晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

菅江真澄

あきたのかりね⑦ 菅江真澄テキスト

三十日 しほこし(塩越)をたつ。 大汐(塩)越(象潟町)の村を出て、飛(金浦町)といふところに至る。 いにしへ、みちのおくのしほがまひとつとび来けるとて、今神とあがめて、村をもとびと附たり。 そが沖のとびしま(飛島)、波路はる/\゛と見やられ…

あきたのかりね⑥ 菅江真澄テキスト

甘八日 きのふのやうに雨風すれば、はが/\゛しからじ。 はる/\゛ヽこゝをさし来て、ほゐなうかへらんもうければ、晴ぬかぎりは、 「海士のとまやにあまた旅ねぬ」 と、顕仲朝臣ののたまひしも、げにもとおぼへて、けふはあたり見ありく。 此磯のなのりそ…

あきたのかりね⑤ 菅江真澄テキスト

廿四日 雨ふればあるじの上人、けふはなにくれかたらん、とゞまりてと、せちに聞え給へば出たゝず。 ー湯あみの日なれば、大鼓、なる神の頻がごとくにうちならして、開山禅師の御杖をまつさきによこたえ、手ぬぐひ、香炉など、あまたのすけとり/\゛にもち…

あきたのかりね④ 菅江真澄テキスト

廿一日 あさとく山岨のみちをくれば、山谷の紅葉いとよし。こを、しばし見つゝたゝずみて、 うすくこき蜂の?の紅に山ははぐろの名に似ざりけり 瀬川(添川-東田川郡藤島町)、二か沢、添津、山崎、苅河(以上立川町)、かゝるところを過来れば、阿古谷稲荷…

あきたのかりね③ 菅江真澄テキスト

二十日 空ことなし。 比日羽黒山(東田川郡羽黒町)にまうでんとて、やを出て、やがて梵字川のへたをつたふ。 此みなかみは月の山の雪消の水、湯殿山のしたゝりといふ。 赤河といへるを舟にて渡り、三橋(東田川郡羽黒町)といふところに来けり。 三ところに…

IMEパッドのユーザー辞書を活用することに気がついた

菅江真澄の文章を、テキスト入力している。 OCR処理したテキストの認識誤りの部分を訂正していく。 たまには、ひらがなやカタカナの誤りもあるが、ほとんどは漢字、特に画数の多い複雑な漢字である。 それを、IMEパッドを使って、目的の漢字を探して正しい漢…

秋田街道

菅江真澄の旅日記を、電子テキストに入力している。 全集第一巻の最終の日記となる「外が浜つたい」を入力していた。 天明8年(1788年)、真澄は南部領から津軽領三厩を目指して歩いていた。 蝦夷地への渡航のためである。 すでに、天明5年に秋田から津軽に入…

あきたのかりね② 菅江真澄テキスト

十六日 つとめて中山といふ処をへて矢引といふ山阪の路のぼりて、家ひとつあるにものとへど、さらにこたふる人もなく、柱につなぎたる猫のみ、ねう/\となきてけるわびしさに、まへなるあぐらに遠方を見つゝいこへば、かりがねの聞えたるをあふぎて例の戯れ…

あきたのかりね① 菅江真澄テキスト

天明四年甲辰の九月十日、出羽の国に入たるより、おなじき、しはすの三十日の夜までかいのせ、はぐろやま、きさがたのことをしるす。 いではのくに田川郡鼠が関といふ、うまやのをさがやに泊りぬ。 これよりなべて庄内とよぶ。 こゝより、なにさ、かさと、言…

くめじのはし⑩ 菅江真澄テキスト

久目路乃橋より 秋田県立図書館デジタルアーカイブ 押田村をへて西条といふ処に至る。 ここに雁田の神とて誉田尊をあがめまつる。 ほくらのうちに石のおばしがた造り、いくつもならべたり。〔天註--本洗馬村のあしの田といふ処の、わかみや八幡もおなし雄…

くめじのはし⑨ 菅江真澄テキスト

久目路乃橋より 秋田県立図書館デジタルアーカイブ かくて、此寺に近き家に宿つきぬ。 女の童雨ふれ/\といふに、いろはにやあらん、かまけるな、こよひはふりなん、雲のたたずまゐいとよし。 ことかたは、をり/\ふりけれど、此山は水無月十日斗にふりた…

くめじのはし⑧ 菅江真澄テキスト

久目路乃橋より 秋田県立図書館デジタルアーカイブ 廿五日 日乗寺におはしける悲珉上人をとぶらへば、みずきやうをとどめて、いとたうとげに、ねんずつまぐり出むかへるに、れいのよしなしごとに、みどきやうとどめたまひなんもこころうければ、ふたたびとい…

くめじのはし⑦ 菅江真澄テキスト

久目路乃橋より 秋田県立図書館デジタルアーカイブ 廿二日 つとめて千曲川のへたをつたひ、 「科野なる知具麻能川の左射礼しも君しふみてば玉とひろはん」 とずして、ゆく/\見れば、ここかしこに、つな引ふね多ければ、 千曲河波のよる/\すむ月をもる綱…

くめじのはし⑥ 菅江真澄テキスト

久目路乃橋より 秋田県立図書館デジタルアーカイブ 新町といふ里に宿かる。 いまだ日たかければ、とに出てあたり見ありく。 綱曳舟わたし河のむかふ岸辺は、むかし馬場美濃守のこもれる、琵琶城といふ其あと残りぬといふとき、「びはのしろ」てふことを句の…

くめじのはし⑤ 菅江真澄テキスト

久目路乃橋より 秋田県立図書館デジタルアーカイブ 十五日 あないをたのみて、度安里於登志見に行とて、相道寺村といふにきけり。 近きころ美濃の国より来けりとて、陶つくりがやどもありけるをへて、山路に入て遠近を見れば、さかしき山のみ十重廿重にかく…

くめじのはし④ 菅江真澄テキスト

久目路乃橋より 秋田県立図書館デジタルアーカイブ 十二日 よきみちづれのあれば、あはただしう松本を出たつ。 犬飼といふ村に到る。 「鳥の子はまだひなながら立ていぬかひのみゆるやすもりなるらん」 の歌は、束間にちかき浅間の温泉をもはらいふなれど、…

くめじのはし③ 菅江真澄テキスト

来目路乃橋より 秋田県立図書館デジタルアーカイブ この神のことも、とはまほしくて、神司上条権頭なにがしといふ人のもとに尋ねてければ、あるじ、しばしのほどに、とより帰り来てかたりて云、そのいにしへに厩戸皇子、このやまをめでのぼり分おましませし…

くめじのはし② 菅江真澄テキスト

松本につきたり。 牛楯といふ処に、おもしろき滝のありと聞て、見にいかんとて清水村を通る。 こゝは、 「夏来ればふせやがしたに休らひて清水の里に栖つきにけり」 とは、いにしへ人もながめ給ひし名どころ也。 〔天註--またしらぬ人を恋せば科野なる清水…

くめじのはし① 菅江真澄テキスト

(序文) 天明四とせ(二七八四)の甲辰の夏、六月三十日旧洗馬村をたちて、越のうしろ洲に行とて、清水の里、桐原のまき、つかまのみゆ、などを見めぐりて、水内の郡に到りて曲橋(この橋を久米路の橋といへり伊那の郡にも同名聞こえたり)を渡りて、この冊…

くめじのはし  菅江真澄テキスト

天明4年6月末、真澄はみちのくをめざして信濃国東筑摩郡洗馬村を出発し、長野を経て上水内郡を通過し、7月末に北国街道から越後に入る。 「くめじのはし」(久米路の橋)は、このあいだの日記である。 日記の序文にあるように、「くめじのはし」という題名は、…

菅江真澄の足跡

菅江真澄は、天明8年(1783年)に、30歳で郷里三河を旅立っている。 そして、それから46年後の文政12年(1829年)に、秋田にてその生涯を終える。 菅江真澄は、その間に多くの著作を残している。 その紀行文、又は日記にはやはり多くの図絵を含んでいて、私たち…

すわのうみ⑨ 菅江真澄テキスト

此月の廿日 沓沢といふ澗かげを行に、 わきて来る人こそなけれくつ沢の水音高し五月雨の頃 小野沢てふ郷の、三村親意がやをとぶらへば、つねにすむやをはなりて、ちいさやかなる庵つくりて、南おもての庭に秋の虫をすすひつべく、まうけしたり。 こゝろにや…

すわのうみ⑧ 菅江真澄テキスト

廿八日 けふも萩原氏がやにせる。 あるじの云、われ遠つおやより持つたへ侍る、後水尾院第八の宮かゝせ給ふとて、扇のかたひらに歌六ツめでたき手にてかき給ひし、まことにかくやなど、あまたあふぎてずんずれば、なみだこぼれて、人々もことばなく、此御う…

すわのうみ⑦ 菅江真澄テキスト

廿五日 やをいづ。 むまやのをさなる根沢なにがしがやに、しばらく尻かたげしてものかたらふに、あが遠つおやは甚平といひてたけきものゝふにてありつる世に、君の御鷹それ行たるをあやいづこまでもと追めぐりて、みのゝ国の山中にていきつきはてゝ、たヾ空…

すわのうみ⑥ 菅江真澄テキスト

十四日 いなの郡にまからんとて、重栄のうしとかねてものして、午一ばかりに床尾をたちて、塩尻の里にいたりて、こゝなる治英がやをとぶらへば、梶原景富あり給ひて、やまとふみよみ給ふといへば、こよひはこゝにあかして、明るあしたわかるゝとて、景富のう…

すわのうみ⑤ 菅江真澄テキスト

長殿よりは四人めのしもとやらん、山吹の袂なるが、ゆだすきかけて待居給へば、上下きたる男、藤刀といふもの、ちいさき御錦の?より取出して、ぬきはなちてそお長殿にわたす。 長殿とりて、山吹色なるそうぞくしたる祝にわたす。 そのかたなを、柱のうへにお…

世界自然遺産である白神山地のこと

白神山地は、1993年に日本で初めてユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された。 登録理由としては、 「人の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布」していることとされている。 私は、白神山地の麓で生まれ育った。 しかし…

すわのうみ④ 菅江真澄テキスト

三月六日 けふは酉の日なりければ、須輪の御かんわざにまうでんとて出ぬ。 阿礼の御社を拝み奉りて行に、みかきのはな盛すぐるをかへり見やりて、 今しばしとゞめてあれのみしめなはゆふがひもなき花のはる風 かくて塩尻にくれば、花の木いくもとも立ならび…

すわのうみ③ 菅江真澄テキスト

廿八日 直堅がやに、洞月上人はなの歌よませ給ふけるを見て、 世中はまだき盛にいとはやも人のことばのはなににほへる としごとの春鶯きたれば、まづ人とりてこにいれなどすれど、此春はおのがまゝにきなくなど、あるじのかたりければ、 雲をこふうらみもあ…

すわのうみ ② 菅江真澄テキスト

甘二日 今井のむらにまかりて、権正兼遠住給ひし昔の跡とて、馬場から堀筑山のかた斗のこれり。 今井四郎兼平も此あたりにて生れ給ひしとなん。 いまは、かねひら明神とあがめ奉る。 それより宝輪寺にまかりて、尊応法印にまみへ奉りぬ。 通夜、うたよみ物語…