晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

国名について調べてみた⑤ 統合編

 これは、私の日本の歴史の勉強のための覚書です。調べたこと、考えたことを書きとめてます。 令制国というものに興味があって、気が向けば調べたりしている。

 

律令制による令制国が成立する前は、国造(くにのみやつこ)が治める国と、県主(あがたぬし)が治める県が並立していた。地方の豪族が支配する地域を、国や県として追認する形で国造や県主に治めさせたものである。

中央から派遣された国司が治めるために、小さな規模の国や県を支配しやすいように統合して、一つの国を成立させた。

令制国が確実に成立したのは、「大宝律令」(701年大宝元年)であるが、それ以前の645年(大化元年)に、東国へ国司を送った記録がある。

 

○ 統合することなく、国造の国がそのままの領域で令制国に移行したのは次の国々だけである。

 

山背国(やましろのくに)  →   山城国 (正確には鴨県も併せている)

尾張国(おわりのくに)  →  尾張国

甲斐国(かいのくに)  →  甲斐国

下総国(しもうさのくに)  →  下総国

斐陀国(ひだのくに)  →  飛騨国

毛野国(かみつけぬのくに)  →  上野国(こうずけのくに)

若狭国(わかさのくに)  →  若狭国

佐渡国(さどのくに)  →  佐渡国

稲葉国(いなばのくに)  →  因幡国(いなばのくに)

伯岐国(ほうきのくに)  →  伯耆国

出雲国(いずものくに)  →出雲国

石見国(いわみのくに)  →  石見国

意岐国(おきのくに)  →  隠岐国

阿岐国(あきのくに)  →  安芸国

淡道国(あわじのくに)  →  淡路国

讃岐国(さぬきのくに)  →  讃岐国

薩摩国(さつまのくに)  →  唱更国(はやとのくに)  →  薩麻国  →  薩摩国

壱岐国(いきのくに)  →  壱岐国

 

2ヵ国統合した国 三河国紀伊国阿波国土佐国駿河国相模国近江国下野国

          武蔵国対馬国

3ヵ国統合した国 大和国遠江国播磨国

4ヵ国統合した国 周防国

5ヵ国統合した国 伊予国美濃国

 

どの地域に、どのような名前の国や県があったのか、興味深いので、まとめてみた。

第一回で、安房国常陸国については述べたので、その他の国々を見てみる。

 

①  統合する国の中の中心的な国の名称をそのまま令制国名にした例

 

周防国(すおうのくに)は、大島国(おおしまのくに)、周防国(すおうのくに)、波久岐国(はくきのくに)、都怒国(つぬのくに)を、統合して成立した。

    大島国は、山口県大島郡周防大島町周辺。
 周防国は、山口県東部。
 波久岐国は、山口県山口市宇部市防府市の一部。

 都怒国は、山口県周南市都濃周辺。

②  統合する国の中の中心的な国の名称のよみ方で名称の漢字表示を変えてる例

    

大和国(やまとのくに)(757年-)は、律令制移行時は、倭国(やまとのくに)、闘鶏国(つげのくに)、葛城国(かずらきのくに)の三国が統合して大倭国となり、後に大和国となった。

 倭国は、現在の奈良県天理市周辺。

 闘鶏国は、奈良県奈良市周辺。

 葛城国は、奈良県御所市、大和高田市周辺。

  

三河国(みかわのくに)(784年-)は、参河国(みかわのくに)、穂国(ほのくに)を統合して、参河国となり、後に三河国となった。

 穂国は、豊川市蒲郡市周辺。

 参河国は、安城市周辺。

 

遠江国(とおとうみのくに)は、遠淡海国(とおつおうみのくに)、久努国(くののくに)、素賀国(すがのくに)の三国を統合して、成立した。

 遠淡海国は、現在の静岡県磐田郡を中心とする地域。

 久努国は、静岡県袋井市周辺。

 素賀国は、静岡県掛川市周辺。

 

播磨国(はりまのくに)は、針間国(はりまのくに)・明石国(あかしのくに)・針間鴨国(はりまかものくに)を、統合して成立した。

 

 針間国は、加古川以西。

 明石国は、明石郡・美嚢郡加古郡印南郡

 針間鴨国は、加古川中流~上流。

 

紀伊国(きのくに)は、紀国(きのくに)と熊野国(くまののくに)が統合されて、木国となり、後に紀伊国になった。

 紀国は、和歌山県北部。

 熊野国は、和歌山県南部と三重県南部。

 

阿波国(あわのくに)は、粟国(あわのくに)と長国(ながのくに)が統合されて、粟国となり、後に阿波国になった。

 粟国は、今の徳島県北部。

 長国は、今の徳島県南部。

 

伊予国(いよのくに)は、伊余国(いよのくに)、久味国(くみのくに)、風速国(かざはやのくに)、怒麻国(ぬまのくに)、小市国(おちのくに)を統合して成立した。

 伊余国は、愛媛県松前町、伊予市

 久味国は、愛媛県松山市東部から東温市久万高原町

 風速国は、愛媛県中部。

 怒麻国は、愛媛県今治市の一部。

 小市国は、愛媛県東部。

 

土佐国(とさのくに)は、都佐国(とさのくに)と波多国(はたのくに)を統合して土佐国が成立した。

 都佐国は、高知県東部。

 波多国は、高知県西部。

 

 ③  統合する国の中の中心的な国の名称のよみ方を少し変えて名称の漢字表示も変えてる例

 

駿河国(するがのくに)は、珠流河国造(するがのくに)、(いおはらのくに)を統合して成立した。

 珠流河国造は、静岡県富士宮市富士市沼津市御殿場市裾野市周辺。

 廬原国造は、静岡県静岡市周辺。

 

相模国(さがみのくに)は、相武国(さがむの国)と師長国(しながのくに)が統合して成立した。

 相武国は、相模川流域の高座郡、大住郡、愛甲郡周辺。

 師長国は、神奈川県大磯町、二宮町周辺。

 

 近江国(おうみのくに)は、淡海国(おうみのくに)と安国(やすのくに)が統合され成立した。

 淡海国は、滋賀郡周辺。

 安国は、滋賀県野洲市守山市周辺。

 

美濃国(みののくに)(713年-)は、額田国(ぬかたのくに)、本巣国(もとすの国)、三野前国(みののさきのくに)、三野後国(みののみちのしりのくに)、牟義都国造(むげつのくに)を統合して三野国となり、後に美濃国になった。

 額田国は、岐阜県池田町周辺。

 本巣国は、岐阜県本巣市瑞穂市北方町周辺。

 三野前国は、岐阜県垂井町周辺。

 三野後国は、岐阜県各務原市岐阜市

 牟義都国は、岐阜県関市、美濃市山県市周辺。

 

下野国(しもつけのくに)は、下毛野国(しもつけぬのくに)と那須国(なすのくに)が統合し、下毛野国(しもつけぬのくに)になり、後に下野国になった。

  下毛野国は、栃木県南西部。

  那須国は、栃木県大田原市周辺。

 

武蔵国(むさしのくに)は、无邪志国(むざしのくに)と知々夫国(ちちぶのくに)が統合して成立した。

 无邪志国は、埼玉県と東京都の境界周辺。

 知々夫国は、埼玉県秩父地方。

 

長門国(ながとのくに)は、穴門国(あなとのくに)と阿武国(あむのくに)を統合して成立した。

 穴門国は、 山口県西部、下関市周辺。

 阿武国は、山口県萩市・阿武郡周辺。

 

④  統合する国とは、違う読み方漢字表示の令制国とした例 

 

 対馬国(つしまのくに)は、上県国(かみあがたのくに)と下県国(しもあがたのくに)を統合して成立した。

 上県国は、対馬島の北部。

 下県国は、対馬島の南部。

 

1869年(明治元年)、陸奥国出羽国の分割及び北海道11国の新設が行われた。

しかし、律令制度の廃止とともに国司も廃止され、令制国は実質的に廃止された。

 

 

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