山に登らない人でも「日本百名山」ということばは知ってるかもしれない。
文筆家で登山家だった深田久弥の山岳随筆集「日本百名山」は、1964年新潮社から出版された。それに先立って、1959年から1963年まで、朋文堂の「山と高原」に毎月2座づつ連載された。当初より百名山の選定を考えて連載したものであり、自身が登った標高1500m以上の山をその対象とし、山の品格、山の歴史、個性的な山の三点を条件に、深田氏が選んだものである。
1500m以上としているが、それ以下でも選定された例外があること、自身が登ったことがない故に対象外となった山があること、品格、歴史、個性など主観的な選定基準であることを考慮すると、この百名山は、あくまで「深田久弥の日本百名山」である。
新潮文庫版の「日本百名山」では、解説で串田孫一氏が、「読者が自分で百名山を選定する際のたたき台として使えることもこの本の魅力」と述べている。
その後、「日本百名山」が、独り歩きしてしまう。あたかも「日本百名山」が権威あるものであるかのように、「日本百名山」を登ることを目的にする人たちのがあらわれる。「日本百名山ブーム」になって、百名山だけに、登山者が集中することになってしまった。NHK衛星放送で「日本百名山」がシリーズ化して放送されたのも大きいかもしれない。
深田氏は、「避衆」登山を好む人だったが、意図しない方向に向かってしまった。串田孫一氏が述べたような態度で扱うべきだったが、百名山を権威あるものにされてしまったのである。
「日本百名山」を補完するかたちで、深田クラブが「日本ニ百名山」を、日本山岳会が「日本三百名山」を選定している。
百名山ブームは、全国各地にも及び、いろいろな百名山を、出版社、新聞社、山岳団体、自治体などが選定している。
東北百名山 東北山岳写真家集団
さらに、青森110山 東奥日報
まだまだあるので、以下省略。
かつて、三省堂から「コンサイス山名辞典」というのが出ていて買ったことがある。名前がついてる山はほとんど載っていると思う。
それは、収録数13000座だった。なぜか、山は数を数えるのに、「座」を使う。劇場や仏像と同じ扱いらしい。
各都道府県が、百名山を選定すればそれだけで、4700座になる。三百名山で、「コンサイス山名辞典」をクリアできそうである。
これらの百名山は、登山する人が選定する百名山である。山頂からの展望がよいなど、「登山の対象としておもしろい」が主眼となっている。
私が、あるといいなと思う「百名山」は、山に登らない人が選定する百名山である。
もしかすると、もうすでにあるかもしれない。
これなら、誰でも選定に参加できるし、みんなが楽しめるだろう。
付け加えると、
私の郷里の白神山地田代岳は、「日本百名山」に選定されていません。「日本三百名山」にも、入っていません。
やはり、標高1178mがネックなのだと思います。
田中澄江さんの「花の百名山」にも入ってないのですが、NHKBSで放送された時は、なぜか入ってました。なんらかの事情で、他の山と入れ替えられたのだと思います。うれしくて、録画しました。
頂上直下の9号目の高層湿原にある100を超える大小の池塘に咲く「ミツガシワ」の花が選ばれたのです。展望のいい高層湿原は、他にそんなに無いと思うので、貴重です。
私は、日本百名山を踏破するつもりはありません。
自分の百名山も選定する気もありません。登山記録もろくに残していません。
それでも、数年前に日本百名山のリストで自分が登った山をチェックしたことがあります。
38座でした。
北アルプスより西の山は登ったことがないことを考えると、けっこう登ったかなあ、と思います。
こんな感じで、いいんじゃないかな。