もう11月だ。
手賀沼に出かけることにする。
自転車で行くのは、いつ以来だろう。
集合住宅の階段下にある自転車置き場から、愛車を引っ張り出す。
シマノというメーカーの「ウィークエンド号」である。
名前は「ウィークエンド」だけど、乗るのはいつも「ウィークディ」である。
退職して1年後に一か月アルバイトしたときに、その給料で買ったものだ。
計算すると、6年前になるのかな。
朝は、青空だったのに、準備にぐずぐずしていたら、雲が出てきてた。
新柏から直進して、名戸ケ谷で、田んぼの脇の道に出る。
葛の葉っぱが、はびこっている。
この季節になってもまだ、緑の葉っぱはほとんど枯れていない。
私の住む千葉県北西部は、かつては「東葛飾郡」だった地域である。
遡ると、下総国葛飾郡であり、現在の江戸川流域が呼ばれていた。
東京都、埼玉県、茨城県、千葉県にまたがる広大な地域であり、古代からの地名である。
「かつしか」という地名の由来については、諸説あるらしい。
「葛」という字が使われているように、葛(くず)が生い茂るところ、というのが有力らしい。
その頃は、きっと一面の葛の原っぱだったのだろう。
葛は、蔓性なので、いろんな樹木にも絡んでのびたり、平地にもひろがっていたりして、どこでもみることができる。
そして、夏の暑い頃に、紫色の花をつけ、甘い匂いただよわせる。
途中の中の橋のあたりには、土砂が堆積して中洲ができていた。
大津川や手賀沼は、釣り人が至る所に姿が見えるが、いろんなところにマイ桟橋を作っている。
大津川は、それほど大きな川ではなく、河川敷もささやかなものである。
それにもかかわらず、河川敷には、たぶん休憩用の掘立て小屋や畑まで作られていた。
釣り人のおじさんたち、恐るべし、である。
土手沿いの歩道の両脇には、ススキが風にゆれている。
久しぶりの、大津川河口に着く。
手賀沼の南岸に続くサイクリングコースを、西に進む。
この夏は、手賀沼の北岸の我孫子側には、歩いたり、車で何度か来ているが、サイクリングコースは、しばらくぶりである。
道の駅には、寄らずに通り過ぎる。
昨年12月に、増築された道の駅は、売り場も駐車場も、それまでの何倍かになっている。
以前は、知ってる人は知ってる、という程度の感じだった。
現在は、駐車場の出入りで渋滞していて、交通整理の係員も出ている。
個人的には、昔の方が魅力があったかな、と思う。
わざわざ出かけて来ようという気はしない。
さらに進んで、「ハス群生地」に着いた。
ハスが群生していたのは昔で、2、3年前に壊滅してしまった。
今年も、ハスが復活することはなかったようで、ハスの枯れた跡もない。
ハスの花を見るための回遊式の木橋があるのだが、通行禁止になっていた。
かつては、繁殖しすぎて対岸まで届いてしまうのではないかと、心配したのがウソのようである。
今は、全くその影もなく、さみしいばかりである。
いったい、湖底で何があったのだろう。
今日は、気温も高いくもなく低くもなく、サイクリング日和である。
のんびりと、まわりの景色を見ながら走る。
手賀沼の西端には水門があり、そこから流れ出た手賀川は、我孫子市と印西市の境で利根川に合流する。
水門の手前に、休憩用の東屋とベンチがある。
いつも、そこで一休みする。
遠出するときは、そこから更に、手賀川沿いに走って、利根川の土手のサイクリングコースに入る。
今日は、出発が遅かったので、ここまでとしよう。
しばらく、ベンチに座って、景色を眺める。
平日なので、遊歩道を利用しているのは、私のような年配者が多い。
サイクリング、ランニング、ウォーキング、いろんな人たちがいる。
自分の住むところの近くに、手賀沼があってよかったな、と思う。
こんな恵まれたものは、ないかも知れない。
歩いてくるには、ちょっと遠いので、もう少し近ければよかったなとも思うが、それはぜいたくというものだ。
帰りは来た時のコースを、そのまま帰った。
いつものように、お尻が痛くなって、ときどき自転車から降りて、押して歩いた。
もう少し減量すれば、なんとかなるものだろうか。