クズの花は咲いたかな、と外へ出るたびにさがしていたのだが、やっと見つけた。不順な天候のせいなのか、なにか元気がない。
クズは、ツル性の多年草で房状に密集した花をつける。花は赤紫色でとても甘い匂いを発する。私は、花を見かけるとつい匂いを嗅いでしまう。クズは、繁茂力が高く、ツルを伸ばして木に巻きついたり、地面を這って広がり、幅広い葉を多くつける。
クズといえば、葛湯、葛切り、葛餅もある
薬用だと葛根湯は根から、花は二日酔いに、葉は止血に使えるらしい。
私が住んでいる地域は、中世まで下総国葛飾郡で、現在の千葉県、茨城県、東京都、埼玉県にまたがっていた。奈良時代には、すでに「葛飾郡」と記されていて「葛」の字が使われている。しかし、読みは「かつしか」又は「かとしか」であるが、この地域が「葛」の字をずっと使っているということは、やはりクズの繁茂するところと思われていたのだろう。また、「千葉」は「数多くの葉が繁茂する」を意味することから、「葛」の枕詞として使われていた。この地域もやはり「葛」が繁茂していたことから下総国千葉郡という名付けられたようだ。
江戸時代になって、葛飾郡は江戸川を境に西側が武蔵国に分割される。更に、明治時代に、武蔵国が埼玉県と東京府に分割された。また、下総国も利根川を境に茨城県部分と千葉県部分に分割される。
これによって、埼玉県北葛飾郡、東京府南葛飾郡となった。南葛飾郡はその後、葛飾区、江戸川区、そして墨田区、江東区、足立区の一部となつた。
千葉県東葛飾郡はすべて市昇格のために消滅した。また、茨城県中葛飾郡、西葛飾郡も同様に今は存在しない。
郡名として残っているのは、埼玉県北葛飾郡だけである。