このところ、自治体史というもので、日本史の勉強をしている。
とはいうものの、今のところやっていることは、それぞれの自治体のサイトに収録されている自治体史のデータを収集するという作業である。
そのデータを、電子書籍に変換しなければ、内容を吟味することはできないので、まだその段階に至ってはいない。
自治体史というのは、都道府県の都道府県史や市町村の市町村史などであり、ほとんどすべての自治体が刊行している。
でも、だからと言って、すべての自治体がネット上のサイトで公開している訳ではない。
私が住む柏市のサイトを見ると、刊行済みの柏市史についての情報は掲載されているが、その具体的な内容は全く提供されていない。
ということは、柏市史を読むには、市立図書館に通うしかないということである。
ところで、私がどうして自治体史などというものを、ダウンロードして収集しようなどと考えたのか。
きっかけは、菅江真澄の旅日記について、ネットで検索していたら、青森県の弘前市のサイトのなかの弘前市史のなかで、菅江真澄の文章について扱っているのを見つけた。
このサイトで、菅江真澄を検索してみると20件の項目が選択された。
市史のうちの考古学研究の江戸時代の項目で菅江真澄が扱われている。
菅江真澄は、その生涯のうちの、かなり長い期間を、陸奥国と蝦夷地で旅を続け、多くの著作と絵を残している。
津軽藩の城下町だった弘前に、真澄は滞在して、津軽藩のための薬草採取を担当していた。
弘前市史の考古学研究の項目の中で、菅江真澄は次のようの取り上げられている。
「 菅江真澄(すがえますみ)(一七五四~一八二九、三河国〈愛知県〉出身)は、寛政八年(一七九六)四月十四日、現在の青森市三内(さんない)において縄文土器ならびに土偶などを実見し、それに考察を加えて『栖家(すみか)の山』に書き記し(2)、同年七月二日には亀ヶ岡で掘り出された各種の土器を検分して、『外浜奇勝(そとがはまきしょう)』に記している(3)。なお、真澄は文政五年(一八二二)ころに『新古祝甕品類之図(しんこいわいべひんたぐいのず)』を著し(4)、その中で、現在の大館市橋桁(はしけた)と本県の亀ヶ岡出土の土器を比較し、類似点を記述している。」
薬草採取の任務のために奥山に出入りしていた真澄は、その行動に不審をもたれたらしく、その職務を解かれ、津軽についての著作も没収され、津軽を離れ、秋田藩に向かうことになる。
自治体史は、すべての自治体が刊行しているだろう。
都道府県史は、もちろん「1都1道2府43県」であり、47自治体である。
試しに、WEB検索で、「都道府県史」を調べてみたが、国立国会図書館に所蔵されていることくらいしかわからなかった。
日本で刊行される書籍は、国立国会図書館への納本が義務付けられているはずだから、当然全てがあるはずである。
ところが、残念なことに国立国会図書館所蔵の書籍は、画像としてしか公開されていない。
画像ファイルへの変換はされているが、テキスト化はされていないのである。
確かにテキスト化は大変な作業が必要なことだろう。
画像ファイル変換だって、かなりの作業量であるが、テキスト化にはさらに知的な作業が必要となるということだろう。
パソコンで扱うには、画像ファイルよりもはるかに容量の小さなテキストファイルの方が、扱い易いのだ。
容量で言えば、もしかするとテキストファイルは、画像ファイルの100分の1ぐらいだろう。
都道府県史が、テキスト版で提供されているかどうかは、それぞれのサイトを確認するしかないかもしれない。
もう一つの「自治体史」である「市町村史」はどうだろうか。
調べてみると、現在の市町村数は、1747となっている。
この市町村数は、1999年から2010年の「平成の大合併」の結果であり、それまでの3232が半減したということだ。
内訳を見ると、市792 特別区23 町743 村189 である。
大合併から20年くらいなるのだから、それにともなって、新しく市町村史がつくられたかもしれない。
私が住む柏にも、「柏市史編纂委員会」が発足しているのを、市のサイトで見かけたことがある。
隣接する「沼南町」と合併したのを機会に、新しい柏市史を編纂することになったのだろう。
秋田県北部にある私の郷里「田代町」もまた、「平成の大合併」で隣接する「大館市」と合併した。
比内鶏で知られる「比内町」も、同時期に同様に合併している。
考えてみると、私が子供の頃に、「昭和の大合併」があった。
「平成の大合併」から遡ること50年前である。
「昭和の大合併」は、1953年から1961年に行われ、それまでの1万の市町村が3,500に減少したということだ。
郷里の「田代町」は、我が家のある「山瀬村」と隣接する「早口町」が合併してできたものだ。
「田代町」の「田代」は、町内の最高峰「田代岳」にちなんだものである。
合併前の町名村名は、それぞれの町内村内を、白神山地から流れる川の「岩瀬川」と「早口川」からきている。
「岩瀬川」なのに「山瀬村」なのは、「岩瀬村」が「山間の盆地にある「山田村」と合併していたからだ。
昭和の大合併後の市町村数が3500くらいで、平成の大合併前の市町村数が3232で、50年間の割には、それほど減少していない。
調べてみたら、「昭和の大合併」からさらに60年ほど遡ると、「明治の大合併」もあったことがわかる。
「明治の大合併」は、「町村制」が施行された明治21年(1988年)から翌年明治22年(1990)年となっている。
町村制によって、71,314の町村が誕生したらしいが、これは江戸時代の村制度をもとにしたものだ。
しかしこれでは、近代的な地方自治を始める条件を満たすことができないということで、学校、戸籍、税制などを維持できる、300戸から500戸くらいの規模にしようとしたようだ。
それが「明治の大合併」であり、その結果明治22年(1999年)に市町村数は、なんと15,859まで減少している。
そして、60年後にはさらに合併が進んで、10,000くらいまで減ったということになる。
ところで、これまでにいったいどれくらいの自治体史が刊行されたのだろうか。
いつごろから、自治体史が作られるようになったのだろうか。
どうも、明治34年(1911年)に大阪市が「大阪市史」を、翌年東京市が「東京市史稿」の編纂に着手したのが始まりらしい。
さらに、昭和初期に、師範学校の教授内容の地理や歴史において、地方研究や郷土研究が扱われることがきっかけで、町村史や郷土史の編纂が各地で活発化したらしい。
ここまで調べていて、思いついたことがある。
都道府県史と市町村史の他に、「郡史」というものが、あったのではないかということだ。
私の住む柏市のあたりは、かつて「千葉県東葛飾郡」だった。
その歴史を調べた時に、「東葛飾郡史」というものから引用したという文章を読んだ記憶があるのだ。
そこで、「東葛飾郡史」について、調べてみた。
どうも正確には、「千葉県東葛飾郡誌」であるらしい。
明治9年に、明治政府が各府県に提出させた調査である。
コトバンクによると、次のように記載されている。
郡村誌(読み)ぐんそんし
郡村誌 ぐんそんし 三六冊 成立 明治一一―一八年 写本 徳島県立図書館所蔵呉郷文庫ほか 解説 明治政府が作成を図った皇国地誌のうち各府県に提出させた郡誌・村誌をいう。ほぼ明治九年に調査されたもので、疆域・沿革・里程・四隣距離・地勢・地味・税地・字地・貢租・戸数・人数・牛馬・舟・川・用水・道路・神社・寺院・古跡・物産・民業などが記され、明治初年の各地の状況を伝える基礎的な史料となっている。徳島県分は現在徳島県立図書館に呉郷文庫本として残っているものが、阿波国郡誌一冊・名東郡村誌三冊・板野郡村誌一三冊・勝浦郡村誌三冊・那賀郡村誌三冊・海部郡村誌七冊・三好郡村誌五冊あり、呉郷文庫本ではないが麻植郡村誌が一冊残されている。このほかに阿南市や那賀川町のように市町村役場などに県へ提出した村誌の控が公文書として残されているものがあり、各市町村史のなかには県立図書館に残されている村誌以外にも明治九年の調査として村誌から数字等を挙げていると思われるものも少なくない。今後の調査が待たれる。
(日本歴史地名大系 「郡村誌」の解説)
ここでは、「東葛飾郡誌」については、ふれていない。
さらに、「東葛飾郡誌」について調べると、千葉県立図書館の「菜の花ライブラリー」に所蔵されていることがわかった。
しかも、県内全ての郡について網羅していて、「千葉県十二郡誌」となっている。
書籍は、画像ファイルをベースにしたPDFファイルで提供されている。
「東葛飾郡誌」については、大正12年刊行であり、作者は「千葉県東葛飾郡教育会」であり、先に挙げた府県が政府の命により作成したものとは、全く別物である。
県下の各郡の郡誌の刊行年はバラバラであるが、作者は郡教育会となつてるものと、郡役所となっているものがある。
郡教育会についても、所在地は郡役所内となっているので、当時設置されていた郡役所がその編纂について関わっていたのは確かだろう。
「郡制は明治23年5月制定、大正10年4月廃止の地方自治制度で、千葉県では明治30年4月1日に施行された。「千葉県十二郡誌」は県内12郡で大正~昭和初期にかけて編纂・刊行された郡誌である。ほぼ同時期、全国各地で郡誌の編纂事業が活発に行われた。「千葉県十二郡誌」の編纂の目的は、天皇即位記念、愛郷心の涵養等様々である。構成も一様ではなく、『千葉県東葛飾郡誌』のように大部なものもある。すべて復刻版が刊行されている。 (菜の花ライブラリーの説明)
いろいろと書き連ねているうちに、ずいぶんと長くなってしまったので、詳細についてはおいおい書いていこうと思う。





