芙蓉の花が咲いている。
咲き始めたのは、8月ごろだったが、10月になった今も咲いている。
葉っぱは、落ちてだいぶさみしくなったが、これから咲く蕾はまだいっぱいついている。
だいぶ以前のブログに、芙蓉のことを書いた。
集合住宅の駐車場の隅にあった芙蓉の木が、大きくなりすぎたので、伐採されてしまった。
それがもう、十年以上前のことである。
ところが、駐車場に隣接する消防署の敷地に、芙蓉らしき小さな樹木を見つけた。
道路の歩道脇に、背丈が1メートルほどである。
芙蓉だとすれば、そろそろ咲くだろうからと、楽しみにしていた。
七月の下旬に見たときには、まだ花は咲いていなかった。
駐車場で、車を降りたら時々は、様子を見ていた。
八月に入って、やっと咲き始めた。
やっと咲き始めた 8月12日
車道横の歩道のすぐそばに、葉っぱでこんもりした1メートルちょっとの木があって、いくつかの花が咲いていた。
小さなボール状の蕾がすでにいっぱいついていた。
よく見ると、この木の数メートル先に、大きな樹木があって、それも同じような葉っぱなので、芙蓉らしい。
近寄って、よく見た。
上の方に、いくつかの花が咲いていた。
九月になると、花が樹木全体を覆うように、一面に咲いている。
9月13日
夏の花は、せいぜい一週間か二週間で、咲き終わるらしいのだが、芙蓉の花は二か月以上も咲き続けるようだ。
10月になっても、まだ咲いているし、蕾がまだあるので、今月いっぱいは大丈夫そうだ。
考えてみると、一本の木に、何十いや何百という花が咲いていて、その何十倍もの蕾が控えている。
それが、三ヶ月近くなのだから、いったいひと夏にどれだけの花が咲くのだろうか。
「芙蓉」は、南方系の樹木らしく、私が育った東北地方では見たことがなかった。
芙蓉ということばも新田次郎さんの小説「芙蓉の人」で知ったと思う。
新田次郎さんは、気象庁職員として働きながら、作家活動をしていた。
富士山レーダーの建設にかかわったこともあり、富士山頂に気象観測所を建設することに尽力した野中到氏を主人公に「芙蓉の人」を執筆した。
「芙蓉の人」は、富士山の数多い別名のひとつである「芙蓉峰」からきている。
富士山がどうして、芙蓉峰なのだろうか。
芙蓉は、もともとはハスのことをいったらしい。
「芙」も「蓉」もハスのことで、訓読みすると「はす」である。
それが、いつからか「フヨウ」のことを言うようになり、区別するために、「ハス」は「水芙蓉」、「フヨウ」は「木芙蓉」と使い分けたらしい。
「芙蓉」は、美女の形容としても使われたとある。
たしかに、ピンクや白で15センチもの大きめの花がつくので、遠くからでもよく目立つ。
富士山は、「美しい山」という意味で「芙蓉峰」なのだろう。