客観的である、論理的である、そうありたいものだと自分では思っている。
しかし、人間というものは、なかなかそうはいかないものである。
自分にあまり関係のないものであれば、けっこう客観的論理的な判断ができる。
ところが、現実にはそういう訳にはいかない。
好き嫌いや、利害やプライドやさまざまなものが、絡んできてしまう。
世の中を見ていると、これは私だけのことではなく、多くの人にあてはまる
聞きたい話を聞き、信じたいものを信じる。
すでに、結論があったりする。
これは、会社、団体などの組織や、国家も同じだろう。
むしろ、これらの方が利害関係で成立していると、言えるかも知れないので、もっとはっきりしている。
この数週間、メディアを騒がせているのが、「福島第一原発」の処理水排出の問題である。
これについては、原子力についての元締めと言える「国際原子力機関」(IAEA)が、ALPS処理水の海洋放出について、国際安全基準に合致していること等を結論付ける「包括報告書」を本年7月4日に公表している。
しかし、この問題に隣国中華人民共和国だけが、異をとなえている。
中華人民共和国は、日本とともにIAEAの指定理事国であり、この報告書の当事者である。
この内容について知らないはずはないが、報告書は無かったことにしているのだろう。
まして、国民はその内容を知らされていない、ということだろう。
だいぶ前に、世界の国々の原子力発電所は、日本の原子力発電所よりもはるかに多くのトリチウムを含んだ処理水を排出している、という記事を読んだ記憶があったので、資料を探してみた。
そして見つけたのが、次の表である。
これによると、福島第一原発の処理水に含まれるトリチウムは、東日本大震災以前に比べると、はるかに増えているが、他国の原発に比べればそれほど多くはない。
今回の処理水の排出について、抗議しているのは中華人民共和国だけである。
隣国である大韓民国も、メディアはともかく政府は理解を示している。
IAEAは、世界154ヵ国が加盟する組織であるが、もちろん大韓民国も加盟国である。
しかし、北朝鮮は1974年に加盟したが、1994年に脱退している。
日本に抗議する中国には、それなりの事情があるのだと、思われる。
国民の関心を、国外に集めたいのだろう。
考えられるのは、深刻な不動産バブルだろう。
国内の問題を、国外での問題で解決しようとするのは、よくあるように思える。
悪者を作り出して、悪者のせいにしてしまえば、当分はほんとの問題から国民の目を逸らすことができる。
でもこれは、やはり当分のあいだだけで、問題解決にはならない。
もしかすると、ウクライナもそうだったかも知れない。
巻き込まれた方は、たまったものではない。
当分の間は過ぎてしまって、どうしようもない状況になっている。
国民関心を一身に集めてしまうといえば、スポーツもある。
オリンピックやワールドカップなると、メディアが大騒ぎして、大変なことになる。
今日は朝から、バスケットのパリオリンピック出場が決まったというニュース一色だった。
そういえば今年は、野球にサッカーにバレーボール、そしてバスケットボールと大変だった。
この後も、なんかあるのかな。
スポーツといえばよくあるのが、審判の買収騒ぎというのがある。
今年も、ユースサッカーで負けた国が、審判が買収されて負けた、みたいなことを言い出してた。
でも、よく考えれば、こんなことはあり得ない。
たかが、スポーツの大会で審判を買収するって、客観的論理的に考えれば、あるとは思えない。
買収する方も、買収される方も、リスクが大きすぎる。
スポーツの試合なんて、どんな展開になるか前もってわかるはずがないし、審判が試合をコントロールできる部分が、どの程度あるものなのか。
それでも、そういうことを言い出して、信じていれば、気が済むところがあるのだろう。
もう20年も前になるサッカーワールドカップの日韓大会での試合について、いまだにそのことが蒸し返されたりする。
考えてみれば、サッカー日本代表の監督が、リーグ監督時代に八百長試合に絡んだとの疑惑で辞任したことがあったかな。
なんでも賭けの対象になってしまう欧米では、そういうこともあるから、まったくあり得ないとはいえないかも知れない。