NHKの「ファミリー・ヒストリー」は、とても好きな番組である。
これは、何というジャンルになるのだろうか。
著名人の、たいていは芸能人の、先祖の歴史をたどるという番組なのだが、下手なドラマよりもおもしろい事もある。
事実は小説よりも奇なり、ということである。
何がおもしろいのかというと、登場する人物の面白さだと思う。いろいろな人がいる。
こんな変わった人がいたんだと思わせる人だったり、ドラマのような人生を送ったひとだったり、普通の人が普通に送った人生も、それはそれでおもしろい。
本人の承諾を得て調査するにしても、ある評論家が批判してるように、家系を調査することは
現代社会の個人尊重の精神に反し差別の助長につながるという意見も、確かにそういう恐れがないとは言えない。
先祖は自分が責任を負えない部分である。なんともし難い。
調査していると、いろんな問題に遭遇するだろうということは、想像できる。
その中から、放送に使う素材を選択するのだろう。
単純に考えても、父母をたどっていくだけでも、5代遡ると32人、10代遡ると1024人になる。累計すると、その2倍である。その兄弟姉妹を考えると大変なことになる。
子孫は、どこかで絶えるかもしれない。
でも自分という一人の人間が存在するためには、一人もかけてはならない多くの御先祖がいたということである。
まあ、通常は直系をたどるだけだから、そういう問題にはならない。
放送で使われた家系図がおかしい、というクレームがついたことがあるそうだ。
家系図について言えば、豊臣秀吉が平氏を称したとか、徳川家康が源氏を称したとかもあるし、なんでもあるものだと思う。
家系図というものは、それを作ろうとする者の思惑があるものだし、まして時代を遡れば遡るほど、さだかではなくなる。証明しようがなくなる。
だから、そのようなものとして扱うべきものである。それを考えると、あまり遡るべきではない。
あくまでも、この番組は娯楽番組であり、ファミリーバラエティなのだから、その範囲内で制作すべきだし、楽しめればいいじゃないかな。
人にとって、家族の存在は大きなものだと思う。
父と母がいて、兄弟姉妹がいる。
父と母にとっては親であるおじいちゃんとおばあちゃんがいる。
人によっては、おじいちゃんおばあちゃんは遠くに住んでいてなかなか会えないかもしれない。
もう、亡くなっているかもしれない。
親とは違う目線で、見てくれる。
父や母の兄弟姉妹。おじさん、おばさん。
いちばん可愛がってくれる存在かもしれない。
そして、自分の兄弟姉妹。
ひとりっ子だっている。
両親ともひとりっ子同士だったら、おじさんおばさんはいないことになるのか。
人それぞれ、さまざまな環境の中で育っているってことなんだな。
私が子供の頃、おじいちゃんおばあちゃんは四人とも元気だった。
だから、今でも顔を思いだすことができる。
父方のおじいちゃんは、いつも子守をしてくれた。
今は、記憶の中にあるだけである。
その記憶で、自分はできているってことなんだな。
私は、村で育ったのだが三十数軒の村だった。
村は、戦国から江戸時代初期に誕生したらしい。
それだけの家族の歴史がかみあって、村の歴史ができている。
村の歴史はもっと大きな社会の歴史に組み込まれている。
考えていると、どんどん広がってしまう。この辺で、やめとこう。