若者の間で、アナログな音響機器が人気らしい。
ラジカセとかカセットウォークマンである。
平成に育った若者たちにとっては、懐かしいどころではなく、見たこともないだろう。
もちろん、もう作ってないだろうから、中古品である。
カセットウォークマンは、中古品なのに5万円とか6万円で売ってるのもあるというので、驚いた。
デジタルな機器で育った若者たちにとっては、カセットを使って操作する時の、カチャッという機械的な音が魅力的なのだという。
数年前までは、音響製品売り場の片隅に、生カセットテープが売ってるのを見かけたものだ。
今でも、カセットテープを使う人がいるのだと思ったものだったが、カラオケの練習用にご老人が使うのだと聞いたような気がする。
最近はさすがに、見かけない気がする。
でも,ネット販売のサイトで、カセットテープを再生できる音響機器を見ることはある気がするので、今でも作ってはいるのだろうが、中国製かもしれない。
私も、カセットテープのコレクションは、数年前に処分した。
学生時代から録りためた数百本のカセットである。
たぶん、400本くらい、段ボールに何箱分もあった。
アナログレコードが、静かなブームであるというのを知ったのは、もう20年も前のことだったと思う。
レコードプレーヤーの新製品も発売されていたし、アナログレコードにこだわるミュージシャンが、アナログレコードを限定版で発売したりしていた。
まだ、アナログレコード製造の会社が残っている。
リサイクルショップには、だいたい中古レコードの売り場があるのだから、世の中ではアナログレコードは生きていて、しっかりと再生されているのだろう。
私は、アナログレコードやレコードプレーヤーも処分してしまったが、中古レコードの売り場を見ると、心ひかれるものがある。
CDケースに比べると、レコードジャケットは見栄えがするので、インテリアにも使えそうだ。
日本の中古品は、状態もいいし、品揃えもいいので、レコード目当ての外国人も多いというのも聞く。
新製品として発売されたレコードプレーヤーは、スピーカー内蔵の簡易なものだった。
むかし、我が家で初めて買ったレコードプレーヤーもそういうものだった。
中学生の頃なので、半世紀以上前のことである。
ポータブルで持ち運びできるもので、それはシングル専用だった。
かつては、レコードプレーヤーといえば、高価な高級機器も、いろんなメーカーから発売されていた。
大事に使えば一生ものだろうから、今でも使えるだろうが、問題はレコード針やカートリッジかな。
今も、作られているのだろうか。
そういえば、レコード針のいらないレコードプレーヤーが発売されたことがあった。
レコードの溝を針でこすって音を拾うのではなく、難しいことはわからないが溝の凹凸を光学的に感知して、音をデータ化するというものだった。
でも、金額的に何百万円というようなもので、一般の愛好家の手が届くようなものではなかった。
「アナログレコード」ということばを書いていて、思った。
「アナログ」って、なんだろう。
CDが出てきたときに、CDは音をデジタル処理しているようなことだった。
「アナログ人間」なんて言葉もあって、最新のものが使えない「古くさい」人間のような感じで使われている。
デジタルのデータは、プラスとマイナスでできていると聞いた気もする。
0と1だけしか使わない「二進法」を表現方法として使うということらしいが、単純にそれだけではないらしい。
調べてみたら、「アナログ」は連続した量(例えば時間)を他の連続した量(例えば角度)で表示することとなっている。
これに対して、「デジタル」は、連続量を飛び飛びな値(離散的な数値)として表現(標本化・量子化)する。
私のような、数学理科不得意な文系人間には、なんのことだか理解できない。
でも、レコードがCDになるときに、音質が劣化するということで騒ぎになった。
連続的なものを、離散的なものに置き換えるということだから、抜け落ちるデータが生ずるのだろうから、わかる気がする。
私は文系人間だが、音楽が好きだったせいで、音響機器や映像機器をいろいろ使ってきた。
だから、そういう電化製品に対して苦手意識はなく、好きである。
20代の頃だったが、音楽雑誌の記事を読んでいたら、マイクロフォンとスピーカーの原理は、おんなじである、と書いてあった。
ただ、方向が反対になっている、というようなことだった。
音が作る空気の振動によって、マイクロフォンの部品を振動させて電気信号にする。
反対に、電気信号によってスピーカーのコーンを振動させて音を出す、ということだった。
つまり、マイクロフォンの代わりにスピーカーが使えるのかなと思ったので、手元にあった小型スピーカーを、テープレコーダーのマイク端子に突っ込んだら、録音できた。
ステレオだけでなく、テレビやパソコンなど、音に関わる機器は、どんどん進化している。
機器の内部は、デジタルなのだが、考えてみると、音の入り口であるマイクロフォンと、音の出口であるスピーカーは、アナログのままである。
アナログにしないと、人間の耳には届かないのだろう。
よくわからないけど、おもしろい。