ。

販売所に、今並んでいるのは、ナス、キュウリ、ウリ、ピーマン、ジャガイモなどである。

店が始まったのは、6月頃だったが、その頃はトマトも並んでいた。

ときどき、妻といっしょに行くこともある。

ミョウガがあることもあり、妻はミョウガ好きなので、買うことにしている。

 

私は、農家育ちである。

農家の敷地の四方を、水田で囲まれていた。

農家は、敷地の中に、家族用の野菜を育てるための畑がある。

我が家も、建物の北側と東側に畑があった。

それぞれの野菜を、3畝とか4畝というように、いろんな種類を育てる。

今のように、お店でなんでも売ってるという時代ではなかったので、ほとんど畑のもので育った気がする。

動物性タンパク質と言えるようなものは、ニワトリの卵くらいだった。

きりたんぽには、鶏肉を入れるが、それも一冬に一回か二回くらいのものだった。

魚類は、冬になると行商人が、カゴを背負ってやってきた。

ハタハタの採れる季節になると、ハタハタを山積みしたトラックがやって来るので、木箱ごと買っていた。

そういえば、佃煮の行商人もやってきた。

魚介類の佃煮にだけではなく、イナゴの佃煮もあった。

イナゴは、野原にいくらでもいたが、自家製を作ったこともあったかも知れない。

それが、動物性タンパク質と言えるものだったかな。

 

私は、ほとんど田んぼと畑のもので、育ってきたと言える。

水田があるので、麦は栽培されていなくて、麦畑を見たことがなかった。

当然、うどんもあまり食べたことはなかった。

秋田県でも、南の方には「稲庭うどん」というのがある。

同じ、秋田県でも広いのだ。

同じように、そばを食べる文化はなかったような気がする。

でも、我が家の小さな畑で、ソバは育てていたので、そばの白い花と、ふしぎな形のソバの実は知っている。

でも、麺としてのソバを食べた記憶はないので、どのようにして食べていたのだろう。

 

私が、田んぼと畑のものだけの食生活だったのは、15歳までである。

高校生の時に、街に引っ越したので、そのあとはなんでもありの食生活になった。

スーパーに行けば、肉も魚も、インスタントラーメンも売っていた。

食べ物については、好き嫌いがないのでなんでも食べる。

でも、野菜が好きなのは変わっていないので、肉や魚が無くなっても、大丈夫かもしれない。

 

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