ここしばらく、スーパーへ行くと南部せんべいを探していた。
なかなか、見つからない。
スーパーは、歩いて行ける範囲で6カ所くらい、車で行くところは倍くらいになる。
南部せんべいは、どこのスーパーでも置いてあるわけではない。
だいたい、3店のうち1店くらいの割合でしか、置いてない。
どこにあるか覚えればいいのだが、どうも学習能力がない。
同じことを繰り返して探している。
やっと見つけたのは、「ヤオコー」というスーパーである。
製造会社は、「東北みやげ煎餅株式会社」で、所在地は青森県上北郡東北町である。
私の住んでいるあたりのスーパーでは、今ひとつ「南部せんべい」は認知されていないようだ。
あったとしても、せんべいの売り場ではなく、他のお菓子売り場にあったりする。
南部せんべいのことは、このブログでも何回か取り上げている。
私は、子どもの頃に南部せんべいを食べて育ったので、定期的に食べたくなってしまう。
南部せんべいは、名前のように旧南部藩で生産・消費されてきたもので、もともとは非常食だったらしい。
秋田県の北東部の鹿角郡も旧南部藩であったので、その隣接している大館市とその周辺も南部せんべいの範囲だったのだろう。
私の生まれ育った町も、大館市の隣だったのだが、売ってはいたがどんなところで作っていたのかはわからない。
関東あたりで、「せんべい」といったら、草加せんべいになると思う。
草加せんべいは、私の妻の大好物だが、堅くてしょっぱい。
調べてみると、「せんべい」世界も、奥が深い。
奥だけではなく、幅も広いと思う。
いわゆる「せんべい」は、米粉を原料とした米菓煎餅であり、醤油を塗ったものである。
しょっぱいだけではなく、砂糖やザラメを塗ったり、ソースやジャムを塗った甘いものもあるらしい。
ボンチ揚げのような揚げせんべいもある。
これらは、どうも焼いたり揚げてから味付けをしてるようだ。
関西では、生地自体に味付けしてから焼いているものが多いみたいである。
私の知ってるところでは、四国高松市の「瓦せんべい」がある。
これは、名前どおり堅くて甘い。
京都の「焼き八ツ橋」も、この仲間になると思う。
「生八ツ橋」が今は有名かも知れないが、本来は焼くものだったらしい。
子どもたちが小さい頃に、舘山や鴨川、勝浦など千葉県南部の安房方面によく行った。
そのあたりには、「房州名物鯛せんべい」というのがあって、子どもたちが大好きだった。
これは、どう考えても鯛の形はしているが「瓦せんべい」の仲間である。
千葉南部は、安房や勝浦という地名があるように、関西からの移住した人々がつくったところなので関西の文化圏なのだろう。
南部せんべいは、米菓煎餅とは違って、原料は小麦粉である。
調べてみたところ、小麦粉を原料としたものは、岩手県一関市の「亀の子せんべい」、東京都大島町の「牛乳せんべい」、三重県上野市の「かたやき」しかない。
南部せんべいは、もともとが非常食で、甘くなく、揚げたり鍋に入れたりしていたものらしい。
その後、いろいろバリエーションが増えて、私の子どもの頃には、ピーナツが入った甘いものと、黒ゴマが入ったちょっと塩味のものがあった。
ゴマ入りが好みだけれど、たまには甘いピーナッツ入りも食べたくなる。
同じせんべいという名がついているが、草加せんべいとはまったく別物である。
草加せんべいのように、堅くもしょっぱくもない。
適度な歯ごたえと、やさしい甘さと塩加減で、ときどき食べたくなってしまう。
スーパーの売り場担当者が、せんべい売り場に並べない気持ちもわからないではない。