小学生の時に、初めて買った本の中に「十五少年漂流記」があった。
そのころは、小学生が買うような文庫本は旺文社文庫しかなかった。
薄緑色の表紙で、ソフトカバーだけれどコーテングしてあるしっかりした製本だった。
旺文社文庫は、すでに、1987年に廃刊になっている。
「十五少年漂流記」は、SFの父と言われるフランスの小説家ジュール・ヴェルヌが1888年に発表した冒険小説である。
ジュール・ヴェルヌは、「海底2万里」や「八十日間世界一周」など、多くの作品を残している。
物語は、ニュージーランドの寄宿学校の少年たちが、帆船スルギ号で漂流し無人島に漂着し力を合わせて生活していく姿を描いている。
本来なら夏休みに2ヶ月かけてニュージーランド沿岸を一周するはずであったが、出発前夜に船長船員を乗せないまま出航してしまったのである。
8歳から14歳までの少年たちであるが、自分たちでリーダーを選び、生き延びるために計画的に生活していく。
幸いに、2ヶ月分の食料と充分な装備はあったので、傷んでいくスルギ号をすて、洞窟に移ることにする。
幾多の困難を乗り越えて、2年後に帰還する。
私は小学生だったので、自分と同世代の子供たちが登場するこの物語はとても身近に感じ、夢中になって読んだ。
その頃、私は「少年サンデー」の愛読者だったが、同じように無人島に漂着する内容の小説が連載されていた。
その小説を原稿用紙に、一所懸命鉛筆で書き写すことをやっていた記憶がある。
連載なので、それぞれバラバラなのを、ひとつにまとめたかったのかなと思う。
今考えると不思議なことをやっていた。
でも、完成して一冊にまとめた記憶はないので、途中で挫折したのだと思う。
無人島への漂流物ということ以外に詳しいことは覚えてないので調べてみた。
ウィキペディアに「週刊少年サンデー連載作品の一覧」のいうページがあった。
週刊誌なので年間50冊もあるのだから、調べるのは難しいだろうと思っていたのだが、漫画も小説も長期連載が多いので思ったよりも作品数は少なかった。
しかも、連載小説は、ほんとに少ない。
連載時期やタイトルから、私が読んでいたであろう作品がわかった。
「緑の無人島」作画 石川球太 原作者 南洋一郎 1963年15号〜1963年29号
と、なっている。
1963年だと、私は小学4年生である。
「十五少年漂流記」を買ったのは、5年生か6年生のはずなので、これだとその前にこの「緑の無人島」を読んでいたことになる。
私は、「十五少年漂流記」の影響で小説の筆写をしたのだろう、と思っていたので意外だった。
「十五少年漂流記」は、今は「二年間の休暇」という、原題の直訳の表現になって発行されている。
若いころ、隣の市に住む姉の娘たちの誕生日プレゼントに、絵本や、小学生になったら喜びそうな本を選んで贈っていた。
その時に、「十五少年漂流記」を贈ろうとして、そういうタイトルの本は無く、「二年間の休暇」になっていることに気がついた。