ふとした拍子で、むかし聞いていた曲がよみがえったりする。
フォークやロックを聴き始めた中学や高校の頃の歌である。
フォークもロックも、同じ頃にやって来たような記憶がある。
フォークは、カレッジフォークとか言われて、フォークギターを持って学生風の人がやっていた。
ブラザース・フォーやジョーン・バエズの影響だろう、きれいな声とハーモニーだった。
ベンチャーズがやって来て、エレキブームというのがあった。
そのうちに、エレキギターを持った日本のバンドが現れて、グループサウンズと言われた。
カレッジフォークもグループサウンズも、歌謡曲の延長だったと言えるかもしれない。
高校生になった頃に、それまでとは毛色の違うフォークやロックが出てくる。
ボブ・ディランやビートルズの影響だろうか、何でもやりたいことをやっていた。
それまでだったら、音楽にならないようなことが歌になっていた。
泉谷しげる 「黒いカバン」
何でもやりたいことをやって、何でも歌っていいんだという時代になっていった。
その頃に、聞いたのが泉谷しげるの「黒いカバン」だった。
黒いカバンをぶらさげて歩いていたら、警察官に呼び止められて職務質問された、そのやりとりが歌になってる。
トーキングブルースというのだろうか。
ひとり漫才のようなものだが、これを高校生の時ラジオで聞いて、これが歌になるのだ、とおどろいた。
当時の動画は見つからなかった。
泉谷しげる 「黒いカバン」 Izumiya Shigeru "Kuroi Kaban" - YouTube
四人囃子 「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」
四人囃子は、1971年結成のロックバンドである。
この曲は、1974年に発売されたらしいので、私の学生時代である。
四人囃子というバンド名を知った時、なんてオシャレな名前なのだろうと思った。
ピンクフロイドやキングクリムゾンなんかの流れを汲むプログレッシブ・ロックということになるのだろうが、雅な名前の響きがなんとも言えないものだった。
遠藤賢司 「カレーライス」
遠藤賢司は、この曲の他にも「満足できるかな」とか「夜汽車のブルース」のような激しい曲もあった。
私は、「カレーライス」のほんわかした雰囲気が好きだった。
でも、歌詞の中に三島由紀夫の事件が出てくる。
高校の現代国語の教師が、授業に来るなり真剣な顔でこのことを話したことを思い出した。
テレビの速報で知って、私たち生徒に伝えたのだった。
1971年NHKドラマ「さすらい」での遠藤賢司「カレーライス」
https://www.youtube.com/watch?v=f79v7ghHgTc
友部正人 「一本道」
友部正人さんの曲をそれほど聞いてきたわけではないが、とても硬質なものを感じていた。
この曲のような歌詞には、後にも先にも出会ってないような気がする。
「何もなかった事にしましょうと
今日も日が暮れました
あヽ中央線よ空を飛んで
あの娘の胸に突き刺され」
私にとっては、10代後半から20代、時代は1960年代後半から1970年代に、こういう音楽に出会っていた。
他に類のないような個性の人たちの音楽だったと、私には思える。
今の若者たちも、そういうものに出会っているのだろうか。