先日、「古地図を見る」を書いた時に、「地図で見る百年前の日本」と「日本200年地図」を紹介した。
「地図で見る百年前の日本」で使われていた地図は、フランス式彩色地図という、すべて手書きで、欄外余白には風景のスケッチまである、絵画のような不思議なものである。
土地理院発行の五万分の一とか、二万五千分の一地図のある意味殺風景な地図に比べて、なにか温かみのある地図だった。
私は、その地図帳から柏付近2枚、松戸1枚、野田1枚をコピーしてもらった。
後日、この地図が気になる私は閲覧室にある地図用ひきだしの中を見ていた。
それは一枚ものの大きな地図を保管するものだった。
内容の表示が無い引き出しの中を見たら、あったのだ
。柏市を範囲とする7枚セットの地図が大きな封筒に入っていた。
しかも、柏市近隣の地図セットも、3セットあった。
これは、正確には、「第一軍管地方二万分の一迅速測図原図」である。
日本陸軍が、明治13年日本初の広域測量に基づく「フランス式彩色地図」により関東全域について作成したものである。
この地図は、高等線による地形表現に加え、水彩絵具によって街並み、田畑、林などが彩色されている。
欄外余白のスケッチも、担当者の趣味ではなく目印となる風景、建物として描かれたものだった。
この地図が、日本陸軍が西南戦争の反省を踏まえて、軍事的な必要から作成されたということからきている。
しかし、明治16年に地図作成の方式がフランス式からドイツ式に変更され、他の地方の地図が作成された。
ドイツ式は、一色図であり現在のものにつながっている。
この原図921面は、すべて保存されており、平成になって国土地理院の外郭団体である日本地図センターから復刻発行された。
柏市もこれを購入していた。
この地図は、冊子ではなく一枚ものである。
著作権の関係で、コピーができないと思われる。
半分までとなっているので、地図を半分というのは面倒である。
B4ほどのサイズであるが、一枚770円である。
欲しい範囲を考えると、10枚以上にはなるし、送料も入れると結構な値段になる。
ところが、この地図がすべて見られるサイトがあった。しかも、現在の地図と並べて比べることができる。
「歴史的農業環境閲覧システム」という農業環境技術研究所のサイトである。
今の五倍の広さだったころの手賀沼を見ることができる。
うわあ、ここまで湖面だったのか。すごいなあ。
あの細い道が、けっこう主要な道だったんだ。
神社の名前が今と変わっている。
大変な時代になったものである。