7枚目の図書館カードをつくった。
これまでの6枚は、私の住む柏市、それに我孫子市、鎌ヶ谷市、流山市、松戸市と近隣の自治体の図書館、そして松戸市の東部にある千葉県立西部図書館である。
今回は、麗沢大学の図書館の利用者カードである。
大学図書館のカードは、はじめてである。
利用者カードが必要なのは、学外者についてで、現役の学生は必要ないようだ。
歩いて5分くらいの所にある。
麗澤大学の図書館を、部外者でも利用できることを知ったのは、数年前のことである。
私の、興味の対象である「フランス式彩色地図」を所蔵してある図書館を検索してると、麗澤大学にあることがわかった。
近隣にある図書館所蔵してある「フランス式彩色地図」の種類は、6枚か7枚の地図からなるセットが、各自治体をカバーする数セットを備えている。
でも、麗澤大学所蔵の「フランス式彩色地図」は、「明治前期手書彩色関東実測図」という900枚以上の地図で首都圏を網羅する完全版である。
これはなんと全部で120部しか発行されなかったという貴重なものであり、これは、どうしても見たいものである。
そう思って、麗澤大学図書館を利用しようとしたのだが、ちょうどコロナ禍の最中で、部外者の利用は中止、となっていた。
ときどき、図書館サイトで状況を確認していたのだが、変化はなかった。
最近になってサイトを見たら、部外者利用の中止の措置が、今年5月で解除されていた。
さっそく、図書館行くことにした。
自宅を出て、隣の敷地にある麗澤大学生涯教育センターの前を通り過ぎる。
道路を挟んで、柏市の光ヶ丘近隣センターがあって、その中に柏市立図書館分館がある。
信号機のある交差点で、横断歩道を渡ると、麗澤大学のキャンパスである。
我が家の息子たちが小学生だった頃に、麗澤大学の学園祭に何回か来たことがある。
二十年ぶりくらいで、足を踏み入れた。
留学生の多い大学なので、世界各国の料理の模擬店や、コンサートの記憶がある。
小学校がすぐ近くにあるので、学園祭の来場者は小学生が多かった。
図書館の入り口は、駅の改札口のように出入り口が開閉式になっていて、カードが必要である。
受付で、利用者カードをつくった。
学外者の図書館利用には制限があって、貸出は不可で、館内での閲覧のみらしい。
簡単な申込書に、本人確認の運転免許証、そして登録料1000円である。
そして、一年ごとに更新が必要で、その都度更新料が1000円ということである。
入り口を入ると、貸し出しカウンターがあって、壁側に検索用のPCが並んでいる。
このフロアは、半分くらいに書棚が並んでいて、半分くらいが閲覧スペースである。
さっそく、目当ての明治初期測量の手書き地図を探してみると、すぐに見つかった。
1991年に日本地図センターから発行された「明治前期手書彩色関東実測図」の「1/乾之部」と「2/坤之部」というのが、それらしい。
所在が地下2階貴重書庫(貴重書)となっていて、「禁帯出」で「貸出不可」である。
図書館で、「禁帯出」というのは、館外に持ち出してはいけないが、館内での閲覧は可能ということであるはずである。
そのことを、貸出カウンターで確認してみた。
なんと、「貴重書庫」にある書籍は学外者は閲覧できないというのである。
せっかく、カードをつくったのに、ショックである。
気持的に落ち込んでしまったが、気を持ち直して図書館内を見学することにした。
図書館の建物は、地上4階地下2階であり、1991年に完成したらしいが、まだきれいな状態だった。
受付でもらった館内案内の資料によると、「書架は開架式を採用」となっている。
開架式図書館とは、利用者が資料を手にとって、見ることができて実際の本を探すことができる。
柏市立図書館分館などもこの方式だが、本館は閉架式と並行して採用している。
私が現役の大学生だったのは1970年代だったが、図書館は閉架式だった。
新聞や雑誌以外の、すべての図書については、実際に手に取って探すことはできない。
私の記憶が正しければ、図書カードから探し出して、貸出カウンターに申し出るというシステムだった、と思う。
時代は、学園紛争の最中である。
期末試験などの時期になると、真っ先に図書館が封鎖されて、利用できなくなる。
新入生だった年も、学内封鎖で試験ができず、レポートを郵送していた。
そんなわけで、早い段階で図書館に見切りをつけたので、ほとんど図書館を利用していないのだ。
1階のフロアは、よくある図書館の光景である。
1階をひと回りして、階段を降りて地下1階を見る。
今まで見たことのない図書館が、あった。
ずらっと、書庫が並んでいるのだ。
館内案内には、「電動式集密書架です。開けたい場所の緑のボタンを押してください。」とある。
ボタンを押せば、電動で書架が移動して、書架と書架の間に隙間ができて、本を探すことができるのだ。
そして、その書架を取り囲んで、書籍を閲覧するための机が並んでいる。
その日は、そのフロアにはほとんど利用者がなくて、とても静かだった。
大きな図書館だと、重要書籍などはカウンターで申し出ると、裏の書庫から探し出してきて、借りることができる。
麗澤大学図書館は、そのような書庫にも、利用者が入ることができて、自分で探して閲覧できるのだ。
つまり、完全な「開架式図書館」であるということなのかな。
他にも、こんな図書館はあるのだろうか。
どうしてこんな図書館が可能なのだろう、と考えてみた。
麗沢大学は、とてもこじんまりとした大学である。
学生数が、全学で2700人くらいしかいないらしい。
私の出身校でも、たしか学生は10000人以上はいた。
こんな小規模で、経営は大丈夫なのか心配になってしまう。
資料には、サービス対象者数3268人となっている。
ということは、学生数との差500人くらいは、職員と生涯学習センター利用者だろうか。
それに対して、蔵書数は601459冊となっていて、これは多分異常に多いのではないだろうか。
内訳は、和書365千冊、洋書148千冊、中国語書87千冊であり、これが完全な開架式図書館である理由である気がした。
読みたい本は、自分で探してくださいということなのだろう。
このあと、地下2階、地上2階、3階もじっくり見てまわった。
4階は、コンピュータラウンジで、工事中のため入室できなかった。
3階は、視聴覚教育関係のフロアであるが、あとで資料を読むと、学生以外は使用できないとなっていた。
いづれにしても、3000人くらいのための施設としては、なんと立派なものだろうと思った。
せっかく、利用者カードも作ったし、歩いて行ける。
もしかすると、この周辺の市立図書館本館よりも蔵書は充実しているかもしれない。
せっせと、通うことにしよう。
当初の目的だった「フランス式彩色地図」は、野田市、市川市、浦安市の図書館にあることはわかっている。
機会をみて、訪ねてみよう。