子どもの頃、おにぎりは焼きおにぎりだった。
中身は、梅干しか塩シャケだった、と思う。
いや、考えたら塩シャケは滅多にないので、味噌漬け大根だったかな。
なぜ、焼きおにぎりだったのかというと、焼き海苔、板海苔かな、それが高価で家にはなかったからだ。
結構大きめなおにぎりを、暖房兼調理用のストーブで、しっかりと焼いて、くずれないようにする。
醤油は使わない、白くてちょっと焦げ色の焼きおにぎりである。
くずれないので、弁当のように外に出かける時のおにぎりだ。
その場で食べるなら、小さめのおにぎりを作って、味噌を塗った手のひらで形を整える。
あったかいごはんと、味噌味がおいしかったな。
そういえば、子どもたちが小さい頃作ってあげたけど、よろこんで食べていた。
後年、居酒屋に出入りするようになって、手作りの焼きおにぎりを、お茶漬けと同じように出してもらえることを知った。
焼いた後に、醤油の上をころがしたやつである。
それまで、そういうのを食べたことがなかったが、スーパーの冷凍食品コーナーでも見かけるようになった。
結婚したら、妻はお煎餅とお餅が大好きだった。
おにぎりも大好きで、残りごはんがいっぱいあると、焼きおにぎりをつくっていた。
5、6個作って、テーブルの上に置いておくと、いつのまにか無くなってしまう。
子どもたちも、焼きおにぎりは好きなので、あれば手が延びる。
今は、焼き海苔だって、手軽に手に入るし、いつでもあるのだが、焼きおにぎりが簡単である。
妻が、小さめで具のないものを、いくつも焼く。
私は、醤油を入れた小皿にで、おにぎりをころがす、という分担作業である。
最も確実な、残りごはんの活用法である。
おにぎりと言ったら、孫娘が小さかった頃を思い出す。
ご飯が食べやすいように、小さいおにぎりのようなものを、ママが作っていた。
おにぎりというよりも、一口大のお団子のようなものだった。
お皿の上に、それが何個ものっていた。
それを、パクパク食べていた。
おにぎりつながりで、もう一つ。
きりたんぽ鍋で使う「きりたんぽ」は、細長い焼きおにぎりのようなものである。
杉の串に、ご飯を巻きつけて、焦げめがつくくらいに焼く。
それを、切ったりちぎったりして、鍋に入れるのだが、焼いてあるのでくずれにくい。
でも、これは焼くための時間がかかる。
「きりたんぽ」を即席でやるために、「だまっこ」というのがある。
これは、おにぎりのというよりも、もっと小さいだんごをいっぱい作って、きりたんぽの代わりに使う。
手で握っただけなので、長時間煮るとくずれるが、とりあえずはきりたんぽの代わりにはなる。