なんと、全60巻という大作である。
タイトルが、「三国志」となっているが、原作となっているのは、史書である「三国志」ではなく、説話である「三国志演義」である。
同じ頃に、「水滸伝」や「項羽と劉邦」も、横山さんの作品で読んでいた。
漫画が先で、その後に文庫版で原作を読んでいたものだ。
私が小学生の頃読んでいた漫画の「鉄人28号」や「伊賀の影丸」も横山光輝さんの作品だった。
そして、20年ほど前に、横山さんは自宅の火事で亡くなって、それを新聞記事で知った。
ウィキペディアの記事によると、彼の遺作は「殷周伝説」である。
「殷周伝説」は、中国の伝奇小説「封神演義」を題材にしたもので、『武王伐紂平話』をベースに、『史記』も参照にして描かれている、となっている。
「封神演義」で思い出したのは、我が家の息子たちがまだ子どもの頃に、横山さんではない漫画家が描いた「封神演義」という作品が、我が家でブームになっていて、私もいっしょに読んでいた。
調べてみたら、「藤崎竜」さんという漫画家だった。
伝奇小説がベースなだけに、「三国志」とは趣の違う、荒唐無稽と言っていいような作品だった。
全22巻のこの作品を、横山さんは死の前年まで、描き続けていたそうだ。
それを知ったら、読んでみたくなってしまった。
困ったものである。
近所からレンタルショップが、どんどん無くなっていて、漫画好きの妻は困っている。
できれば、これからは本は買いたくない、とは思っているのだが。
「三国志」などの歴史書を、ネットで検索していると、中国語のサイトが出てくることがある。
中国や台湾の大学だったり、研究者らしいものだったりする。
かつては、外国語のサイトの文章を読みたいときは、翻訳サイトを利用していた。
外国語の文章をコピーして、翻訳サイトに貼り付けて、翻訳ボタンをクリックすると、日本語に翻訳した文章が表示された。
英語のページを翻訳すると、不思議な日本語なってしまっていた。
読んでいると、気持ち悪くなってしまう文章であることが、ほとんどだった。
なぜだろうか。
英語と日本語が、あまりにも構造的に違いすぎる言語だからだろうか。
ブラウザ自体に翻訳機能が組み込まれていることに、最近気がついた。
そこで、中国語のページを翻訳してみた。
そうしたら、ほとんど違和感のない、自然な日本語になっていた。
読んでいても、あまり変な表現に出会わない。
昔よりも、翻訳の能力が上昇したのだろうか。
最近は、AI、AI、とうるさい。
AIというのは、「人工知能」のことということなので、その性能が良くなっているのだろう。
それとも、中国語と日本語の相性の問題だろうか。
ウィキペディアの関連サイトである「ウィキソース」には、「フリーコンテンツ」が収録されている。
日本語版のサイトは、次のように分類されている。
歴史、宗教、数学、音楽、文学、法令、議会決議、演説

ウィキソースの歴史ジャンルのリストを見ていて、気がつくのは、漢文で書かれてたはずの文献がほとんど収録されていないことである。
しかし、そのページを開くと、国立国会図書館のデジタル映像データへのリンクがあって、テキストデータへのリンクは、なんと後で述べる中国語版「維基文庫」になっている。
「続日本紀」、「日本後紀」など、「六国史」については、書名もない。
鎌倉幕府編纂の「吾妻鏡」や、江戸幕府編纂の「本朝通鑑」も、同様である。
そのようなものは、まだ整備されていないのである。
漢文表記でないものが、なんとか収録されている状況であるということになる。
ウィキペディアの中国語版は「維基百科」である。
そして、フリーコンテンツを収録しているウィキソースにあたるものが、「維基文庫」である。
日本語版のウィキペディアは、収録項目数が142万を越えているが、中国語版「維基百科」も現在すでに140万を越えているらしいので、近いうちに逆転するだろう。
これに対して、ウィキソースは、14727本の資料数であるが、中国語版「維基文庫」は、460494篇と、圧倒的な収録数である。
内容の分類も
典籍 | 史書 | 小说 | 诗歌 | 散文 | 演讲 | 歌词 | 經書 |
となっていた、具体的なリストを見ると、まだまだ不十分な整備状況である日本語版に比べて、さすが漢字の国であり、書名だけは知ってるもの、はじめて知るもの、とにかくすごい。
興味をそそられるが、なにしろすべて漢字である。
この中で、「史書」については、王朝ごとの分類のほかに、地域別の分類もある。
漢字文化圏の、ベトナム、朝鮮、に続いて、日本の文献も収録されているし、さらに琉球をも含んでいる。



「小説」のジャンルは、次の様に分類されている。
奇怪、恋愛、話本、神魔、歴史演義、英雄伝奇、公案、世情、古典白話、風刺、譴責、、
このうちの、歴史演義に、「三国志演義」や「封神演義」もある。
神魔には、「西遊記」があるが、このほかに「続西遊記」など関連してものが8編もある。
「北遊記」、「東遊記」、「南遊記」もあるのに驚いたが、これは「北への旅」という様な意味らしく、「西遊記」とか関係なさそうだ。
「水滸伝」は、英雄伝奇のなかにあるし、「金瓶梅」は世情というジャンルだった。
中国語の世界では、これらの漢字文化圏の文献は、すでにテキスト化されているので、自国の歴史的な文献と同様に対応できる。
中国、台湾、日本と、漢字とは言いながら、現代では違う字体を使用している。
しかし、過去に遡れば、すべて繁体字であり、共通の漢字であり、共通の財産として、共有できるという気がする。
遡るほど、朝鮮、ベトナム、琉球、モンゴル、チベット、と広がっていく。
そう言えばヨーロッパでは、「ラテン語」というのがあったな。
似たようなところが、あるものだろうか。