私は、就職してから1年半くらいを我孫子市で、次に柏市で1年半くらいを一人暮らししていた。
我孫子のアパートは、我孫子駅から4、5分の肉屋さんが大家さんだった。平家建てで3部屋あって、それぞれに玄関がある不思議なアパートだった。言ってみれば、長屋かな。
肉屋さんの店の裏口から入って、家賃を払いに行ってた。
次に移ったのは、北柏駅が最寄りの大きな農家が大家さんの借家だった。風呂付きで、四畳半、六畳の一人暮らしには充分広い一軒家だった。
庭があって、その先は畑が広がっていた。ときどき、大家のおばあさんが、
「これ、食べるかい。」と言って、野菜を持ってきてくれた。
そのうちに、横浜にいる父が、千葉に引っ越すから一緒に住む家を探すように、言ってきた。
それで、何ヶ所か探して、北小金の本土寺近くに住むことになった。
2階の六畳間が、私の城になった。間もなく、四方の壁は本棚で埋められることになる。
この部屋で、本を読み、音楽を聴き、テレビを見た。
この部屋から、千代田線沿線の居酒屋に出かけ、山行に出かけた。
子どもの頃から、マンガが好きだったので、漫画も買い集めた。
「明日のジョー」や「俺は鉄平」、「がんばれ元気」は、全巻そろえていた。
その頃はテレビもよく見ていた。
「大草原の小さな家」が、気に入っていた。
このシリーズは、第9シーズンまであるそうなので、私が見ていたのはどのへんなんだろう。
このテレビドラマは、ローラ・インガルス・ワイルダーの自伝的小説が原作である。
ローラとメアリーの姉妹を中心に、両親とともに西武開拓時代のアメリカを舞台に、永住の地を求めて、ウィシコンシン州、ミネソタ州、サウスダコタ州と移り住む物語である。
西部開拓が進行中の時代なのでいろんな問題がある。その中で、姉妹が成長していく。
そして、シリーズの終盤では親元を離れて進学していたと思うが、その頃のは見てない。
このテレビドラマで、私の記憶に一番残っているのは、親たちが集まって、学校の先生の採用について話し合ってる場面だった。
言ってみれば、あれは教育委員会なのかもしれない。
何もないところに、町をつくり、学校を作っていく。
その感覚が、アメリカには今でも残っているのか、と思った。
日本だと、税金は取られるという、感覚である。
源泉徴収で、知らないうちに給料から税金が引かれてしまっているというのが、日本の感覚なのだ。
アメリカでは、自分の収入を自分で申告して、自分で税金を納める、という意識があるとどこかで聞いた気がする。
学校も、自分たちが作って、先生を雇っているという感覚が、根本的なところにあるのではないだろうか。
このテレビドラマシリーズは、日本では1974年から1983年に放送されている。
私は、たぶんそのうちの2、3年分しか見てなかったと思う。
それから、10年以上経って、原作本を読む機会があった。読み始めたら止まらなくなった。
最終的には、シリーズのほとんどを読んだ。
新天地を求めて 、幌馬車で旅を続ける。
そして、定住した土地で自給自足の生活を始める。何でも、自分で作る。
同じように、農村で育った私にとっては、そういう生活はとても身近に感じられるものだった。
1870年代から1880年代が物語の時代である。
日本は、明治の初め頃の時代である。
日本が明治維新で新しい日本をつくろうとしていた頃、アメリカは西部開拓の時代だったと思うと、何か不思議である。