十年ほど前に、定年で退職した。
その後、しばらくして、新聞の購読をやめた。
そんなに熱心な読者でもなかったけれど、就職して以来40年くらいの朝夕の習慣が無くなった。
折り込みのチラシが、入らなくなった。
市役所の広報も、折り込みと一緒に届けられていたのがなくなったので、連絡して郵送してもらうようにした。
ところで、「マスコミ」ということばがあって、日本語で言えば「大衆伝達」ということらしい。
さらに「四大マスコミ」ということばもあって、「新聞、テレビ、雑誌、ラジオの4つの媒体」のことだった。
インターネットによる「WEBメディア」ができてからは、「マスメディア」という言い方が、されるようになったみたいだ。
新聞、雑誌は、印刷物による媒体で、テレビ、ラジオは電波のよる媒体である。
新聞を読まなくなってからは、それまで新聞から得ていた情報は、WEBメディアからということになっている。
四大マスコミと言われた新聞社や出版社テレビ局などは、それぞれWEBサイトを持っていて、情報を発信している。
それだけではなく、私がよく利用していYouTubeなども、音楽だけではなく、さまざまなジャンルのチャンネルがある。
たとえば、歴史や事件などの解説チャンネルのようなものがある。
最近、私がよくみていたのは、「MAYDAY」という航空機事故の解説チャンネルである。
様々な観点から、その航空機事故が何故起こったのかを突き詰めていく。
英語のチャンネルだけれども、字幕の日本語翻訳機能を使えば、理解できる。
テレビの特集番組のようなものだが、内容はマニアックなものでも、選択が可能である。
こんなチャンネルを運営しているのは、いったいどんなところなのか、いまひとつわからない。
とても、手間ひまがかかっていて、とても個人ではできないようなものもあるし、これは奇特な人の作品だろうと思われるものもある。
ところで、最近は、YouTubeの世界情勢解説チャンネルのようなものを、よくみている。
YouTubeは、テレビの付属機能で見ることができる。
しかも、日本語でアニメのキャラクターが、問答形式で解説してくれる。
トランプ関税が、世界を騒がせてから数ヶ月になる。
テレビのニュース番組で扱わない日はないし、YouTubeにもそれを扱ったものがアップされている。
それを見ていると、なんとも言えない違和感がある。
テレビから見える世界と、ネットで見た世界が、あまりにも違っているのである。
テレビの今日のニュースでは、日本はアメリカの米を買わないから、しばらく相手をしない、というようなことを言ってた。
ネットでは、アメリカの農業が壊滅的であるとも、言っていた。
農機具の部品が輸入できないので、農機具の修理や整備ができず、農作業が進められない。
そういえば、関税問題が出てすぐに、農産物の出荷ができないとか、カリフォルニアワインの行き先がないようなニュースを見た。
それから、数ヶ月アメリカと世界各国は、関税についての交渉を続けているわけで、交渉が決着して輸出入が通常に戻ってるようなことは聞かない。
米国中の港は、閑古鳥が泣いていて、物流の大手企業が倒産して、多くの雇用が失われたということだ。
同様に、大手企業が生産拠点を、カナダに移したということだ。
それが、コカコーラ、GM、アルコア、キャンベル、テスラ、フォードということだから、たしかに、大手企業である。
アルコアというのは、アルミニウムを扱う会社だが、原料のアルミニウムが入ってこない。
コカコーラ、キャンベルは、飲料、スープなどでアルミ缶を使うが、アルミ缶がない。
GM、テスラ、フォードは、代表的な自動車会社であるが、米北部の州は電力をカナダから送電しているのだが、カナダとアメリカの関係が微妙である。
ハーレダビットソンが、タイに生産拠点を移したともいってる。
でも不思議なのは、テレビではそんなニュースを全然見ない。
相変わらず、トランプの仰天発言を繰り返している。
テレビで放送していることは、事実だろう。
でも、問題は、何を放送して、何を放送しなかったかである。
その選択によって、見える光景はまったく違ったものになる。
それぞれのテレビ局は、アメリカに多くの特派員を送り込んでいるだろうから、多くの取材記事が届くことだろう。
どうしてこんな、取捨選択をしているのだろう。
日本のテレビを見ていると、こんなものは「公共の電波」を使って放送するようなものじゃない、と思うようなものが多い。
だから、「マスゴミ」などと、揶揄されることになる。
もしも、アメリカに雇用を取り戻すというスローガンどころか、数百万もの雇用が失われているのが、現実としたら、アメリカという市場はどんどん縮小していることになる。
トランプさんは、この関税問題の最初の頃に、中国を槍玉に挙げて、悪人に仕上げていた。
でも、中国を便利な工場として長年利用してきたのは、アメリカである。
安くてそれなりに品質がいいので、多くの製品を買ってきて、恩恵を受けたのはアメリカである。
その結果巨額の貿易赤字となったとしても、それは中国の責任ではなく、アメリカの責任である。
それは、日本の自動車についても同様だろう。
アメリカを代表するアップルのi-padやi-phoneは、ほとんど中国で作ってるんじゃなかったかな。
あれを、人件費の高いアメリカで生産したら、ずいぶんと高価なものになるだろう。
不都合な現実であっても、物事にはちゃんと理由がある。
安くてそれなりに品質がいいものを、アメリカは作れるものものもあるかもしれないが、ほとんどは作れないのだ。
このニュースを初めて聞いた時、考えたのはこのことだった。
新しい経済ネットワークのことを書いたけど、もうこの先トランプのアメリカを信頼できないとしたら、これでやって行くしかないだろうな。
とりあえず、二本立てである。
アメリカを除いた世界というのが、できてしまったのだ。
まだトランプさんの任期は、だいぶ残っている。
新しい経済ネットワークのキーとなる国は、カナダであり、それに日本、EUになるだろう。
そういえば、トランプさんはカナダに対して、ずいぶんと失礼な態度だった気がする。
でも、今のカナダの首相は銀行出身だから、冷静に効果的な方法で、静かに対応しているらしい。
棚ぼたのように、アメリカから雇用が移っている。
立場が逆転してしまった。
アメリカは、世界で最も重要な市場かもしれないが、アメリカもまた生産物を世界に対して輸出しなければない。
特に、農産物は重要だろう。
でも、世界の国々にとって、選択肢はいろいろあるし、ベストではなくベターでもいい。
アメリカとの輸出入がストップしている間に、アメリカ以外の新しい経済ネットワークが稼働しているのだろう。
アメリカは、輸入をコントロールするために壁を作ったけれど、それは自分を壁の中に囲い込んだとも言える。
自ら、世界の経済ネットワークから、脱退してしまったように見える。
アメリカを、再び偉大にすると言ったのは、今は偉大ではないからである。
巨額の貿易赤字や赤字国債を解決するために、考えた末の方法だったのだろうが、ずいぶんと難しいことを選んだものである。
とても単純な方法だけど、現実問題遂行するのは難しいということである。
アメリカという国が、世界のなかでとても重要な国になったのは、第一次世界大戦後のことだろうか。
だとすると、100年、一世紀が経過している。
私がものごころがついた頃は、米ソの冷戦時代だった。
その後、ソ連は崩壊したが、対ソ陣営の北大西洋条約機構NATOはまだ残っている。
ロシアのウクライナ侵攻の遠因が、ウクライナのNATO加入だった。
世界の潮流は、自由貿易ということで、できるだけ関税の壁を無くそう、としていた。
環太平洋パートナーシップ(TPP)も、その流れだったと思うが、第一期のトランプ政権は、これから脱退した。
自由貿易とは、真逆の方向にその頃からあった。
そういう意味では、世界はアメリカとアメリカ以外の国々で成り立っている。
世の中には、不思議なことがある、というのは、このブログに何回か書いた。
こんなかたちで、世界が変わっていくのなら、これもまたなんと不思議なことだろう。
結局のところ、アメリカはこの百年くらいの間に世界の国々と築き上げてきた関係を破棄したわけである。
これまでのことは、なかったことにしてしまった。
大統領の任期はあと数年だけれど、アメリカという国はその後も世界の国々とつきあっていかなければならない。
たぶん、ハッタリとおどしでこの世を渡ってきた人の流儀に巻き込まれてしまったのは、災難と言うしかない。
まあ、これは言い過ぎか。