晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

山歩き こわかった話

山歩きをしていると、山小屋に泊まることになる。

山小屋といっても、ピンからキリまでいろいろである。

私の経験は、東日本の山に限られる。

北アルプスの山小屋は、場所によっては、個室もあるし、生ビールも飲める。

すばらしい風景を前にして、生ビールで乾杯ができるのである。

こんな贅沢はない。

私も、生ビールで乾杯は、一回しか経験していない。

そういう山小屋では、食事も出してもらえる。

 

登山客の多い山域の山小屋なら、布団もあるし、まあ山の民宿である。

それ以外の山では、ほとんどが避難小屋と言われるものである。

管理人もいないし、雨風を防げて助かる、という程度のものである。

夕食を自分で作って食べたら、寝袋に入って夜が明けるのを待つだけである。

ときどき、寝酒にアルコールを飲んで、また眠る努力をする。

私は、一人で山へ行くことが多かった。

ときには、自分以外の宿泊者がいないこともある。

真っ暗な山小屋で、ひとり夜を明かすのは心ぼそいものである。

 

秋田県中央部にある森吉山に、登ったことがある。

午後に途中の無人小屋に着いたので、登頂は翌日にすることにして泊まることにした。

その無人小屋は、営林署の山仕事用に作った宿舎を、登山者に開放しているらしかった。

かなり立派な建物で、2階建てだったが、管理人はいなかった。

当日私以外の宿泊者は無く、私は2階の部屋に寝袋を広げた。

1階の台所には、自然の流水を引っ張ってきた蛇口があって、水は流れっぱなしで止められなかった。

流水に混ざった空気が蛇口を出るときに、とんでもない大きな音が響き渡った。

その音が響き渡るのが、不定期だった。

寝付こうとすると、その騒音で起こされた。

水の音であるのはわかっているが、真っ暗な闇の中で突然静寂を破る音が響くと、何か違うものがやって来たような気がして、こわかった。

そうやって、一晩過ごした記憶がある。

 

八幡平から岩手山を縦走して、溶岩が流れ出て固まった焼走りを下山したことがある。

下山したところに、キャンプ場があって、そこにテントを張って泊まることにした。

キャンプ場は、立派な管理棟があって、その前に広場があった。

着いたときには、10数人のグループが広場で何か活動していた。

キャンプサイトは、広場をはさんで管理棟の反対側の林の中にあった。

私は、広場に近いところのキャンプサイトに、テントを張った。

テントといっても、非常用の簡単なものである。

最近のアウトドア用のようなしゃれたものではない。

ほんとに、横になるだけのものだった。

夕方になったら、広場にいたグループが帰って、いなくなってしまった。

テントを張ってるのは、私だけだった。

そのうちに、まわりは真っ暗になった。

広場に近いとは言っても、林の中である。

テントの布の外は、暗闇である。

林の中なので、いろんなわけのわからない音が聞こえる。

寝付いたと思ったら、目が覚め、それを繰り返していた。

 

このゴールデンウィークは、山の事故が多く伝えられた。

雪の登山道から滑落というケースが、多かった気がする。

この時期の山は、天気によっては、冬山なので準備が不充分だったのかな。

私も、ゴールデンウィーク那須山で、吹雪にあったことがある。

山もそうだし、川も海もこわいと思う。

自然には、人間の想像を越えたものがある。

何がこわいのかを、知らないといけない。

それが、準備だと思う。

 

 

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