「ビートルズなんてたいしたことないバンドだ。曲だって、歌だって、演奏だって。」
最近、どっかで、若い人が書いていた。チラッと、見た。
確かに、もっといい曲はあるし、
もっと歌が上手い奴もいる、
もっと演奏が上手いバンドはある。
そのとおりだと思う。
でも、それだけじゃないと思う。
私が、中学一年生だった1966年にビートルズは、来日して武道館で公演した。
それは、全国にテレビ放送され、秋田県の山奥の中学生だった私は白黒テレビで見た。
不思議なのは、私はもうビートルズを知っていた。
高校生になって、山奥の村から、地方都市の街に転居した。
新聞部に所属していたが、機関誌のプロフィールみたいのに部室の隅でいつもギターを弾いていると書かれてた。たいしたものは弾けないはずなので、練習していたのだと思う。
部員の一人が、ビートルズのデカいポスターをくれた。それは、自分の部屋に貼ってた。
そのころのビートルズは、たしかに日本では1番人気のあるバンドだったと思うが、ローリングストーンズもいたし、他のリバプールサウンドやらいっぱいあるバンドのうちの一つにすぎなかったと思う。
私は、どちらかと言うとローリングストーンズのほうが、かっこいいと思っていた。でも、どっちもレコードは、買ったことがない。テープは持ってた。
私が買ったのは、アメリカのクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルというバンドだった。ブルースとカントリーをベースにするバンドだが、何がそんなに良かったかとなると、自分でもよくわからない。レコードは全部買った。こっちへ出てきてからは、海賊版というのも探して買った。コンサートを隠し録りしたやつで、音はひどかった。
ビートルズは、日本公演から帰ったあとしばらくしてツアーはやめたらしい。
レコーディングを主とするバンドになっていった。
それまでの、ヒット曲を連発するバンドではなくなった。他のバンドがやらないようなことをやるようになった。
そのあたりから、ビートルズがただのバンドじゃなくなったと思う。化けてしまった。
それぞれの個性を持つ四人が、やりたいようにやり始める。
ホワイトアルバムという、2枚組のアルバムがある。あれは、四人がそれぞれやりたいことをやったら、1枚にできなかったと、聞いたことがある。
ヘビィあり、サイケデリックあり、アコースティックあり、なんでもあり。
映画のレット・イット・ビーは、高校3年に見たと思う。
ビートルズは、ロックの可能性を広げたんだと思う。
他のバンドが、マネしたくなるバンドになった。
何を、やってもいいんだって事だ。