晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

ナマハゲと獅子踊り

毎年暮れの頃になると、ナマハゲがテレビで取り上げられる。

年末の風物詩になっている。

ナマハゲは、秋田県男鹿半島周辺の年中行事に登場する仮面をつけ藁の衣装をまとった神の使い(来訪神)である。

角はあるが、鬼ではない。

家々を訪れ「泣ぐ子(ゴ)は居ねがー」「悪い子(ゴ)は居ねがー」と奇声を発しながら練り歩く。

江戸時代末期に秋田を訪れた菅江真澄は、その著書「牡鹿乃寒かぜ」では、「ナモミハギ」として著述している。「ナモミ」は、ヒダコのことであり、囲炉裏にあたっている怠け者のヒダコを剥ぎ取るということである。

同様の風習は、東北地方各地や、北陸地方にも存在するようだ。

 

私の育った村には、ナマハゲとは違うが「獅子踊り(ししおどり)」というのはあった。

どちらかと言うと、「獅子舞」に近いのかもしれない。

獅子踊りは、3頭の獅子が面をかぶって踊っていた。

伝統芸能は、他にもあった。

「棒術」は、棒を持って戦いのような踊りだった。

もう一つは、「奴踊り」で、扇を持って優雅に踊っていた。小学生の頃に、私も習っていた。

 

後年、宮澤賢治の詩を読んでいたら、「獅子踊り」が出てきた。

彼は、「鹿踊り」と書いて、「ししおどり」と読ませていた。

へえ、これでししおどり、かと驚いた。

 

    高原

  海だべがど おら おもたれば

  やっぱり光る山だたぢゃぃ

  ホウ

  髪毛風吹げば

  鹿踊りだぢゃぃ

 

鹿踊りは、獅子踊りよりも人数が多いようだった。7人とか8人とか。

お面は、獅子踊りに似ているが、鹿のように角が長くて枝分かれしているものもあった。

 

テレビの番組で、ヨーロッパにもナマハゲみたいなこわいのがあるってやってた。

確かに、怖いお面だった。

ドイツだったか、オーストリアだったか、あの辺はゲルマン神話かな。

似たようなものはどこでもあるんだな。

20代の頃、山室静さんの「北欧神話」と言う本を読んでいた。

日本人は、北欧神話が好きらしくて、マンガやゲームの舞台になってるみたいだな。

ヨーロッパには、ギリシア神話ローマ神話もあるんだよなあ。

日本は、キリスト教国にならなかったから、不思議な伝統芸能などが残っているけど、ヨーロッパはどうなんだろう。

そういう神話とかにつながりそうなのは、残ってるのかな。

それとも、異教的な匂いのするものは無くなってしまってるのか。

 

最近聴いている人間椅子というバンドの曲に「ナマハゲ」があった。

歌詞にナマハゲのことばが出てくる。

 

なまげものは いねが
泣いでるわらしは いねが

 

彼らは、隣の青森県出身だった。

 

だいぶ前に、BabyMetalの「Catch Me If You Can」という曲を聴いた。

かくれんぼと鬼ごっこを混ぜたような不思議な曲だ。

突然、バックのかけ声でナマハゲのことばが出てくる。

 

ナクゴハ イ・ネ・ガ!

ワルイゴ イ・ネ・ガ!

 

はじめは、何のことだかわからなかった。

そうか、ナマハゲだ。

でも、なんでここでナマハゲなんだ、と思った。

 

ナマハゲも、獅子踊りも、鹿踊りも

はじまりは、いったい何だったのだろうか。

今となっては、よくわからない。

でも、そういうものが残ってるのも、いいものだと思う。