いつもの散歩道を歩いていると、車道に花びらが散っている。
昨日の風雨のせいだろう、道路の上にじゅうたんのようにつもっている。

むらさき色のクズの小さな花びらが、濡れた道路を横断している。
その道は、アスファルト舗装されているが、たぶん私道なので、車はそれほど通らない。
道路の片面は農家の敷地であるが丘になっていて樹木に覆われた斜面である。

蔓性のクズは、その樹木の枝に絡みついてツルを伸ばしている。
そして、クズのツルがからみついた枝が、道路の上に覆い重なるように伸びている。


クズの花は、不思議な構造になっている。
花びら自体は、一枚が2、3センチくらいのものである。
ウィキペディアの説明文は、次のとおりである。
「葉腋から総状花序が上向きに立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する蝶形花を房状に密集してつけ、下から順に咲かせる。」
この文章だと分かりにくいが、一本の花茎にいくつもの、たぶん10から30位の花穂がついいていて、下から順番に咲いていくということである。
クズといえば、手賀沼の土手の地面に這って伸びているのが印象的である。
しばらく手賀沼をサイクリングもしていないし、ウォーキングもしていない。
クズのツルは、10メートル以上に伸びるという。
それが木の枝や、地面に伸びて、樹木や地面を覆ってしまう。
手賀沼のクズは、どんな感じだろうか。
もう、そろそろクズの花も終わりだろうから、様子を見に行こう。
江戸時代に、葛飾郡の江戸川より西の地域は武蔵国に移管された。
明治になって、下総国は千葉県と茨城県に、武蔵国は東京都と埼玉県に分割された。
だから、かつての葛飾の地は、一都三県にまたがっている。
かつしかは、葛飾の音読みであり、葛はクズのことである。
くずがいっぱいの原っぱということだろうか。
下総国には、千葉郡というのもあった。
この千葉というのも、クズからきていると、読んだ記憶がある。
なるほど、クズの葉は千葉といえるほど多くの葉をつける。
クズの花期はいつ頃なのだろうと、調べてみたら、7〜9月となっていた。
それにしては、花を見かけるようになったのは、最近である。
そういえば、自宅のある集合住宅の近くに、芙蓉が咲いている。

今が盛りと、低木ながらも全体を白い花が覆っている。
よく見ると、まだ蕾が数え切れないほどついているので、あと一ヶ月くらいは、花を楽しめそうである。
芙蓉も、花期は7〜10月らしいが、花が咲き始めたのは、8月の下旬くらいだった気がする。
例年は、花の咲きはじめがもっと、早かった気がする。
もしかすると、この夏のとんでもない暑さが、花の開花を遅らせているのだろうか。

我が家のベランダには、さまざまな花のプランターがある。
その中に、ハイビスカスがある。
たしか、妻の母が育てていたものから、わけてもらったものだから、10年以上になる。
そのハイビスカスが、数日前から咲き始めた。


ベランダは、陽当たりが良すぎて、過酷なくらいに暑い環境だと思うが、それがかえっていいのか、毎年花をつける。
蕾が10個くらいあるのが、毎日大きな立派な花が次々に咲いている。
これも、例年は8月頃に咲いていたんじゃないだろうか。
ベランダには、サボテンのプランターもある。
これも、1週間くらい前に花をつけた。


10年以上前に、息子が買ってきたものだ。
サボテンも、いろいろと種類があるようだ。
映画に出てくる荒野にあるようサボテンは、人間の背よりも大きい。
我が家のサボテンは、小さくて丸いかわいいものである。
玉サボテンというらしいが、最初はそれが二、三個だったと思う。
それが、いつの間にかどんどん増えていった。

何年かたった頃に、突然花が咲いた。
「サボテンの花」という曲は知っていたけれど、我が家のサボテンに花が咲くとは思っていなかったので、驚いた。
直径5、6センチくらいのサボテンから、突然10センチ以上ありそうな花茎が伸びて、花が咲く。
朝見ると、花が咲いているのだが、夕方にはしぼんでいる。
わずか半日くらいの、儚いというか、潔いというのか、そんな花なのだ。
それ以来、毎年楽しませてもらっている。
今朝もハイビスカスは咲いたかな、と見ていると、隣のプランターに小さな赤い花が咲いていた。

こんな花、今まであったかな、と思い息子に聞いた。
ルコウソウという名前だという。
漢字だと、「縷紅草」、メキシコ原産の一年草らしい。
ということは、今年蒔いたのかな?
それとも、昨年の種が落ちて、今年芽が出たのか。
これも、本来ならばもっと早く咲くはずだったのだろうか。