スーパーでの買い物ついでに、書店に寄ってみた。
駅前のスーパーのビルの2階にある書店である。
定年で退職して以来、書店に行く機会が、ぐっと減った。
電車通勤していた頃は、かなりの頻度で、覗いていた。
私の興味の対象は、パソコンとかオーディオあたりなので、その関係の月刊誌の棚に行ってみた。
オーディオ雑誌が何冊かあったのだが、その表紙に「ピュアオーディオ」ということばが大きく出ている。
最近、どこかで見かけたことはある。
「ピュアオーディオ」というのは、純粋に音楽を楽しむためのオーディオのことをであるということだ。
今までの、AV(オーディオ・ヴィジュアル)というような、映像のおまけのようなものではなく、音楽だけを楽しむことを考えようということらしい。
音楽再生だけの装置を作ろうというのが、大きな流れになっているようだ。
言ってみれば、昔のオーディオに帰ろうということか?
私が、音楽に興味を持ち始めた1970年代の頃を考えると、高級オーディオと言ったら、オープンリール・デッキだったな。
カートリッジに入っていない剥き出しのテープを使う、巨大なテープレコーダーだった。
オーディオ雑誌には、既成の製品に満足できない人のために、スピーカーの自作についての記事がよく載っていた。
そういう人は、秋葉原の部品屋で、必要なものを買い集めていた訳だ。
大物から小物まで、さまざまな店が並んでいた。
現在の秋葉原は、まったく違う世界になってしまってるだろう。
高級オーディオのための資金もなく、そこまでこだわっていなかった私は、安価なカセットテープを探すために秋葉原に通っていた。
FM放送のエアチェックに忙しい私には、カセットテープは必需品だった。
先日、TBSのニュースで、「レコード人気いま再び復活支える日本の技術」というのを見た。
レコード人気いま再び復活支える日本の技術【Bizスクエア 10月29日放送】|TBS NEWS DIG - YouTube
おもしろい内容だった。
「ピュアオーディオ」の流れは、日本だけではなく、アメリカも同じらしい。
なんと、アメリカでは2020年に、CDの売上枚数とアナログレコードの売上枚数が、逆転したという。
世界一の音楽市場であるアメリカは、世界二位の音楽市場である日本の、5倍の100億ドルの売上金額である。
アメリカでは、CD DVDなどの売り上げは、全体の1割の10億ドルである。
それに対して、日本はCD DVDの売上は全体の8割で約20億ドルであるが、日本のCD DVDの単価は3倍なので、売上枚数はアメリカの方が日本の売上枚数の約1.5倍ということになる。
日本でも、アナログレコードの売上枚数は増加しているが、CDDVDの売上枚数を逆転することはないだろう。
アメリカでは、総売上の8割をストリーミングとダウンドードが占めているにしても、日本のCD DVDを超える枚数のレコードが売れているということは、すごいことである。
ところで、「レコード人気いま再び復活支える日本の技術」という番組のタイトルである。
レコードプレーヤーの売り上げも、どんどん増えているようで、新製品も発売されてるようだ。
レコードプレーヤーと言ったら「レコード針」であるが、「ナガオカ」という日本の会社が世界の9割を生産している。
そして、肝心のレコード生産に必須なレコード原盤のためのラッカー盤を作っているのは、日本の「パブリックレコード」一社のみであるとのこと。
もしも、この会社がなくなっていたら、新しいレコードは生まれることがなかっただろう。
つまり、現在の世界のアナログレコードというものは、日本のこの二つの企業が、そのほとんどを支えているということになる。
オーディオ雑誌の棚には、他にも「管球王国」なる書籍も並んでいた。
「管球」というのは、「真空管」のことで、真空管アンプというのも、静かなブームなのだ。
アマゾンやYahoo!shppingのサイトで、オーディオ関係を検索していたときに、真空管アンプというものが、安価なものから高級品まで、いろいろ発売されているのを見かけていた。
高級なものは、何十万円以上もして、手が届くものではないが、真空管アンプのあの剥き出しになった真空管の明かりには、惹かれるものがある。
レコードプレーヤーの新製品も発売されているが、安価な製品もあるだろうが、高級なものだと何十万円もする。
アナログレコードも、新しく発売されているものは、一枚4,000円以上するらしかった。
デジタルオーディオにおいても、「ハイレゾ」といわれる高音質の規格のものが発売されているが、規格が正式に制定されたのが、2014年なのでまだ最近である。
MP3に代表される、CDのデータを圧縮した低音質ではなく、CDよりもさらに音質を向上させようというものだ。
難しいことはわからないが、サンプリング周波数、や量子化ビット数を向上させることで、「高分解音質・高解像度音質」を実現させるのだという。
データ量としては、CDのデータ量の何倍にもなるが、保存するためのメモリやHDDの大容量化によって、可能なのだろう。
でも考えてみると、デジタルオーディオを向上させるほどに、アナログオーディオに近づいて行こうとしてる気がする。
だったら、アナログのままの方が、面倒ないのではないかな、と素人の私は考えたりする。
デジタルの利点は、コンパクトにできることだろうから、そのあたりが分かれ道だろう。