晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

日の下に新しいものなし

太陽の下に、新しいものなどない。

 

というようなことばを、ずいぶん前に聞いたことがあった気がする。

人間なんて、みんな似たようなものだ。

人間が考えることなど、自分では画期的な新しい考え方だと思っても、ずっと昔に遡ればすでに誰かが考えている。

そんなことばだと、思っていた。

 

最近、誰のことばだろう、時になって調べてみた。

旧約聖書」にある言葉らしいことがわかった。

私が、思っていたのとは、全く違った意味合いのようである。

 

コヘレトの言葉

ダビデの子、エルサレムの王である伝道者の言葉。
伝道者は言う、空の空、空の空、いっさいは空である。
日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。
世は去り、世はきたる。しかし地は永遠に変らない。
日はいで、日は没し、その出た所に急ぎ行く。
風は南に吹き、また転じて、北に向かい、めぐりにめぐって、またそのめぐる所に帰る。
川はみな、海に流れ入る、しかし海は満ちることがない。川はその出てきた所にまた帰って行く。
すべての事は人をうみ疲れさせる、人はこれを言いつくすことができない。目は見ることに飽きることがなく、耳は聞くことに満足することがない。
先にあったことは、また後にもある、先になされた事は、また後にもなされる。

日の下には新しいものはない。

 

私が考えていたような、人間が頭の中で考えてどうのというような、せせこましいことではない。

宇宙や地球の節理とでもいうようなことについて述べている。

すべてはくりかえすのだ、ということか。

人間の都合がどうかではない。

 調べていると、芥川龍之介が「侏儒のことば」という著作で同じようなことを述べていることがわかった。

侏儒の言葉」は、私が初めて買った芥川龍之介の書籍である。

旺文社文庫で、ほかの数冊と一緒に買っている。

お年玉を、思いがけずいっぱいもらったので買ったのだ。

他に、「ロビンソン・クルーソー」、「十五少年漂流記」、「坊っちゃん」あたりのだった。

芥川龍之介なら、他にもありそうなのにどうして「侏儒の言葉」だったのだろう。

侏儒の言葉」はエッセイ集で、内容も難しく、小学生が読むようなものではない。

この文章も、覚えてはいなかった。

きっと、ページ数や文章が短編からなってることで選んだのかもしれない。

旺文社文庫は今はもうないが、1965年創刊となってるので当時はまだ創刊まもない頃である。

 

太陽の下に新しきことなしとは古人の道破した言葉である。

しかし新しいことのないのは独り太陽の下ばかりではない。

天文学者の説によれば、ヘラクレス星群を発した光は我我の地球へ達するのに三万六千年を要するそうである。が、ヘラクレス星群と雖いえども、永久に輝いていることは出来ない。何時か一度は冷灰のように、美しい光を失ってしまう。のみならず死は何処へ行っても常に生を孕はらんでいる。光を失ったヘラクレス星群も無辺の天をさまよう内に、都合の好い機会を得さえすれば、一団の星雲と変化するであろう。そうすれば又新しい星は続々と其処に生まれるのである。

宇宙の大に比べれば、太陽も一点の燐火に過ぎない。況いわんや我我の地球をやである。しかし遠い宇宙の極、銀河のほとりに起っていることも、実はこの泥団の上に起っていることと変りはない。生死は運動の方則のもとに、絶えず循環しているのである。そう云うことを考えると、天上に散在する無数の星にも多少の同情を禁じ得ない。いや、明滅する星の光は我我と同じ感情を表わしているようにも思われるのである。この点でも詩人は何ものよりも先に高々と真理をうたい上げた。

真砂まさごなす数なき星のその中に吾われに向ひて光る星あり

しかし星も我我のように流転を閲けみすると云うことは――兎とに角かく退屈でないことはあるまい。

 

数行くらいを抜き出そうとしたが、何回も読み返さないと理解が難しいと思ったので、今後も読み返すために、該当の箇所をぜんぶ書き出すことにした。 

 

結局、私が考えていたようなことは、次のような中国の諺が近いと思われる。

 

この世に新しい物はない、すべては諸子百家に言い尽くされている。

 

人類にとっては、もうすでに誰かが考えたことで新しさはないかもしれない。

でも、ひとりの人間にとっては、すべては新しいものだともいえる。

過去に誰かが考えたものであっても、それに出会うことができるとは限らない。

 

 

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