晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

2025-01-01から1年間の記事一覧

まだ咲いてる夏の花

今日は、朝から陽射しもあって少し暖かかった。 雲がかなりあるので、これくらいなら秋晴れなのだろうか。 この数週間、ぐっと冷え込んで、肌寒い日が続いていた。 我が家のベランダのハイビスカスが、今日も咲いている。 今は、大きな花が二輪である。 ハイ…

日本旅行記、訪問記、滞在記の類いについて ⑤ 100年前の世界一周 その一

久しぶりに、近所の図書館別館に行ってみた。 市役所支所のある近隣センターの中にある。 一階の市役所支所の窓口を通り過ぎて進むと、図書館別館がある。 図書館別館といっても、学校の図書室程度のものである。 なので所蔵の書籍数も、それほど多くはない…

三人の思想家

三人の思想家とは、安藤昌益、佐藤信淵、平田篤胤である。 先日、安藤昌益の墓参りについてのブログに、佐藤信淵という思想家も秋田出身であることを書いた。 尾藤正英氏は、佐藤信淵は、安藤昌益とともに、日本史上、他に類例のない思想家であると述べてい…

いわてのやま③  菅江真澄テキスト

八幡の神籬にまうでて久斯美多万(奇御魂)をも拝み奉らまく、いで、そのみやしろへとおもふに声高う舟よばひせり。こは、かみ川の行かひやあらん、とく/\と人々のいへば、いそぎほゐにはあらずて、そのかたをよそに出たつ。しかはあれど、去年、さをととし…

土の思想家 安藤昌益の墓参り

同級会で帰郷した際に、同級生に車に乗せてもらったり、泊めてもらった。 彼は、同じ集落の同級生の男の子4人のうちの1人である。 小学生の頃に、4人で誕生日会をやってた記憶がある。 やっと、集落にテレビが入ってきた頃なので、世の中には誕生日会という…

いわてのやま②  菅江真澄テキスト

十六日 あるじ常雄、しばらくのわかれなるべし、けふばかりはと、せちにとゞめかたらふゆふつかた、資福、盛芳、久武のぬしとぶらひ来て、余波やるかたなう、ふたゝびなどありて夜ひとよ語ぬ。 十七日 あしたの空かきくもりて、やがてふりくる雨によそふとて…

最後になるかもしれない同級会

8月、お盆が終わって、夜行高速バスで帰郷した。 同級会に出席するためである。 今回の会場は、「たしろ温泉ユップラ」というローカルな宿泊保養施設である。 私の郷里の町が大館市と合併する前にできたもので、和室や洋室もあるので、個人的に何回か利用し…

暑すぎる夏に咲く花

いつもの散歩道を歩いていると、車道に花びらが散っている。 昨日の風雨のせいだろう、道路の上にじゅうたんのようにつもっている。 むらさき色のクズの小さな花びらが、濡れた道路を横断している。 その道は、アスファルト舗装されているが、たぶん私道なの…

いわてのやま①  菅江真澄テキスト

いわてのやま 寛政八年の夏のころ、みちのおくのくに胆沢の郡をたちて、松前に行のみち行ぶり也。南部路のことのもはらあれば、《いはての山》てふこともて、このふみの名とせり。馬門のせき屋より筆をとどむ。かくて津刈路に至りては《そとがはまつたい》て…

手賀沼のハスが復活した

手賀沼の蓮の花が、復活していた。 「手賀沼のハスが復活したらしいよ。」と、息子が言う。 そんな記事を、ネットで見かけたと言うことだった。 さっそく、確認しようと出かけた。 手賀沼の蓮が全滅してしまったのは、何年前だったろうか。 調べてみたら、20…

ジュピター号に乗る

五年ぶりに、ジュピター号に乗った。 ジュピター号は、東京から秋田まで走る夜行高速バスである。 私の郷里である大館市に本社がある秋北バスが、運行している。 池袋駅を夜10時に出発し、首都高、東北自動車道に乗り、いったん大宮で降りて、大宮駅でも乗客…

時代は変わる

ボブ・ディランの「時代は変わる」という曲は、1965年の作品である。 この年、私はまだ小学生だった。 実際にこの曲を聴いたのは、高校生になってからなので、1970年頃だ。 しかも、最初にサイモンとガーファンクルのカバー曲を知って、ボブ・ディランの原曲…

いわてのやま  菅江真澄テキスト

「いわてのやま」は、天明8年(1788年)6月半ばから、7月初めまでの日記である。 蝦夷地への渡航を思い立ち、南部領と津軽領の境のあたりである野辺地を目指す。 郷里の三河を出発して、信濃、越後、出羽と、蝦夷地を目指して津軽の地を踏んでから四年の月日が…

マスメディアとインターネット

十年ほど前に、定年で退職した。 その後、しばらくして、新聞の購読をやめた。 そんなに熱心な読者でもなかったけれど、就職して以来40年くらいの朝夕の習慣が無くなった。 折り込みのチラシが、入らなくなった。 市役所の広報も、折り込みと一緒に届けら…

ゆきのいさわべ③  菅江真澄テキスト

二日ひるはれて猶風とく吹ぬ。 三日 こゝを出て常雄のやにくるみちのなかに、わらふだしきて、みてぐら、みところにさしたるは、ものゝけある人を、けんざ(験者)のいのりて、かく、ちまたにまつる、みちきりといふもの也。かくて其やにいたる。 四日 あるじ…

難しくて面白い漢字の世界⑥ 漢文とラテン語

「かつて漢文は、東洋のエスペラントであった。」 加藤徹氏の「漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか?」(光文社新書)」は、こんな言葉ではじまる。 books.kobunsha.com この本を知ったのは、「往古の追慕」というサイトだった。 日本の歴史と文学の漢文書…

ゆきのいさわべ②  菅江真澄テキスト

廿一日 猶をなじところにくれたり。 廿二日 盛方とゝもに徳岡(胆沢郡胆沢村)にいかんとて野はらのみちにいづれば、こまがたの山しろう雪のふりそめたるをはる/″\と見やりて、あないみじや、きのふさえたるげにやあらんなどかたりつゝとなふ。 きのふみしゆ…

米という難儀なもの

世の中にでは、常識では考えられないことがおこる。 まあ、私の常識と、世間の常識は同じではないだろうし、日本の常識と世界の常識もちがうだろう。 今、日本を混乱させている米の問題も、私からすると不可解である。 補助金を出して減反によって生産量を調…

エリック・クラプトンについて

3月頃だったと思うが、エリック・クラプトンが今年来日公演をやるという記事を読んだ。 もうかなりの年齢だろうに、来日するのか。 私としては、ああそうか、という感じだった。 コンサートへ行こうという気にはならなかった。 そして、先日またエリック・ク…

ゆきのいさわべ①  菅江真澄テキスト

(天明六年 ― 一七八六)かんな月一日になりぬ。しりなる月(九月)うすつきたるもちひを、けふは煎てなめるためしなればとて家ごとにてせり。前屈といふ処の翁の年は、もゝとせ二とせのよはひをつみたるが、あが手づくりにしたるとて、はつよねの?米を、さ…

やっぱり、本を買ってしまう③ パーソナルコンピュータを創ってきた人々

「中国の詩人」「現代詩人全集」と、かつて手元にあったけれど手放してしまった本を買った。 次に手に入れたのは、「パーソナルコンピュータを創ってきた人々」である。 これは、私がパソコンと出会った頃に愛読していたPC誌に、連載されていた記事をまとめ…

ゆきのいさわべ  菅江真澄テキスト

天明6年10月から12月までの日記である。 真澄は、天明3年春に、郷里から旅に出発しているので、旅に出て4年目、年齢は32歳になっていると思われる。 現在の岩手県一関市である陸中西磐井郡山ノ目の大槻宅に、滞在していた。 その間に、藤原秀衡の六百回忌が…

難しくて面白い漢字の世界⑤ 法華経と般若心経

ウィキペデアという百科事典サイトがある。ウィキペデア自体は、世界で300以上の言語で執筆されているのだ、という。 その姉妹サイトに、ウィキソースという文書を収録しているサイトもある。 この中国語版が、維基百科そして維基文庫である。 維基文庫が…

はしわのわかば⑪ 菅江真澄テキスト

十六日 こゝを出て大原ノ里につきたり。 此郷(サト)五月三日の夜みな灰となれど、芳賀慶明が家は河ノ辺に在れば事なしとて訪(ト)へば、よろこぼひて夜打更るまで月見語らひて、歌はいかにといへるに、 おもふどちこゝろのくまも夏ノ夜の月にかたらふ袖の…

やっぱり、本を買ってしまう ② 現代詩人全集

「中国の詩人」を読んでいたのが、20代の終わり頃だった。 そして今、それを再読している。 それよりもさらにさかのぼって、高校生だった頃に、日本の詩人たちの作品を読んでいた。 角川文庫の「現代詩人全集」である。 角川書店から、全10巻で刊行されてい…

はしわのわかば⑩ 菅江真澄テキスト

十二日 けふは石手堰(イハデキ)ノ神にまうで奉らまく、あるじ安彦(アビコ)中和(ナカマサ)を前(サキ)に北上川の岸づたひに行ヶば、雌嶋(メシマ)、雄嶋(ヲシマ)なンどいふこゝらの岩群(イハムラ)ありて、分ケやすからぬ路也。梢をよぢ蔓(カヅラ…

ロックの時代 22 ado「エルフ」

この一、二週間くらいにYoutubeで聴いた曲が、耳から離れない。 例によって、外国の方が日本の音楽ビデオを見ているいるというリアクション動画である。 アド(ado)さんの「エルフ(elf)」。 アドさんといえば、「うっせぇわ」という曲を聴いたのは、何年前に…

それぞれの終楽章

芥川賞と直木賞の発表があった。 この賞の選考は、1月と7月と年に2回なので、けっこうせわしない。 それぞれの賞の受賞者は、一人か二人らしいので、毎年数人の受賞者が生まれる。 今回の授賞式が172回目だというから、いったいどれくらいの受賞者がいるのだ…

はしわのわかば⑨ 菅江真澄テキスト

廿八日 あさてばかりこゝを出たゝむといふを聞て、姉体(水沢市)といふ処にをるくすし安彦ノ中和(ナカマサ)。 たび衣袖のわたりの別より涙の川のせく方もなし とある歌の返し。 なみだ川身もうくばかり旅衣袖の渡にくちやはてなん 盛方のもとより、 別ても…

やっぱり、本を買ってしまう ① 「中国の詩人」その詩と生涯

数年前に、ほとんどの蔵書を処分してしまったので、手元にはほんとに限られた書籍しか残っていない。 ところが、このところ、いろいろと本を買ってしまった。 退職して通勤をしなくなったので、途中で本屋に寄るということがなくなった。 とはいっても、今は…