晴耕雨読    趣味と生活の覚書

  1953年秋田県生まれ。趣味は、山、本、音楽、PC、その他。硬化しつつある頭を柔軟にすべく、思いつくことをなんでも書いています。あわせて、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の原文テキストを載せていきます。

地図はタイムマシン

明治初期に発行された「迅速測図地図」というものを見たくて、近隣の図書館の蔵書を検索していた。その結果、「迅速測図地図」は、松戸市立図書館と鎌ヶ谷市立図書館にあることがわかった。

柏市立図書館、流山市立図書館、我孫子市立図書館には、「迅速測図地図」のもとになった「フランス式彩色地図」が、蔵書としてある。

 

この数ヶ月、「フランス式彩色地図」を見るために、柏市立図書館に通っていた。

「フランス式彩色地図」については、このブログで何回かふれている。明治初期に日本陸軍が作成した、水彩絵具で彩色した手描きの二万分の一縮尺の地図である。地図というより絵画作品的なものだ。関東地方を中心に921枚作成され、すべての原図が保存されていた。平成になって、1991年日本地図センターから復刻出版された。

しかし、それに先立って1977年、「フランス式彩色地図」をもとに、実際に1色刷りで発行されていたものを復刻したものが、「迅速測図」として昭和礼文社から出版された。千葉県版は、全三巻で102枚の地図を復刻となっている。

 

そこで、鎌ヶ谷市立図書館に行ってみた。はじめてなので、利用者カードをつくる。図書館の利用者カードは、柏、我孫子、流山ときて、4枚目である。市外の利用者なので、貸出冊数の制限などあることの説明がある。

「迅速測図地図」千葉県版の閲覧希望すると、書庫から出して来てくれた。

古文書が入ってるような布張りの紙箱に、折り畳まれた地図が入っていた。

東葛飾のあたりは第一巻の西部版だった。地図は、24cm四方にきれいに折りたたまれて29枚入っていた。広げると、65cm×48cmになる。「フランス式彩色地図」の倍以上の大きさである。

付録として、千葉県全図がついていた。縮尺は、7万2千分の一だが、大きすぎて机の上でひろげられなかった。2メートル四方以上あると思う。

奥付を見ると、

発行 昭和52年7月20日

発行部数 300部

価格 12000円

版権所有  参謀本部陸軍部測量局

      大日本測量株式会社

昭和52年発行なのに、参謀本部ってどういうこと?
大日本測量株式会社も検索したけど見つからなかった。

 

一枚づつ広げて、見てました。

眺めていて、気がついたこと。

 

水戸街道が、「陸前濱街道」と表示されていた。陸前ということは、宮城県だから、仙台までってことかな。

 

松戸市の江戸川対岸が、東京府南葛飾郡と埼玉県北葛飾郡になっている。野田市の江戸川対岸は茨城県中葛飾郡、関宿の北に茨城県西葛飾郡がある。千葉県東葛飾郡とあわせて五つの葛飾郡、ことばでは知っていたが、はじめて地図で見た。

 

③ 金町と亀有の間を流れる中川が、「古利根川」と表示されている。なるほど、銚子の方へ流れを変えられる前は、これが利根川だったんだ。

 

船橋宿から少しで海がある。海がよく見えたんだろうな。明治のはじめは、まだ埋め立てられてなかった。

 

⑤ 流山の野々下村近くに「天刑星」という名の神社がある。なんだろう。不思議な名前だな。

 

⑥ 住宅の建物は、◾︎のような黒い四角い点で表示されている。これをよく見ていると、この点は適当に点点を打ってるのではなく、建物の位置や数は実態をそのまま表しているように思われる。集落の戸数や住居の配置が正確に把握できそうな気がする。

 

⑦ 一枚の地図にある神社や寺の数がとても多い。現在、日本には神社、寺がそれぞれ10万以上あるそうだ。人の住むところ、神社、寺がある。すごいことである。

今は、住宅地が新しくできたといっても、新しく神社ができることはない。神社があるということは、昔からそこに集落や村があったということである。だから、今はすごい住宅地でもほとんど神社のない地域がかなりある。

 

この地図は、明治10年代に測量したものをもとに、明治30年ごろに発行されたものを復刻しているらしい。

地図は、タイムマシンみたいだな。

 

 

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