私が、人間ドックを受診するようになったのは、父が病気で亡くなったことがきっかけだった。
父は、いくつか成人病があって、64才で亡くなった。
若い頃に長い間、出稼ぎをしていたので、その際の食生活などが病気につながったのだと思う。
亡くなる前の数年は、入院と退院を繰り返していた。
父が亡くなったあと、私の母と妻の両親に人間ドックを受診させた。
その結果、妻の父に重大な病気が見つかった。
すぐに入院したが、翌年に、三男が誕生して抱いてくれたが、妻の父は亡くなった。
父親二人を、相次いで亡くしてしまった。
私は、30代後半だった。
私は、小さい頃から健康に育った。
ほとんど、病院の世話になったことはない。
ただ一回の入院は、高校生だった時の盲腸炎である。
体の不調を感じることはなかったが、父親二人のことや、扶養家族が増えたことを考えて、人間ドックを受診することにした。
最寄りの私鉄駅から4駅ほどのところにある総合病院にした。
事前に予約して、当日朝に行けば、順々に検査をして、最後には担当医の説明を受けて終わる、という流れだった。
なんといっても、ここの病院の人間ドックのスシテムのいいのは、当日すべての結果が出て、お昼過ぎには終わることだった。
レントゲン写真も目の前に並べてくれて、きちんと説明してくれた。
担当医は、最初の先生がずっと担当してくれた。
前年のデータと比べてくれたりしてくれるので、とてもわかりやすい。
担当の先生は、私よりひとまわりくらい年上だと思うが、そのうちに副院長になっていた。
私が、退職した頃には院長先生になっていた。
この病院には、人間ドックでしか通わなかったが、退職するまで毎年受診して、20数年お世話になった。
退職してからは、時間が充分あるので市の検診を受けることにした。
市の検診は、人間ドックのように一回ではすまないが、近所の病院を選ぶことができる。
人間年をとると、私のように健康が取り柄の人間も、いろいろと不具合が出てくる。
親からもらった体質もあるし、うまくつきあっていくしかない。
私の場合も、父親のことがあったから、人間ドックを受けようと思ったが、それがなかったら病院に足を向けなかったかもしれない。
私は、30代後半から人間ドックを受けるようになったが、全体としてはどのくらいの割合の人が受けているものだろうか。
自分の健康に自信のある人は、あまり病院へ行きたくないし、検診などは敬遠してしまうかもしれない。
でも、人間年には勝てないので、どこかで考えを切り換えなければならない。
そういうきっかけになるものが、あればいいと思う。
たとえば、「40才無料人間ドック」とか、無料の受診システムをつくればいい。
日本では、治療医療中心でずっとやってきてるけど、予防医療に移行していいんじゃないかな。
病気になってから治療するよりも、病気になりかけたのを見つけたり、病気にならないようにした方が、ずっといいはずだ。
予防のための検診も、保険が適用されるようにして、人間ドックを受けやすくする。
そうしたほうが、結果的には、保険財政を好転することになるんじゃないかな。