晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

地震と津波の記憶について

3月11日が近くなって、テレビは東日本大地震に関する番組を毎日放送していた。

この東日本大地震が起こる前の状況を考えると、1995年に「神戸・淡路大震災」(兵庫県南部地震)があったこともあり、関東大震災の再来を恐れるような雰囲気だった気がする。

神戸・淡路大震災は、震度7で死者6000人を越える戦後最大の自然災害であり、まだ記憶に新しかった。

首都圏の低地を、津波が河川の堤防を越えたら広大な範囲が浸水してしまうということも言われていた記憶がある。

しかし、地震に伴う火災などの方が大きい問題とされていたような気がする。

 

私の記憶をさかのぼってみると、中学校の時の教科書に載っていたチリ地震による津波三陸に大きな被害を与えたというのが強く印象に残っている。そして、田老町という地名が教科書に載っていたことをよく覚えている。

田老町というのが、被害の大きな地域だったと思っていた。

でも、調べてみたら違っていた。

チリ地震は、1960年(昭和35年)に、地球の裏側のチリで起こったマグニチュード9.5という東日本大地震をはるかに越える世界の記録史上最高の地震である。

三陸海岸には、6.1mの津波が押し寄せたそうだ。

田老町は、過去の津波による被害を教訓にして、10mの防潮堤を築いていたので被害がまったくなかった、というのが教科書の記載だったらしい。人間の、子どもの記憶はあてにならない。

田老町は、明治29年の明治三陸地震による14.6mの津波で、1959人が死亡している。

さらに、昭和8年昭和三陸地震よる津波では、911人が亡くなっている。

田老町以外では、十分にこれらの津波の教訓が生かせてなかったことになる。

チリ地震による津波では、岩手県宮城県などで、合計142名が亡くなっている。

 

昭和58年(1983年)に、秋田沖地震による津波があった。

正式には、日本海中部地震で震度5だったが、青森県秋田県山形県で10mを越える津波があった。

この津波による死者は、秋田県で79人、合計100人だった。

私にとってはこの津波はとても強く印象に残っている。

秋田県の死者79人の内、13人が遠足中の小学生だった。しかも、わたしが育った北秋田郡という同じ地域にある合川町というところの学校だった。

私の育った町は、青森との県境をなす白神山地にあり米代川の北岸にあったが、、合川町米代川の南岸に位置している。

海から遠く離れた所の子どもたちが、遠足で来た男鹿半島の海岸で津波に襲われたのである。

 

神戸・淡路大震災の1年半前の平成5年(1993年)に、北海道南西沖地震が起きている。

この地震は、奥尻島で震度6と推定されている。地震計が設置されていなかったので、推定である。

地震によって崖崩れが発生して建物が倒壊し、死者が出た。さらに、10m近い津波が海岸に近い街を襲い、合計200人以上の死者が出た。

 

このように、戦後だけでも津波をともなう地震を何度も日本は経験している。

さらにさかのぼれば、日本列島は東日本大震災級の津波に何回も襲われており、内陸何キロまで津波が到達したというような記録や石碑が残っている。

江戸時代に幕府が整備した宿場があった場所はこの津波の被害がなかったという研究結果もあることなどを考えると、原子力発電所などの建設において、津波に対する警戒が後退していたと言えるかもしれない。

30mや40mの津波の記録が残っており、10m程度の防潮堤は完璧なものでなく、避難が必須と言えるだろう。

 

しかし、戦後の地震に比べて、ケタ違いに被害の大きかった直下型の神戸・淡路大地震の衝撃によって、津波に対する警戒は薄れてしまったのかも知れない。

日本のような四方を海で囲まれた島国にとって、海面の上昇は重大なことである。

海面の上昇をシュミレーションできるサイトを見つけた。

グーグルマップの関連サイトらしい。

地球温暖化で、南極の氷が溶けたらどうなるか。

南極の氷が全部溶けると、それまで氷の重さで沈んでいた南極大陸が浮かんでくる。

その結果、海面は60mくらい上昇することになるらしい。

ほんとに、たいへんなことである。

flood.firetree.net

 

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海面が13m上昇した場合 津波による浸水と置き換えられるかな

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海面が60m上昇した場合 

 

seiko-udoku.hatenadiary.jp

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