晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

可愛い子には旅をさせよ

日本だけの問題ではないが、海外からの観光客がほとんどなくなって、ずいぶん経過している。

20年くらい前なら、そこまでダメージがなかったのかもしれない。

観光立国推進基本法を制定したのは、平成18年のことである。その後、海外からの観光客が急激に増加した。

国策として推進したのであるから、何としてもこれを乗り切らなければならない。

 

多くの外国人が日本を訪れるようになって、日本についての情報を発信するようになった。

日本人が当たり前のことと思っていたことが、外国人の目から見たら当たり前ではない、ということがいろいろと指摘されることがあった。

私が、面白いなと思ったのは、子どもの自立ということである。

自立というよりも、子どもがひとりで、または子どもだけで行動する。

よく取り上げられる、「はじめておつかい」や電車バスに乗って通学する小学生あたりだと、外国の方が驚くのもわかる気がする。

でも、徒歩通学の小学生や中学生のことを驚かれると、その方が驚きである。

外国では、学校にもひとりで行けない、子どもだけで街に遊びに行けない、となると、どうしてと思ってしまう。

外国はそこまで、治安が悪いのか。誘拐の心配をしなければならないのか。

世界から見たら、日本は変わった国なんだろうか。

 

私は、図書館の旅行コーナーによく行く。

そこには、世界の国々への旅行記や滞在記みたいなものがある。

その中に、日本旅行記も何冊かある。だいたい、幕末から明治時代である。

このコーナーにあるのは、お金持ちのおぼっちゃんだったり、ちょっと変わった人のものである。つい、借りてしまう。

日本旅行記の類は、他にもいっぱい出版されている。

文庫本コーナーには、外交官や学者や旅行者として、日本を訪問した人の本が思ったよりも多くある。

 

私は、別にそういう本だけを選んで読んでたわけではない。でも、外国人の方が日本を観察して書いたものは読んでいておもしろい。

たとえば、日本の子どものこととか、子育てのことは、記憶に残っている。

 

イザベラ・バードは、明治初期に日本各地を旅行したイギリス女性である。「日本紀行」を残しているが、このように書いている。彼女は、この頃40代後半である。

彼女は、世界各国を旅行していて、中国や朝鮮も行っている。

 

「わたしは本州奥地と蝦夷の1200マイル〔約1920キロ〕を危険な目に逢うこともなくまったく安全に旅した。日本ほど女性がひとりで旅しても危険や無礼な行為とまったく無縁でいられる国はないと思う。」

 

「これほど自分の子供たちをかわいがる人々を見たことはありません。だっこやおんぶをしたり、手をつないで歩いたり、ゲームをやっているのを眺めたり、いっしょにやったり、しょっちゅうおもちゃを与えたり、遠足やお祭りに連れていったり、子供がいなくては気がすまず、また他人の子供に対してもそれ相応にかわいがり、世話を焼きます。」

 

ルイス・フロイスは、1562年にポルトガル出身のイエズス会宣教師として、日本に来て信長や秀吉に会っている。30歳で来日し、二十数年日本に滞在した。次のように、日本の子どもについて述べている。

 

「ヨーロッパの我々の子供はその立ち居振る舞いに落ち着きがなく優雅を重んじない。日本の子供はその点非常に完全で全く賞賛に値する。のびのびしていて愛敬がある。そして演ずるところは実に堂々としている。」

 

「われわれの間では4歳の子供でも自分の手を使って食べることを知らない。日本の子供は3歳で、箸をつかって自分で食べる。」

 

「われわれの間では普通鞭で打って息子を懲罰する。日本ではそういうことは滅多におこなわれない。ただ言葉によって譴責するだけである。」

 

「 われわれの間では世俗の師匠について読み書きを習う。日本ではすべての子供が坊主の寺院で勉強する。」

 

フロイスは、20年以上日本にいたので、観察に間違いはないと思うが、宣教師という価値観で判断しているところはある。

思うのは、子どもの自立ということで考えると、日本は16世紀の信長や秀吉の時代から変わっていない、そして現在に続いている。500年前に、すでに今と同じようになっていたのだ。

しかし、読んでいて、女性の自立や地位については、まったく変わってしまってると思った。江戸時代と明治が問題だったと思う。あまりに、面白いので、後日別に書いてみよう。

 

 

seiko-udoku.hatenadiary.jp

seiko-udoku.hatenadiary.jp

seiko-udoku.hatenadiary.jp

seiko-udoku.hatenadiary.jp

seiko-udoku.hatenadiary.jp

seiko-udoku.hatenadiary.jp