晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

海を渡る旅

「海外旅行」ということばがある。

日本やイギリスのような、国土のすべてを海で囲まれている島国で、「外国旅行」と同じ意味のことばとして使われているそうだ。

でも、「外国旅行」というのは、なにかしっくりしない。

「海外旅行」の方が、日本人にとっては使いやすいかもしれない。

英語では、海外旅行が”overseas travel"で、外国旅行は“travelinng abroad"ということになるらしい。

子どもの頃に、「海を越える」のが、「海外旅行」なら、本州から北海道や九州へ行くのも、「海外旅行」だろう、などと言っていた。

 

高校生の時に、小澤征爾さんの「ボクの音楽武者修行」という本を読んだ。

その本は、高校の図書館にあった。

お昼は、校舎の外で、腰を下ろして外の景色を眺めながら弁当を食べて、それから図書室に行くのが日課だった。

その頃、小澤征爾という指揮者のことは知らなかったはずなので、たまたま手にしたのだろう。

かけ出しの指揮者だった24歳の青年が、貨物船でヨーロッパに出発する。

スクーターで、ヨーロッパ各地の指揮者コンクールに参加するためである。

1959年のことであり、まだ外国への旅行など一般人にとっては、考えられない時代である。

いくらその頃でも、航空機はあったのだから、貨物船で行ったのはスクーターを持っていきたかったからだろうか。

小沢さんは、カラヤン指揮者コンクールなどで優勝し、カラヤンやバーンステインに師事し、世界のそうそうたるオーケストラの指揮者を務めることになる。

私が、彼の本を読んだのは、その頃である。

 

学生時代に、アルバイトして、ユースホステルを使って国内を、貧乏旅行できるようになった。

就職して、山登りするようになって、山小屋や温泉旅館に泊まるようになった。

たしかに、シルクロードは憧れだったが、具体的に外国へ旅行することは考えたことがなかった。

結婚することになって、新婚旅行をどこにするかということになった。

妻は、すでに何回か海外旅行をしていて、ヨーロッパにも行っていたが、私はパスポートも持っていなかった。

1980年代の中頃で、バブルの最中で、世間では海外旅行は行こうと思えば行ける時代になっていた。

結局、新婚旅行は、上高地、美ヶ原、松本ということになった。

ヨーロッパのホテル風の上高地帝国ホテルに泊まったのが、折衷案といえば言えるかもしれない。

それから数年後に、バブルは崩壊した。

そのころから、「バブル」と言ってたのだから、「泡」だと誰もわかっていたのだ。

 

海外旅行に縁のない私が、それから何年か後に海外旅行に行くことになった。

ひょんなことで、4泊くらいの「タイ国」への「研修旅行」である。

「研修」と言えるのは、1日だけで、あとは観光みたいなものだ。

でも、初めての海外なので、すべてが目新しく勉強である。

ずいぶんと昔のことになるので、もう記憶も曖昧になっている。

飛行機に、6時間くらい乗ったが、新幹線で福岡に行った時と同じくらいだな、と思った。

 

いまだに、印象に深く残っていること。

同室の方が、旅慣れていたので、バンコクの夜の街に連れて行ってもらった。

トゥクトゥク」という三輪タクシーに乗った。

半オープンで気持ち良くて、楽しかった。

バンコクの夜の喧騒は、日本の大都市とは全く違っていて、アジアの街という感じがした。

インドや中東と繋がってるような気がした。

バンコクからアユタヤに向かう国道は、歴史的な大洪水がやっとおさまったところだった。

国道の両側の平原は、泥が乾いて、埃だらけで、その中に高床式の住居が点在していた。

高床式も、並大抵ではない高い高床だった。

途中で、鉄道も体験で乗車して、川のながめのいい駅で降りて、食事をした。

川の流れは、これは大陸の風景だなと思わせるものだった。

 

定年退職後、家族と短期のカナダ旅行へ行った。

それが、私の海外旅行のすべてである。

かつては、日本を訪れる観光客よりも、外国へ出国する日本人の方が圧倒的に多かった。

それが、この数年逆転したらしい。

2000万人出国して、3000万人入国という、すごいことになっていた。

これだけの人が、飛行機で移動していると考えると、とんでもないことである。

コロナによって、それが桁違いに少なくなってしまっている。

かつての水準に戻るのは、いつのことになるのだろう。

 

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