久しぶりに、県立の西部図書館まで歩いた。
このブログでも何回か書いた「フランス式彩色地図」が、蔵書として所蔵されてないかなと思ったのだ。
これは、関東地方について2万分の1の縮尺で、明治初期に921枚が日本陸軍によって作成された。
明治19年(1886年)に完成しているので、130年以上前の状況を知ることができる。
すべてが、測量者の手描きで彩色されているのが、特徴である。
地図によっては、地図の欄外に樹木、神社、寺院などがスケッチされている。
この地図が、平成8年に復刻されたので、私の住んでる近隣の図書館では地域についての復刻地図は所蔵しているようである。
柏市立図書館と我孫子市立図書館では、「フランス式彩色地図」が閲覧できるようになっていたので、何回か閲覧したことがある。
地図の収納引き出しにあって、誰でも自由に見ることができる。
鎌ヶ谷市立図書館にも行ったことがあるが、ここで所蔵していたのは色付きの彩色ではなく、白黒の復刻で、大判で折りたたんでいて箱に収納されていた。
たぶん、「迅速地図」といわれてるものかもしれない。
しかも、閲覧するには申請書を提出して、書庫から出してもらわなければならなかった。
今回、西武図書館に来たのは、この地図を見るのが目的だった。
千葉県立の図書館ならば、千葉県全域の復刻地図があるのではないかと考えたからである。
柏も我孫子も、所蔵してある地図はそれぞれの市域を含む地図だったからである。
「フランス式彩色地図」は、関東の中心部について合計821枚の地図が、2万分の1の縮尺で作られている。
復刻した地図は、国土地理院の外郭団体である「日本地図センター」が販売している。
区域ごとに6枚か7枚の地図をセットにしていて、千葉県分は7セット43枚ほどである。
関東の中心部ということで、千葉県は私の住む東葛飾と市川、船橋と千葉市の周辺くらいしか作成されていない。
それにしても、関東地方の東部、千葉県と茨城県の大部分が除外されているのは、なぜだろうか。
自分の行動範囲くらいの地図は欲しいなと思って、調べて見たのだが、一枚一枚のバラ売りもしているが、肝心の欲しい地域のが売れきれていた。
セットで買ってしまうと、欲しい範囲以外もあるので枚数が多くなってしまう。
現在の国土地理院の地図だと、2万5千分の1縮尺だが大判であり、比較的小判で2万分の1の復刻地図はかなり割高である。
そこで、いつも購入を躊躇してしまう。
フロアの半分が図書棚で、半分が閲覧机のためのスペースになっている。
ひと回りしてみたが、地図のための収容棚らしいものはみあたらなかった。
住宅地図の棚はあった。
地理の書棚に、各都道府県の道路地図帳もあった。
しかし、「フランス式彩色地図」や「迅速地図」らしいものはなかった。
受付カウンターに行って、聞いてみた。
司書の方の話では、明治時代の地図は、西部図書館にはなく、千葉市の本館にあるとのことだった。
それも、彩色地図ではなく、白黒の大判地図らしかった。
取り寄せできますよ、といわれたけど、それなら取り寄せるまでもない。
目的のものはなかったので、全国の道路地図から青森県と秋田県を開いてみた。
それから、地名事典の秋田県版を少し読んでみた。
全国を網羅した地名事典の類いは、角川書店と平凡社から発行されている。
それぞれ、方向性の異なるものになっている。
角川書店は、「角川日本地図地名事典」で、地名はあいうえお順に収録されていて、版は小さめで、分厚く、いかにも事典という体裁である。
これに対して、平凡社のものは「日本歴史地名体系」で、版が大きめで、市町村ごとに順に地名が収録されており、書籍という感じの作りである。
こういうものは、ゆっくり眺めたいのだが、貸し出しはできず閲覧のみなので、図書館に通うしかない。
帰ってから、「歴史的農業環境システム」のサイトを見た。
130年前の地図が見られるもので、久しぶりである。
自宅の近くを見ると、集落名の「中新宿」という名称と、神社の鳥居マーク、そして住居と思われる四角のしるしが見える。
建物の一つ一つを確認して、記載したのだろう。
それを考えると、なんとすごい記録なのだろうと思う。
ここに残されているものを、見ていることでその頃の風景が浮かんでくる。
道は、なんらかの形で今も残っているような気がする。