だいぶ前のことになるが、テレビのワイドショーを見たら、エルビス・プレスリーの特集をやっていた。
プレスリーが亡くなって、何十年になるんだろうかと思ったが、そうではなくて、エルビスを主人公にした映画が公開されるらしい。
6月下旬に、アメリカで公開されて、1週間遅れで日本公開である。
今は、こんな時代なのだ。
昔のように半年遅れなんてない。
プレスリーが亡くなったことを、知った時の状況は覚えている。
友人たちと4人くらいで飲み歩いて、友人のアパートに泊まった。
翌日、テレビのニュースが、エルビス・プレスリーが亡くなったことを伝えていた。
1977年なので、就職して2年目、23歳の時である。
プレスリーは、私が小学生の頃から知っていた。
ハリウッド映画に出て、甘ったるい歌を歌っているイメージだったプレスリーが、ロック歌手として奇跡的にカムバックしたのは、高校生の頃である。
上下黒の革ジャン姿のプレスリーは、たしかにかっこよかった。
カムバック後のプレスリーは、多くのライブを行い、世界的な人気を博していた。
トニー・ジョー・ホワイトというカントリー系のロック歌手の「ポーク・サラダ・アニー」をカバーして、ヒット曲になっている。
私にとっては、それが印象的だった。
プレスリーをリアルタイムで体験したかを考えると、私はキャリアの後半を知っているだけである。
私より10歳くらい年下の世代だったら、かすかにプレスリーの記憶があるかも知れない。
プレスリーが、初めてレコーディングしたのは、1953年である。
だから、デビュー当時からの彼を体験しているのは、私より10歳から20歳以上年上の世代になるだろう。
若い世代にとっては、歴史的な人物であるだろう。
考えたら、ビートルズだって解散したのが、私が高校生だった1970年なのだから、プレスリーの死よりもはるか過去のことである。
ネットの音楽記事を読んでいたら、次のようなことが書いてあった。
世界的にロック不毛の時代である。
欧米では、新しいロック歌手やロックバンドが現れていない、ということらしい。
そういうものが、ヒットチャートの上位に出てくることがない。
ただ、そんな状況の中で、日本だけが例外でロックが元気である、と付け加えられていた。
ほんとに、そうなのだろうか。
私には、素直には信じられない。
なにしろ、いまどんな音楽が人気があって、売れているのかがわからない。
世界の状況どころか、日本で何が人気なのかもわからない。
それ以前に、「ロック」が何なのかがわからない。
ロックの定義の仕方次第で、答えが違うのではないか。
1970年代の後半くらいから、AORといわれるものがあらわれた。
Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)は、ソフト・ロックともいわれる。
音や言葉から、尖りや角がなくなっていって、まるいものになっていく。
とんがったものは、パンクになったのだろうか。
まだレンタルショップを利用していたころ、“U2”を借りた記憶があるが、あれは私が聴いていたロックバンドとしては後期のひとつだろう。
バンドをやっていた息子のCDで、“Red Hot Chileppers"や”Maroon5“を聴いたこともある。
ほんとに、ロックが不毛といわれる状況なのだろうか。
かつての御大であるバンドは今も健在らしいいし、そのファンも依然として存在している。
それが、そのまま高齢化していて、新しいバンドや新しいファン層があらわれない。
そういう、ことなのかな。
それにしても、日本ではロックは元気なのだろうか。
たしかに、YouTubeには、新しい20代の若者のロックバンドがいろいろある。
私の目に入るのは、限られた範囲だろうが。
そして、気がつくのは女性のバンドが多い。
そういえば、バイオリンケースではなく、ギターケースを背負った女子高生や女子学生を見かけるようになったのは、いつ頃だろうか。
日本では、1980年代にバンドブームがあって、「イカ天」などを経て、表面的には終息したらしい。
それが、どうして今のような状況になったのかは、わからない。
ただ言えるのは、これだけ女性バンドがあって、こんなにも多様な音楽をやってるような国は、他にはないだろうな。